突然の賃料減額通知、どうしたらいい?サブリース契約トラブルを弁護士が解説

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公開日:2018年9月1日
更新日:2022年5月20日
突然の賃料減額通知、どうしたらいい?サブリース契約トラブルを弁護士が解説1

久保原弁護士による法律相談、サブリース契約におけるトラブルのQ&Aです。近年度々ニュースになっていますが、賃貸オーナーとサブリース会社の間で、契約書の内容をよく確認しなかったために起こるトラブルが多発しています。後々後悔しないために、サブリース契約の特徴をしっかり把握しましょう。

突然の賃料減額通知、どうしたらいい?サブリース契約トラブルを弁護士が解説2

九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也

2007年、京都大学大学院法学研究科修了。同年、司法試験合格。

2008 年、九帆堂法律事務所設立。

最高裁で勝訴した更新料裁判の大家さん側弁護団の首都圏担当。更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士としてさまざまな情報を発信。

サブリース契約6つの疑問とトラブル対処法を紹介

サブリース契約でよく起こるトラブルに対する質問とそれに対する久保原弁護士からのアドバイスを6つ紹介します。すでにトラブルに悩んでいる方、これからサブリース契約を結ぼうと検討している方はぜひ参考にしてください。

Q1:一括借り上げ契約に著しくオーナーに不利な条項があります。消費者契約法で無効を主張できますか?

A1:一括借り上げ契約(サブリース契約)に、消費者契約法の適用はありません。

賃貸マンションなどの一括借り上げ契約(サブリース契約)は、オーナーから業者が一括して物件を賃借したうえで、実際の入居者に転貸する契約です。入居者との間では業者が賃貸人となりますので、オーナーは、入居者との間の様々な賃貸業務から解放されます。

しかし、サブリース会社の中にはオーナーの知識不足につけ込み、オーナーに不利な条件を押し付けているケースも見られます。オーナーは素人で、業者はプロという点からは消費者契約法の適用もありそうですが、オーナーは「消費者」ではなく「事業者」ですから、消費者契約法の適用はありません。

サブリース契約は長期間継続するため、契約前に弁護士などの専門家に相談することを含め、契約内容の十分な検討が重要です。

Q2:一括借り上げのサブリース会社から、突然、賃料減額の通知がきて困っています。

A2:賃料減額に応じない選択肢もあります。ただし、調停や訴訟になることもあります。

賃料減額の申し入れに対しては、全面的に応じるか、一部減額に応じるか、全面的に拒絶するかという選択を迫られます。サブリース契約をやめたくない場合、一般的には減額に応じる方向で検討します。

減額を拒絶する場合、サブリース会社から解約の申し入れを受けるリスクもありますが、手続自体の流れをよく想定しておくことが重要です。サブリース契約も借家契約のため、借地借家法の適用があります。話し合いが決裂すると、裁判所に調停を申し立てる可能性があります。調停でも合意できない場合は訴訟で解決します。

なお、法的に減額請求が妥当かどうかは、個々の物件自体の評価と契約内容次第です。減額請求に疑問がある場合には、弁護士に相談していただきたいと思います。

Q3:サブリース会社との間で、賃料を変更しない特約をすることはできますか?

A3: 賃料不変特約は可能ですが、賃料減額(増額)請求をすること自体は排除できません。

長期の一括借り上げ契約でオーナーを困らせるのが、契約途中での賃料減額請求です。新築当時は高額な賃料でも、一定期間後は毎年のように賃料額が見直されて、銀行への支払いにも影響するケースがあります。そこで、賃料を増額も減額もしないという特約をしておくことでトラブルを回避できないかと考えるわけです。

当事者の意思は尊重してよいと思いますが、賃料の増額・減額請求は借地借家法で定められており、強行規定とされ、特約では排除できず、法に反する特約は無効とされます。そのため、賃料減額請求をすること自体は禁止できません。

もっとも、賃料減額の話し合いの中で、当初できるだけ賃料を変更しないでおこうとした合意の存在は、考慮される可能性があります。

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