まるで異なる顔ぶれ!『住みたい街』と『住み続けたい街』は何が違う? SUUMOランキングから読み解く

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公開日:2023年1月13日
更新日:2024年9月12日
まるで異なる顔ぶれ!『住みたい街』と『住み続けたい街』は何が違う? SUUMOランキングから読み解く1

(株)リクルートが毎年発表している『住みたい街ランキング』と『住み続けたい街(自治体・駅)ランキング』。この2つのランキング、実はランクインしている街(駅)が大きく異なっています。なぜそこまで違うのか?その理由を首都圏版で比較し、読み解きました。

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『住みたい街ランキング』総合1位は5年連続で「横浜」

2022年6月に発表された『SUUMO住みたい街ランキング2022 首都圏版』の10位までの結果は、以下の通りです。

駅名(代表的な沿線名)
1位 横浜(JR京浜東北線)
2位 吉祥寺(JR中央線)
3位 大宮(JR京浜東北線)
4位 恵比寿(JR山手線)
5位 浦和(JR京浜東北線)
6位 目黒(JR山手線)
7位 新宿(JR山手線) ※1
8位 品川(JR山手線)
9位 池袋(JR山手線)
10位 鎌倉(江ノ島電鉄線)

※1:新宿 西武新宿 新宿西口の得点を合算

まるで異なる顔ぶれ!『住みたい街』と『住み続けたい街』は何が違う? SUUMOランキングから読み解く2

そびえ立つランドマークタワーと横浜の街並み

1位は「横浜」で、5年連続トップとなりました。2位は「吉祥寺」で2018年以降、初の2位に。3位には初めて「大宮」がランクイン。神奈川・東京・埼玉の3県でTOP3を分け合うのも初となります。

都心の駅である「恵比寿」や「新宿」「品川」などに混ざり、5位に埼玉県の「浦和」、10位に「鎌倉」がランクインしています。「鎌倉」は過去最高位タイとなっています。

『住みたい街』大躍進は「流山おおたかの森」など郊外が中心

では、昨年と比べて、大幅にランクアップしたのはどの街でしょうか?

最も上昇率が高かったのは、昨年39位から16位になった「流山おおたかの森」。つくばエクスプレスの駅で、駅の名前の通り豊かな自然が残りつつも、駅前は都市開発が進んでおり、大型商業施設が揃っています。『住み続けたい街ランキング』の『子育てに関する自治体サービスが充実している自治体ランキング』でも1位になっており、子育て世帯からの支持を集めています。

また、上昇率2位「船橋」はじめ5位「北千住」8位「大宮」「調布」10位「溝の口」など、郊外の商業集積駅が上位に挙がっていることも特徴のひとつです。

46位から30位に順位を上げた「川越」、昨年12位だった「鎌倉」、101位から59位になった「江の島」など、観光地に注目が集まりつつある傾向も見られました。

『住み続けたい街』トップ3は神奈川県の駅が独占

それでは、今住んでいる街に「住み続けたいかどうか」を聞いた、『住み続けたい街(駅)ランキング』を見てみましょう。上位10位は以下の結果となっています。

順位 駅名(代表的な沿線名)
1位 湘南海岸公園(江ノ島電鉄線)
2位 馬車道(みなとみらい線)
3位 日本大通り(みなとみらい線)
4位 鵠沼(江ノ島電鉄線)
5位 東銀座(東京メトロ日比谷線)
6位 みなとみらい(みなとみらい線)
7位 石上(江ノ島電鉄線)
8位 牛込神楽坂(都営大江戸線)
9位 半蔵門(東京メトロ半蔵門線)
10位 代々木八幡(小田急線)

 

『住みたい街』とは顔ぶれが異なり、1位は、藤沢市の鵠沼・江ノ島エリアに所在する「湘南海岸公園」となっています。同じエリアからは4位「鵠沼」、7位「石上」、13位「鵠沼海岸」など、TOP50に7駅がランクインしました。

江ノ電の強さもさることながら、2位「馬車道」、3位「日本大通り」、6位「みなとみらい」、35位「元町・中華街」と、みなとみらい線の駅も多くランクインしており、沿線の人気を裏付ける結果に。所在地は横浜市であることから、『住みたい街』1位をより細分化したような結果にも見えます。

23区内では、中央区の駅が多くランクイン。代々木エリアも人気

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東銀座駅周辺

神奈川県の駅が多く「住み続けたい」と住民に愛されるなか、都心の駅はどうでしょうか。

5位に、銀座と築地の中間にある「東銀座」が入っています。TOP50には、25位「人形町」、28位「水天宮前」、29位「月島」など、中央区の駅が7駅ランクインしています。中央区のあるエリアは、江戸時代から庶民を中心に栄えた下町でもあり、お祭りや地域パトロールなど、いまでも地域の結び付きが強い場所という特徴があります。

10位には「代々木八幡」、15位「代々木公園」、19位「原宿」、26位「代々木上原」、27位「北参道」、47位「参宮橋」、といった代々木公園の周辺駅も多くランクイン。イメージの良いおしゃれな場所にありつつ、大型公園が近くにあるという環境の良さが住みやすさにつながっていると思われます。

ライフステージによっても異なる『住み続けたい自治体』

『住み続けたい街(駅)ランキング』では、同時に『住み続けたい自治体ランキング』についても集計しています。1位の「武蔵野市」は、『住みたい街(駅)』2位の「吉祥寺」の所在自治体でもあります。ちなみに『住みたい街』1位の「横浜」駅がある「神奈川県横浜市西区」は、『住み続けたい自治体』では6位でした。

『住み続けたい自治体』TOP10には2位「目黒区」、4位「中央区」、5位「渋谷区」、8位「港区」、10位「文京区」と、23区が多数ランクインしています。

3位に「葉山町」、7位「逗子市」と、「湘南・三浦エリア」も人気が高く、『住み続けたい街(駅)』で所在駅が多数上位を占めた「藤沢市」も11位に入っています。

『住み続けたい自治体ランキング』は年代別、ライフステージ別でも集計しているのですが、こちらも「武蔵野市」は人気で、シングル男性(39歳以下)、シングル女性(39歳以下)、夫婦のみの世帯で1位に。

まるで異なる顔ぶれ!『住みたい街』と『住み続けたい街』は何が違う? SUUMOランキングから読み解く2

井の頭公園など公園も多く人気の武蔵野市

しかし、夫婦+子ども世帯では1位は「東京都中央区」となりました。2位はシングル男女ともに「東京都目黒区」が1位となりましたが、夫婦のみの世帯は「神奈川県横浜市中区」、夫婦+子ども世帯は「神奈川県三浦郡葉山町」が1位となっています。

シングル男性は4位までが23区の自治体でしたが、シングル女性は3位に「千葉県浦安市」、4位に「東京都国立市」と、やや郊外傾向が強くなっています。

『住みたい』と『住み続けたい』。2つのランキングの共通点と異なる点

『SUUMOジャーナル』によると、「住みたい街」と「住み続けたい街」では、共通する高い項目があるといいます。

「人からうらやましがられそう」、「街ににぎわいがある」、「雰囲気やセンスのいい店がある」、「文化・娯楽施設が充実」などのイメージがそれにあたります。ステータスや場所としての魅力が「住みたい・住み続けたい」両方のモチベーションになっていることが分かります。

まるで異なる顔ぶれ!『住みたい街』と『住み続けたい街』は何が違う? SUUMOランキングから読み解く2

違いとして挙げられるのは、『住みたい街』では「大型の商業施設が充実」、「交通利便性が高い」などの項目が高くなっており、『住み続けたい街』では、「住民が街のことを好き」、「人目を気にせず自由な生活ができる」などの項目が高くなっている点です。

『住みたい』はハード面、『住み続けたい』はソフト面で評価されている、と言えるかもしれません。

『住みたい街』は、街そのもののステータスや利便性の良さによる部分も大きいですが、『住み続けたい街』は、街を魅力的にしようとする住民の働きが、街への愛着に少なからず関わっているようにも見えます。『住み続けたい街』を目指して努力を続けることでイメージが上がり、『住みたい街』への躍進を遂げる街も、今後出てくるかもしれません。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2022年12月12日時点のものです。

文/石垣 光子

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