賃貸市場として有望なのはどの地域ですか

「大都市と地方」「都心と郊外」では後者の賃貸市場が厳しいといわれますが、ホントでしょうか。エリアによる違いを探ります。現在の状況だけでなく、将来の予測、政策の動きなどについても目を向けてみましょう。

人口減少は全国一律に起きているわけではありません。全体が縮小するなかで「地方都市から大都市への移動」が起きているのです。東京圏を除くと大都市圏でも徐々に減っていますが、地方が大きく減少しているのに対して減り方は緩やかといえるでしょう。

さらに大都市圏の中でも、「郊外から都心部へ」の回帰現象が起きています。各都市のビジネス中心地により近い場所へシフトしているわけです。ただし、細かく見て行くと「地方」や「郊外」の中にも、温度差があることがわかります。

下図の§1-7は、人口増加率の高い市区ランクのトップ10を示した表です。東京圏が中心になっていますが、東京都心3区の中央区・港区・千代田区にまじって、千葉県郊外の流山市・印西市・習志野市、東京都下の稲城市などが上位に入っています。

さらに、都心の中でも格差があります。2018年に東京都心6区の将来人口を推計したデータ(§1-8)を見ると、中心3区(千代田・中央・港)と周辺3区の動きがまったく異なることがわかるでしょう。なお、2013年の推計では、中心3区も2030年にピークを打って減少。新宿・渋谷両区はマイナス幅が大きくなると見られていました。しかし、都心回帰が急激に進んでいることから、シナリオが上方修正されたようです。

こうした大きなトレンドに加えて、賃貸市場をチェックするときには、さらに小さい町村単位で考えなければなりません。たとえば、若者や子育てファミリーに人気のあるエリアもあれば、認知度の低いエリアもあります。同じ市区内でも「人が集まる街かどうか」という観点で見るとまるで特徴か違うのです。

企業や大学の移転で人口が激減したり、その逆の現象が起きたりする可能性もあります。一時は大学の都心回帰が進んでいましたが、2018年6月に23区内にある大学の定員増加を抑制する地方大学振興法が成立しました。この結果、近県の大学に学生が流れる可能性が出ています。

あるいは、中長期的に見て「テレワーク=在宅勤務」が普及してくると、通勤利便性は以前ほど重視されなくなるかもしれません。こうした政策、制度の変化によって地域の人口構成が変わることも意識しておく必要があるでしょう。

仮に人口や世帯数が安定している地域でも、最寄り駅から遠い場所は避けられる傾向が強まっています。もちろん、駅から離れた場所に公共施設や商業店舗などが集まり、生活圏が鉄道駅から外れている地域や、もともと車社会で駅との近接性が重視されない地域もあります。それぞれの地域特性に応じたニーズを捕まえることが大切です。

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