火災保険を「自分で選べる」と知っている入居者は約3割。大家さんが知っておくべきポイントを解説

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公開日:2025年4月15日
更新日:2025年4月15日
火災保険を「自分で選べる」と知っている入居者は約3割。大家さんが知っておくべきポイントを解説1

賃貸住宅における火災保険には、建物全体や付帯設備を補償するものと、居室ごとの家財を補償するものがあります。前者はオーナーが加入し、後者は入居者が加入することになりますが、自分が加入した火災保険の内容について把握していない入居者も多いようです。(株) NTTドコモが18~39歳の男女を対象にした「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」についてご紹介。あわせて入居者の実態とオーナーが押さえておきたいポイントも解説していきます。

7割が「そのまま加入」…入居者は火災保険を自分で選んでいない

まず、調査では現在の火災保険にどのような経緯で加入したかを尋ねています。

Q. 現在の賃貸住宅用の火災保険に加入した状況に、
最も近いものをお選びください。
賃貸借契約の際に、不動産会社に指定された保険に加入した 60.2%
賃貸借契約の際に、不動産会社にオススメされた保険に加入した 12.6%
賃貸借契約の際に、自分で保険を選んで加入した 10.5%
保険の契約更新を機に、見直しをして加入した 3.2%
その他 0.5%
わからない 13.0%

 

実に7割以上の入居者が「指定・オススメされた保険」にそのまま加入しており、自ら選んで加入する人は1割程度にとどまります。

☝賃貸オーナーへのデータ活用アドバイス

この調査結果は、入居者が火災保険について深く考えずに、提示されたものを受け入れる傾向が強いことを示しています。

つまり、不動産管理会社がどの保険を取り扱っているか、どう案内しているかが、入居者体験に直結するとも言えます。オーナーとしては、入居者にとって「無駄な補償や高すぎる保険料」とならないよう、信頼できる管理会社を選ぶことが肝要でしょう。

自分で火災保険を選べると知っていたのはわずか3割

それでは、自分が加入している火災保険の内容について、入居者はどれくらい理解しているのでしょうか。

Q. 現在の賃貸住宅用の火災保険の補償内容や補償範囲、保険料
などのサービス内容について、どの程度理解していますか?
明確に理解している 10.5%
おおよそ理解している 40.8%
あまり理解していない 38.0%
ほとんど理解していない 10.7%

 

火災保険について、明確に理解している人が約1割で、おおよそ理解している人と合わせると、半分程度が理解しているという結果になりました。

18~39歳の若者を対象にした調査ということで、賃貸契約が初めての人や、親が家賃や保険料を払っている学生も含まれているでしょう。そのため、約半数が補償内容を理解していないのも無理はないのかもしれません。

さらに、最初の質問で不動産会社が提示する賃貸火災保険に加入した人を対象に、「自分で選んだ賃貸火災保険に加入・変更できることを知っているか」を質問。「知っていた」と回答した人は30.9%、「知らなかった」と回答した人は69.1%でした。

火災保険を「自分で選べる」と知っている入居者は約3割。大家さんが知っておくべきポイントを解説2

自分で選んだ賃貸火災保険に変更できることを知らなかった人も、14.9%が「保険の見直しをしてみたい」、38.0%が「保険の見直しに興味はある」と回答。選べると知ったことで、約半数が見直しに興味を持っています。

☝賃貸オーナーへのデータ活用アドバイス

この調査データから、オーナーが担える重要な役割が見えてきます。

「うちは火災保険が選べる物件ですよ」と伝えることで、入居者の信頼感を高めることができます。また、見直しやすい環境を整えることで、若年層を中心に好印象を持たれる可能性も。今後は「選べる安心」を提供する姿勢も差別化ポイントとなるかもしれません。

手続きは「スマホで完結」が主流に。紙の書類は敬遠される時代

賃貸火災保険を含む保険の手続きについては、どのような考えを持っている人が多いのでしょうか。保険に関する意見について、考えにあてはまるものを選んでもらったところ、「保険に加入する際の書類手続きが面倒だ」に対して「そう思う」「ややそう思う」と回答した人は85.1%という結果に。

火災保険を「自分で選べる」と知っている入居者は約3割。大家さんが知っておくべきポイントを解説2

「保険に加入するなら、手続きをスマホだけで行いたい」は「そう思う」「ややそう思う」と回答した人を合わせると77.0%に。保険加入の手続きは、面倒な書類ではなくオンラインで手軽に行いたいと考えている人が多いことがわかります。

「そう思う」「ややそう思う」を合わせて過半数を超えた項目には他に「新生活・新年度のタイミングで保険の見直しをしてみたい」、「現在加入している保険の補償内容には無駄がありそう」、「積極的に保険に入ろうとは思わない」がありました。

☝賃貸オーナーへのデータ活用アドバイス

若年層入居者にとって「手軽であること」は重要です。アナログな手続きに慣れたオーナーの方ほど、時代の変化を意識する必要があります。

例えば、オンライン手続きができる保険会社を紹介する、QRコード付きの案内を契約書に添えるなどの工夫が、結果的に入居者満足につながります。

重視するのは「安さ」と「保証」。ポイント還元にも注目

最後に、もし自分で賃貸火災保険を選ぶとしたら、どのような点を重視するのかを質問。トップ5は次のような結果となりました。

Q. 賃貸火災保険を今後選ぶとしたら、
あなたが重視する点をすべてお選びください。
1位 保険料の安さ
2位 補償限度額・範囲が十分であること
3位 保険の内容・申し込み方法が分かりやすいこと
4位 ポイントがつく、ポイント還元率が高いこと
5位 オンライン(スマホやPC)で申し込みができる

 

「保険料の安さ」が53.1%で1位で、補償内容や分かりやすさ、加入のしやすさが上位を占めています。「ポイント還元率が高い」が4位に入っている点は、コスパ・タイパを重視する若い世代らしさと言えるかもしれません。

☝賃貸オーナーへのデータ活用アドバイス

「安さ」だけでなく、「分かりやすさ」や「お得さ」も重視されています。入居者が理解しやすい情報提供をすることで、不要なトラブルや不信感を防ぐことにもつながります。例えば、入居時に保険の説明パンフを渡したり、動画リンクを送ることなども有効です。

まとめ

入居者にとって賃貸契約時は、決めることが多く、火災保険は後回しになりがちです。しかし、スマートで合理的な保険商品を求める声は確実に高まっています。

オーナーとしては、「建物の保険は自分の責任範囲」と捉えるだけでなく、入居者が加入する火災保険にも意識を向けることで、トラブルを未然に防ぎ、入居者の満足度を高めることが可能です。

また、保険に柔軟に対応できる管理会社と連携することで、「選ばれる物件」へと進化させることも期待できます。改めて意識してみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年4月15日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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