京都のアトリエ付き賃貸!昭和の学生寮を再生リノベーション
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住む家に困っている留学生のために学生寮を建て、日本の父母になろうと賃貸業を始めた祖父母。その思いを受け継ぎ、管理だけでなく入居者との良好な関係に注力してきた渡邉さんが、老朽化した建物を魅力的な住まいに甦らせた。こだわりのある住空間の再生手法を、ご紹介しよう。
多忙な管理業務の傍ら、ボーイスカウトの活動や友人たちとイベントを開催するなど、人生を楽しんでいる。「がんばる家主の会」会員。
京都の観光地の一角で8棟・100戸の賃貸経営
哲学の道や法然院など観光スポットが集まり、豊かな自然としっとり落ち着いた雰囲気が漂う左京区中南部。周辺には京都工芸繊維大学や京都大学などが点在し、京都らしい風土や歴史、文化が残っている。ここで、渡邉さんは祖父母が昭和30~40年代に建築した8棟の留学生向けアパートを引き継ぎ、賃貸経営を行っている。
いずれの物件も老朽化が進んできたので数年前から順にリノベーションを実施。この地域に愛着を持ち、そこでの暮らしに心地よさを感じている渡邉さんは、プランニングに当たって風土や環境など地域の特性を活かし、京都の古民家の良さが残りおもしろさや味わいが感じられる建物を目指した。
「今どきの画一的なデザインにしてしまっては差別化できませんし、想像を膨らませる余地がありません。入居者の方には印象深い一風変わった住まいで、思い出がたくさん残るような暮らしをしていただきたいと思います。他とは違う家や住まい方に興味を持ち、住みたいと思ってくれる人は必ずいるでしょう。これこそ物件が活きる方向だと考えました」と渡邉さん。
渡邉さんは思いやこだわりに共感してくれる建築家を探し、設計を依頼。建築会社の棟梁や職人達も熱い思いを受け止め、手間のかかる難しい注文にも快く応じ丁寧に施工してくれた。また、コストを抑えるために、他の建物の解体現場で昔の立派な建具や部材を貰って再利用したが、彼らはそれを一緒に磨いたり活用法のアイデアを出してくれた。
「施主が物件に愛着を持っていることを現場で伝えると、クオリティがぐんと上がります。オーナーは熱意を持って現場によく通うことが大事です」
古民家風町家もシェアアトリエも大好評
こうして完成した物件の代表が次の3つの事例だ。
物件1は鹿ケ谷の緑豊かな環境に調和し、古民家の趣を残した和モダンな家で、玄関前にイベントや地域の人達との交流の場にもなるテラスを設けた。
物件2は、アトリエやSOHO、オフィス用の個室が並ぶシェアルーム。談話室やトイレ、シャワーなども設置。個性的なリノベーション物件を多く取り扱う仲介会社が開催した見学会は大盛況だった。
物件3は、京都によくある昼でも暗いうなぎの寝床型の古家を、斬新な間取りで光が差し込み風が通り抜ける快適な家に再生したもの。実家とも職場とも違うサードプレイスとしても提案している。
今後もどんな斬新な家や住まい方が渡邉さんの手で生み出されるか、大いに楽しみだ。
【物件1】古民家の趣を取り入れた和モダン物件
【物件2】アトリエやSOHO、オフィス用の個室が並ぶシェアルーム
物件概要
「在り-ari」京都市左京区田中
1958年築
木造2階建て
延床面積239平米
シェアルーム10戸+住戸1戸
木村建築士HP
http://kimurashinya.com/
(株)川端組HP
http://kawabata-channel.com/
オープン見学会の様子
建築士や仲介会社担当者の説明に聞き入る入居希望者たち
【物件3】斬新な間取りで光と風を感じる快適な家
物件概要
「TINN」京都市左京区高野泉町
1969年築
木造2階建て(長屋)
延床面積43.63平米
2LDK
※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年7月18日時点の情報です。
取材・文/皆元 初香 撮影/水野 浩志