【最新】地価はピークアウト 「金利のある時代」へ警戒|アナリスト・幸田昌則の不動産市況
- 市況・マーケット
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インフレの進行が著しく、住宅市場でも、建材費の高騰や人手不足で住宅価格が上昇。購入を諦め、賃貸を検討する例も増えています。一方、株価急騰で恩恵を受け、高額な優良物件を取得する動きが活発化、取引も少なくありません。インフレ・円安・株価の上昇が、所得・資産の格差拡大に拍車をかけているなか、今後の市況を不動産市況アナリストの幸田氏が展望します。
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福岡県出身。三大都市圏の住宅情報誌の創刊責任者を歴任。1989年11月に発表した「関西圏から不動産価格が大幅に下落する」は、バブル崩壊前の業界に波紋を呼び、予測の正確さを実証した。著書に「アフターコロナ時代の不動産の公式」(日本経済新聞出版)他、多数。3月に「不動産バブル 静かな崩壊」(日本経済新聞出版)を上梓。
商業地・住宅地ともに価格は調整局面へ
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この10数年間、超低金利と異次元の金融緩和で、大量の資金が不動産市場に流入し、地価を押し上げてバブルが生まれた。都心の超一等商業地では、一度ピークアウトして盛り返してきた地点もあるが、多くの商業地では価格が買い上がるといった状況は見られなくなってきており、ピークアウトが鮮明になっている。
都心商業地価のピークアウトの要因の一つは、都心部の賃貸オフィス・店舗需要の減少で、収益性が低下していることにある。図表①で見られるように、コロナ禍前に比べて空室率が上昇しているため、ビルオーナーには経営上の警戒心が高まっている。
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こうした賃貸オフィスや店舗の空室率上昇の背景には、コロナ禍による働き方の変化で需要が減る一方、金融緩和をチャンスと見て需要を考慮せずに行われた大量供給がある。高い収益が望めない状況下において、地価のさらなる上昇は考えにくく、むしろ今後は調整局面に入ることが想定される。
住宅地価についても、これまで需要が急拡大して高騰、現在でも高値圏にあるが、建築コストの急激な上昇によって押し下げられる動きが出始めている。
住宅価格の上昇、インフレによる購買力の低下などで、需要の減退も予想され、価格は天井を打ったと思われる。この2〜3年の急ピッチな地価上昇は、不動産事業者の活発な用地取得の結果であるとの認識はしておきたい。
結論としては、個別の特殊ともいえる取引においては、驚くような高い価格での売買事例はあるにしても、地価は調整局面に入りつつあると言える。
「二極化」が一段と加速している
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住宅市場では、「売れるもの」と「売れないもの」とが鮮明になっている。高額でも即時に売れるものもあれば、売れ残ったまま、長期に滞留しているものも数多く見られる。
価格や立地に加えて、広さや間取りなどの商品企画が、買い手のニーズとは離れているものと考えられる。地価についても、地域や地点による格差の拡大傾向が続いている。
図表②は、東京23区の住宅地価を示したものだが、千代田区・港区と、足立区・葛飾区では、大きな違いがある。
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図表③は、各区の平均給与のランキングであるが、この2つの図表を見比べてみると、相関関係があるように思われる。
また、給与の高い層は給与の伸びも大きく、所得の二極化が加速していることがわかる。最近の住宅・土地の価格が二極化している要因の一つだと言える。
もう一つ、コロナ禍が落ち着いて以降、東京への人口流入は著しく、「東京圏の人口増加、それ以外の地域の人口減少」も鮮明になり、地価にも反映されている。
いずれにせよ、日本の社会・経済の構造は二極化の進行が著しく、そのことが、住宅・不動産全体の価格や取引に反映されていることを認識しておきたい。
高齢者の存在感はさらに高まっている
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人生100年時代という言葉が実感できるようになっている。私自身が高齢のせいもあるのだろうが、身近にも100歳超えの人が少なくない。そして、不動産取引でも、売り主の多くは高齢者となっている。
その要因は、彼らが不動産を数多く所有していることと、現金などの金融資産もあって購買力を持ち合わせていることによる。また長寿社会では、老後の住まい・住まい方や、生活資金の確保などの課題が出てくる。相続の問題にも関心を持たざるを得なくなる。このように、高齢化にともなう数々の課題の解決ために、不動産・住宅の売買が増えている。
さらに、市場で高齢者の存在感が高まっているもう一つの要因は、いうまでもなく、その絶対数の増加にある(図表④)。この動きを反映して、高齢者施設への入居希望者も増加。結果、施設への入居を斡旋する仲介事業者のビジネスは、活況が続いている。
年代 | 1970年 | 2020年 | |||
人口(千人) | 総人口比 | 人口(千人) | 総人口比 | 対1970年比 | |
90歳以上 | 66 | 0.0% | 2,286 | 1.9% | +3527.4% |
80代 | 878 | 0.9% | 9,113 | 7.4% | +938.2% |
70代 | 3,394 | 3.3% | 16,171 | 13.1% | +376.5% |
60代 | 6,684 | 6.5% | 15,523 | 12.6% | +132.2% |
50代 | 9,179 | 8.9% | 16,379 | 13.3% | +78.4% |
40代 | 13,146 | 12.7% | 17,939 | 14.5% | +36.5% |
30代 | 16,499 | 16.0% | 13,592 | 11.0% | ▲17.6% |
20代 | 19,632 | 19.0% | 11,867 | 9.6% | ▲39.6% |
10代 | 16,798 | 16.3% | 10,934 | 8.9% | ▲34.9% |
10歳未満 | 16,846 | 16.3% | 9,496 | 7.7% | ▲43.6% |
総数 | 103,119 | 123,399 | +19.7% |
出典:厚生労働省「人口動態調査」データより
一方で、少子化によって、多くの大学では定員割れとなり、経営が厳しくなっていると同時に、周辺の賃貸住宅では空室が目立つ。
高齢者の増加と若年層の急減という二つの現象が、賃貸住宅市場に変化をもたらしている。
「金利のある時代の到来」に警戒心を持とう
我々は、長期にわたる超低金利と金融緩和に慣れきってしまった。「金利が、ほとんど無いのが普通」と考える人が大半で、金融機関に勤務する職員でさえ、利上げへの対応に戸惑っているという新聞記事もあったほどだ。
しかし、そう遠くない時期に「利上げがある」ことを前提として、事業計画・人生設計を考えておくことが重要となる。人生において「現在の状況がいつまでも続く」という保証はない、ということを肝に銘じて、将来のリスクを避けたい。そして、金利の上昇は、不動産価格の調整を促すことになる。
※この記事は2024年5月20日時点の情報をもとに制作しています。
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膨大なデータを読み込み、現場の声を聴いて、不動産市場の行方を的確に示しつづけてきた不動産市況アナリスト・幸田昌則氏が「不動産バブルの静かなる崩壊」について語っています。ぜひチェックしてみてください!
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