支払う予定の税金分で設備投資も可能に!確定申告は早めの準備が大切

「こんなに税金を払うなら、もっと資金をうまく使えばよかった」と後悔するオーナーはいませんか?それを防ぐのが確定申告の準備。早めに確定申告の計算を始め、払う予定の税金分で設備投資をしてみてはいかがでしょう。

確定申告の準備は「11月」頃からが吉

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確定申告は毎年2月中旬から3月中旬まで。前年の収支が確定して、翌1月に入ってから準備を始めるオーナーが多いのではないでしょうか。

常に、税務上の損益計算と現金の資金繰り(キャッシュフロー)の両方を把握していなければ、申告書を作成して初めて、ため息をつくかもしれません。「こんなに黒字が出て、税金も増えた。去年のうちに修繕しておけば……、いや設備を新しくしておけば良かった」と。

「黒字(課税所得)が増えること=手取りが増えること」ではありません。家賃収入が同じでも、設備の償却が終わって減価償却費がガクンと減ったり、ローン返済が進んで支払い利息が減ったり、経費が少なくなることで黒字が膨らみ、税負担が増えて資金繰りが苦しくなることもあるのです。「税務上は黒字なのに手取りは赤字」という“デッドクロス”も珍しくありません。

このような資金ショートを防ぐには、年末の決算が確定する前に、損益と収支を計算して、課税所得を抑える対策をする必要があります。11月頃にはその年の収支の見込みが立つでしょうから、早めに確定申告の準備をスタートしましょう。

180万円の出費で300万円分の設備投資ができる!

たとえば、その年の課税所得が1,100万円だとすると、所得税と住民税を合計した予定納税額は約324万円になります。

そこで、その年の12月までに300万円の設備投資をして課税所得を800万円に下げると、納税額は約203万円になり、約120万円の節税になります。

投資額との差し引きは180万円。つまり180万円の出費で300万円分の投資ができたわけです。

ここで注意しておきたいのは、会計処理の問題です。本来、10万円を超える設備投資をすると、建物の価値を高める「資本的支出」となるため、法定耐用年数に応じて減価償却をしなければなりません。一括計上できるのは「修繕費」の場合です。資本的支出と修繕費の違いは、図1の判定表をご覧ください。

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実は、青色申告の「少額減価償却資産の一括損金算入」という制度があります。1個30万円以下、年間合計300万円までは一括償却できるという特例です。たとえば、20万円の給湯器を10個、10万円のエアコンを10個で合計300万円となります。上記の例では、この特例を利用して計算したものとお考えください。

文/木村 元紀

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