賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」

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公開日:2026年4月15日
更新日:2026年4月15日
賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」1

株式会社NEXERと株式会社日住サービスは、「賃貸運用の経験がある、もしくは興味がある」とした男女139名を対象に「今後の賃貸運用」についてのアンケートを実施。その結果によると、今後5~10年の賃貸運用について、「収益が上がる」と見る人は36.6%、「変わらない」は43.9%、「下がる」と見る人は19.4%と、見通しは三極化しました。さらに運用方針では56.8%が「現状維持」を選択し、慎重姿勢が目立ちます。一方で、高齢者対応や金利上昇、人口減少といった構造的変化への関心も高まっています。ここでは、これからの賃貸経営で収益を左右する要素と実務上の対応策を読み解いていきます。

※この調査の回答者は実際の運用者に加え、賃貸運用に関心を持つ層も含まれています

「上がる・横ばい・下がる」で見通しが三分──あなたの物件はどのゾーン?

今回の調査では、「収益が上がる」と「どちらかといえば上がる」を合わせて36.6%となる一方、「変わらない」が43.9%で最多となりました。また「下がる」との見方も約2割に達しており、賃貸運用の将来は一方向ではなく、明確に分岐し始めていることがわかります。

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

グラフ画像の引用元:「今後の賃貸運用に関するアンケート」|株式会社日住サービス

「物価上昇で賃料も上がる」といった前向きな声がある一方、「賃料を上げると借り手が付かない」との慎重な意見もあり、同じ市場でも捉え方が分かれています。この背景には、立地や築年数、ターゲット層によって収益構造が大きく異なる現実があります。

つまり、これからは市場全体の流れではなく、「自分の物件がどのゾーンに属するか」を見極めることが重要です。平均値ではなく“個別・最適”で判断する時代に入ったと言えるでしょう。

さらに、同一エリア内でも物件の差別化が進んでおり、条件の良い物件とそうでない物件の収益格差は今後一層拡大していくと考えられます。

インフレは全員の味方ではない──恩恵を受けられる物件と取り残される物件の分岐点

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

「収益が上がる」「どちらかといえば上がる」と回答した層(36.6%)の多くは、「物価が上昇している」「地価も上がっている」といったインフレ要因を理由に挙げています。確かに建築費や住宅価格の上昇は、持家取得のハードルを上げ、賃貸需要を押し上げる可能性があります。しかし、その恩恵を受けられるのは一部の物件に限られます。

具体的には、都市部の好立地や築浅・リノベーション済みなど「選ばれる理由」を持つ物件です。一方で競争力の弱い物件では、コスト増だけが先行し、賃料への転嫁は難しいケースも多いでしょう。

インフレは追い風であると同時に、物件間の格差を広げる要因でもあります。賃料上昇を前提とした経営ではなく、「賃料を上げられる物件かどうか」を冷静に見極める必要があります。

加えて、ターゲット層の所得水準や地域の賃料相場を踏まえた現実的な価格設定も欠かせません。

修繕費等の増加で利益は伸びにくい構造に

最多となった43.9%を占めた「変わらない」との回答には、現場感覚に近いリアリティがあります。

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

「賃料は上げにくいが、経費は確実に増えている」という声が象徴的です。実際、修繕費は資材価格の上昇で増加傾向にあり、管理費や人件費も上昇しています。さらに金利上昇による返済負担の増加も無視できません。

こうした状況では、収入と支出が同時に上昇し、結果として利益が横ばいになる構造が生まれます。このため、今後は単純な家賃アップではなく、“コストコントロール”が収益維持の鍵となります。具体的には、修繕の計画化や無駄な支出の見直し、管理体制の最適化などが重要です。

利益を「伸ばす」よりも「守る」視点が求められる局面と言えるでしょう。加えて、長期修繕計画の見直しや資金繰りの可視化も、安定経営には欠かせない取り組みとなります。

人口減少と空き家増加で地方は競争激化へ

「収益が下がる」と回答した層(19.4%)の多くは、「人口が減る」「空き家が増える」といった需給バランスの悪化を懸念しています。

実際、「地方は特に厳しい」といった声もあるなど、エリアによる格差拡大が意識されています。日本全体で人口減少が進む中でも、都市部は一定の需要を維持する一方、地方や郊外では空室率の上昇が現実的なリスクとなります。

さらに、空き家の増加は賃料の下落圧力となり、競争はより激しくなるでしょう。このような環境では、単に保有し続けるだけでは収益は維持できません。エリアの将来性を見極め、場合によっては売却や用途の変更を検討することも重要です。

「持つこと」自体がリスクになり得る時代に入りつつあります。特に人口流出が続くエリアでは、早期の意思決定が損失回避に直結します。

オーナーの過半数が「現状維持」を選ぶ今、戦略的に動ける人に生まれる優位性とは

運用方針では56.8%が「現状維持」を選択し、「物件を増やす」は27.0%にとどまりました。

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

グラフ画像の引用元:「今後の賃貸運用に関するアンケート」|株式会社日住サービス

この結果は、賃貸オーナーの多くが拡大よりも安定を重視していることを示しています。「建て替え費用が高い」「これ以上増やさない」といった声からは、コスト上昇と将来不安が背景にあることが読み取れます。

つまり現在は、攻めよりも守りを重視する局面にあります。ただしこの状況は裏を返せば、競争が緩やかになる可能性も示しています。

慎重な賃貸オーナーが増える中で、戦略的に動ける層には相対的な優位性が生まれる余地もあるでしょう。今後は「増やすか」ではなく「残すか・磨くか」という判断が重要になります。

高齢者に貸せる物件が強くなる──見守りサービス・保証活用で「断らない経営」へ

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

グラフ画像の引用元:「今後の賃貸運用に関するアンケート」|株式会社日住サービス

今後考えるべき社会変化として最も多かったのが「高齢者入居への対応」で19.4%でした。

「高齢化で需要が増える」「貸し渋りがある」といった声が多く、需給のミスマッチが強く意識されています。単身高齢者の増加は確実である一方、孤独死リスクや保証人問題から受け入れに消極的な物件も少なくありません。

しかし、これは裏を返せば未開拓の市場でもあります。見守りサービスや家賃保証の活用、設備面での安全配慮などを整えれば、安定した入居需要を取り込むことが可能です。

今後は「誰に貸すか」という視点がますます重要になり、高齢者対応の有無が収益を左右する分岐点となるでしょう。また、地域包括ケアとの連携など、外部サービスを取り込む発想も有効です。

まとめ

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

今回の調査から見えてくるのは、賃貸運用が「一律に判断できない時代」に入ったという事実です。収益の見通しは「上昇・横ばい・下降」に分かれ、その差は物件ごとの条件や戦略によって大きく左右されます。

インフレや地価の上昇は一部の物件にとっては追い風となる一方、コスト増や人口減少は広く経営を圧迫します。

また、高齢者対応という新たな需要領域が浮上することで、従来とは異なる視点での物件価値の再定義も求められています。

こうした環境下では、「市場がどうなるか」ではなく「自分の物件をどう位置づけるか」が重要です。エリア特性を踏まえた戦略設計、コスト管理、ターゲット設定、そして出口戦略までを一体で考えることが、今後の賃貸経営における成否を分ける鍵となるでしょう。

賃貸運用による収益の見通しが三極化する時代、オーナーが今すぐ確認すべき「自分の物件の立ち位置」2

さらに注目すべきは、賃貸オーナーの過半数が「現状維持」を選択している点です。これはリスク回避の姿勢であると同時に、市場の先行きに対する不確実性の表れでもあります。

だからこそ、今後は“待ち”の姿勢だけではなく、変化に応じて小さく改善を積み重ねる柔軟性が求められます。例えば、空室対策としてのターゲット見直しや、設備更新による付加価値向上、外部サービスの活用など、実行可能な施策は多岐にわたります。

環境変化を脅威として捉えるのではなく、選別と最適化の機会と捉えられるかどうかが、これからの賃貸経営における分水嶺となります。まずは、自身の保有物件が「賃料を上げられる物件か」「競争に巻き込まれる物件か」を棚卸しすることから始めるべきでしょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年4月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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