「給排水管メンテナンス」のポイントを解説!気になる費用や工期はどのぐらい?~建物修繕を極める~

建物は、きちんと修繕対応すれば、寿命が伸びて、長く収益を生み続けてくれます。今回は、建物修繕の中でも注意が必要な「給排水管メンテナンス」について解説します。メンテナンス時期やかかる費用、入居者対応のポイントなど、ぜひ参考にしてください。

調査・診断、洗浄、更生工事など、配管設備に関することであれば、ワンストップで対応可能。これまで手がけてきた更生工事の実績は90件を超える。
築25年を目処に給排水管の検査・工事を実施しよう

給排水管には「鉄管」と「塩ビ管」の2種類があり、20〜30年前に鉄管から塩ビ管が主流になっています。鉄管か塩ビ管かによって工事方法が変わるため、所有物件の配管の材質は、建築時の図面を確認するなどして、まず把握しておきたいところです。
もし、築25年以上の物件で、1度も検査やメンテナンスをしていない場合、実施を検討しましょう。給排水管そのものの目視は難しいですが、判断材料として、給水管の「水の出が悪い」「赤水が出る」、排水管の「サビ詰まり」、「漏水」などの症状があれば、劣化が進行している証拠です。
ただ、塩ビ管であれば、半永久的に使うことができるため、特にメンテナンスなどをする必要がありません。可能であれば洗浄を1~2年に1回程度行うようにしましょう。
【基礎知識①】給排水管 検査の種類と費用の目安
◎診断・調査
排水管の残存耐久年数や汚れ具合を最新の診断機器で診断・調査。建物規模にもよりますが、10数万~50万円の費用がかかります。漏水が起こっていた場合は、発生している箇所のみ取り急ぎ対応し、全体をどうするかはオーナーが判断します。
◎クリーニング・検査
排水口から硬質の細かな粒子からなるセラミックサンドを投入。セラミックサンドが排水管内部に勢いよくぶつかり、内壁の汚れや赤サビを研磨する。終了後は管内の各部分の汚れの落ち具合を内視鏡等で確認する。
・給水管で行う場合

内部に通したカメラをモニターでチェック

内視鏡で見た給水管の内部映像
・排水管で行う場合

内部に通したカメラをモニターでチェック

内視鏡で見た排水管の内部映像
配管の種類によって異なる!工法別のメリット・デメリット
応急処置も可能ですが、鉄管の場合は「ライニング」と呼ばれる、樹脂を流し込んで内壁に均一に塗布していく更生工事がおすすめです。ただし、ライニングは塩ビ管には対応不可なのでご注意を。

左から施工前、クリーニング後、ライニング後
一般的な耐用年数が50年と言われる塩ビ管の場合、定期的なメンテナンス・クリーニングをして、できるだけ長くもたせたいところです。もし何もせずに劣化してしまえば、コストも期間も要する工事が必要となるだけに注意してください。
「すべての配管を取り替える更新工事という工法もありますが、大掛かりな工事になります。建物を長く持たせたいなら、築25年を目処に点検をして、ライニングをすれば、20〜30年は延命を図れるので必要であれば行う、というのが良いでしょう」と高橋さん。
以下で、工法ごとのメリット・デメリット、入居者への対応についてまとめていますので、参考にしてみてください。
【基礎知識②】主な工法と各工法別の入居者対応
更生工法・・・鉄管に対応。工事期間が短いのが特徴
◆特徴
·更新工事に比べると1/2~1/3のコストでできる
·世帯数や各社工法によるが、排水管は40万円/世帯、給水管は30~40万円/世帯が工事費の目安。排水管のみ工事を行う人が多い。
·鉄管が対象。塩ビ管は塗料が剥がれやすく、施工不可
◆入居者対応
内装・改装工事は行わず、排水管工事は2日、給水管工事は1日で完了。断水は1~2日間で、更新工法よりも短い。
更新工法・・・大規模な工事になり、コストも時間もかかる
◆特徴
·規模によるが、工事費の目安は100~150万円/世帯。フローリングを剥がす、器具を着脱するなど工事が必要
·3部屋あたりまでは1週間ほどの工事期間を要する
·あまりに築年数が古く、劣化が進んでいる場合、更新工事を選択するケースも
◆入居者対応
工事期間中は入居者にホテルなどで仮住まいをしてもらうため、宿泊費や交通費なども、工事費に加えてオーナー負担に。
見積もりのための現地調査は無料という会社も多いので、もし所有している物件の給排水管が心配、という方は、まずは専門会社に相談してみましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2021年6月2日時点のものです。
取材・文/本多 智裕
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