太陽光発電の電力を入居者に還元!長期安定経営を進める

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医師として働く一方、7年前からお父様のクリニック兼自宅のあった彦根市で賃貸経営を始めた久保田さん。まだ珍しかった太陽光発電システムを搭載したソーラー賃貸住宅をいち早く建築し、発電した電力はすべて入居者へ還元。光熱費が節約できるため入居者の満足度も高く、新築時の賃料を今も維持している。

京都市左京区 久保田さん

循環器科の医師。賃貸住宅2棟とサービス付き高齢者住宅のオーナー。自宅含め4棟すべて太陽光発電を搭載。


実家の敷地を活用して賃貸住宅経営を始める

太陽光発電システムを搭載し、発電した電力をすべて入居者に還元しているエナジーシェア住宅「ソーラーQ・B・T・」が彦根市に建ったのは2009年。オーナーは、京都市で循環器科の医師として働く久保田さん。元々は相続対策として会社を設立し、お父様のクリニックと自宅のあった敷地内を活用して賃貸住宅を建築しようと考えた。

「以前からエネルギーを自給できる太陽光発電の住まいに興味がありました」と話す久保田さん。相談先のセキスイハイム近畿も、当時ソーラー住宅を手がけたばかり。社団法人新エネルギー導入促進協議会に申請するとソーラー住宅に対する設備費の補助が出ることから、この制度を利用して太陽光発電システムを搭載した賃貸住宅を建築するオーナーを捜していた矢先だった。

南向きの屋根に1戸あたり2.8キロワットの太陽光発電システムを搭載した住宅を建てることにし、セキスイハイム近畿の担当者である境貴央さんが協議会への申請書類を整えた。この住宅が先進性や波及効果など4項目を満たしていることを記載した多ページにわたる書類で、協会の精査を受け、設備費の補助が認められた。

久保田さん(右)とセキスイハイム近畿の境さん(左)

電力を自給する賃貸住宅で地球にも家計にもやさしく

「ソーラーQ・B・T・」が完成したのは同年11月。発電した電力をどう配分するかは、オーナーの意思次第で決められる。久保田さんは、発電した電力のすべてを入居者世帯に振り分けて供給し、入居者が余剰電力を売電できる「エナジーシェア賃貸」にした。

「太陽光発電の売電収入によって、自分の収益を上げることに興味はないのです。入居者のみなさんに喜んでもらえて、満足していただけるのが一番ですから」(久保田さん)

最近3年間の現況を調べると、入居者1世帯の平均光熱費は月額わずか2000円。太陽光発電で電力を作り出し、余剰電力を1キロワットあたり48円で買い取ってもらえるため、光熱費を低く抑えることができる。東北の寒冷地仕様と同等グレードのサッシを設置し、オール電化のキッチンや浴室には、深夜電力を使う電気温水器で給湯するなど省エネ性に優れ、地球にも家計にもやさしい住まいだ。

管理・運営に際してはセキスイハイム不動産にサブリース契約をして任せている。

「建築から管理まで、ハイムグループでトータルでサポートしてもらえて助かっています。建物のこともよく分かってくれているので安心です」(久保田さん)

入居者募集の際にも「太陽光発電付き」は大きな魅力となる。セキスイハイム近畿とセキスイハイム不動産は、共同して仲介会社に太陽光発電の説明会を行った。説明会に参加した仲介会社のみに仲介を依頼し、入居希望者に太陽光発電のメリットを訴えてもらった。今もずっと、入居者の光熱費のメリットを入居希望者にアピールしてもらっている。

「その甲斐あってか、1階6万9000円、2階7万3000円の家賃を新築時から一度も下げたことがありませんし、空室リスクも避けられています」と境さん。

良質な住宅をつくることで顧客満足と長期安定経営に

建物の設計や間取りプラン、住宅設備については久保田さんの奥様が積極的にかかわり「近隣の同規模の賃貸住宅よりグレードを上げる」ことを目標にした。

2階住戸へのアプローチは、外階段でなく内階段にして高級感を出す。セキュリティを考えて、1階住戸だけでなく2階住戸にも窓にシャッターをつける。近隣は2DKが多いエリアだったので、2LDKの広い住戸プランに……といった具合だ。

「良質な住宅にすれば、入居者様は快適に暮らせますし、長く住んでいただけるので経営の面でも安定してきます」と久保田さん。

敷地内駐車場は1世帯あたり2台分(賃料は1台3000円)を確保した。

「私たちは大震災から教訓も得ましたし、限りある資源をどう使うかは身近な課題。電力の買取価格の条件は以前よりは悪くなってきましたが、目先の損得勘定だけでなく、次世代のために私たちが再生可能エネルギーに関心をもつことの方が大切なのではないでしょうか」(久保田さん)

その後、お父様のクリニックと住宅の跡地にサービス付き高齢者向け住宅を、自宅の近隣に学生アパートを建て、自宅を含めた4棟すべてに太陽光発電を搭載し、エコな暮らしを満喫している。

「彦根の賃貸住宅も自宅も、室内のモニターで今、電力をどのぐらい創っているか、どのぐらい二酸化炭素排出を抑えられたかがわかります。結構うれしいものですよ」(久保田さん)

資産活用の次の狙いは「禁煙アパートをつくりたいですね。禁煙すれば体も住まいも健康で清潔になりますから」と、久保田さんは医師の顔に戻った。

鉄骨造2階建て。深夜電力を使う電気温水器でエコライフをサポート

ステンレス鋼板葺の屋根は錆びずメンテナンス費用を抑える。各戸に2.5kWの太陽光発電

1階、2階にシャッター付き断熱サッシ

外壁の磁器タイルは汚れが付きにくく、日光による色あせもない

【物件DATA】

■物件名/ソーラーQ.B.T.
■所在地/滋賀県彦根市
■築年/2009年11月
■構造・規模/鉄骨造2階建て
■敷地面積/963.15㎡
■延床面積/394.28㎡
■戸数・間取り/全6戸
 1階2LDK(59.19㎡)
 2階2LDK(68.32㎡)
■主な設備/フローリング、玄関収納、クローゼット、ディンプルキー、TVモニター付きインターホン、浴室(追い焚き機能あり)、電気温水器、対面式キッチン、IHクッキングヒーター(オール電化)、断熱サッシ(シャッター付き1・2階)、駐車場12台、駐輪場、太陽光発電各室2.5kW付き、BS・CSあり(有料放送は各自契約要)
■施工/セキスイハイム近畿株式会社

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2016年4月12日時点のものです。

取材・文/鶴見佳子 撮影/山本さとる

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