【最新】不動産市場の現状と展望。政治•経済の混迷深まる|アナリスト・幸田昌則の不動産市況

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公開日:2026年3月31日
更新日:2026年4月14日
【最新】不動産市場の現状と展望。政治•経済の混迷深まる|アナリスト・幸田昌則の不動産市況1

ホルムズ海峡

高市政権が従来から主張する「責任ある積極財政」を推し進めれば、鈍化傾向が見られる不動産市況の下支えも期待できましたが、イラン紛争の勃発で先行きが不透明な時代になってしまいました。不動産市況の現状と展望を不動産市況アナリスト・幸田氏が解説します。

寄稿いただきました
【最新】不動産市場の現状と展望。政治•経済の混迷深まる|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

不動産市況アナリスト 幸田 昌則氏

福岡県出身。三大都市圏の住宅情報誌の創刊責任者を歴任。1989年11月に発表した「関西圏から不動産価格が大幅に下落する」は、バブル崩壊前の業界に波紋を呼び、予測の正確さを実証した。著書は「不動産バブル 静かな崩壊」(日本経済新聞出版)など多数。「不動産バブル 静かな崩壊」(日本経済新聞出版)が好評発売中。

住宅需要は、新築から中古、持ち家から賃貸への動きに

デフレ経済からインフレ経済に変化したことで各種の物価上昇が一段と進行しているが、住宅・建設業界でも建築費の高騰が続いている。人手不足もあって、工期の遅れも目立ってきている。完成時期のズレで、資金繰りに窮する業者も散見されるようになった。

この数年間、地価と建築費の高騰で新築のマンションや戸建ての販売価格も値上がりし、新築マンション価格は年収の10倍超という水準に達している。

その結果、図表❶に示されているように、着工数や供給数に比ベて販売戸数(成約件数)が少なく、売れ残りが増加している。

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一方、新築住宅よりも割安で居住面積が広い中古住宅には値ごろ感があり、需要が強く、成約件数は好調に推移している(図表❷)。

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しかし新築マンションの値上がりにつられて高騰した高価格帯の中古マンションは、売れ残りの増加が著しく、市場に滞留している(図表❸)。

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住宅価格の高騰が常態化したことで、住宅購入を諦めて「賃貸住宅」に住み続け、様子をうかがう姿勢も見られるようになった。

その結果、大都市では利便性の良い賃貸住宅需要の強まりを背景に、家賃値上げの動きが拡大している。特にファミリータイプの広めの住宅は、値上がり幅が大きくなっている。

一方、貸し手側のオーナーは、主に東京都心部において、家賃の値上げを容易にするために「定期借家」という契約形態を採用するケースが出ている。定期借家であれば、期間満了後に新たな条件で再契約できることから、利用が広がっている。インフレによる保有コストの負担増加を、賃借人との交渉で揉めることなく価格転嫁する意図をもっての手法である。

深刻な「人手不足」で新たな住宅需要が生まれる

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この数年間、産業界では深刻な人手不足の状態が続いている。インフレによるコスト負担増大を要因にした倒産と並んで、人手不足による倒産・廃業も目立っている。

大手・中小企業を問わず、人材確保のために給与の引き上げ競争をしているが、最近では寮や社宅などの住宅を用意する動きが活発化している。

ある賃貸アパートの販売会社の話を聞くと、これまで新築アパートの購入者は、すべて相続税対策として個人の資産家が購入していたが、現在では大半がアパート立地周辺の中小企業で、寮・社宅用に購入するという。

人手不足という経営課題を解消するために、価格が割高であってもアパートを購入するケースが見られ、「人手不足」が思わぬ新たな住宅需要を生んでいる。

資金力のある大手の上場企業では100戸以上、大手メーカーでは1000戸に近い大規模な寮や社宅確保の動きも出ている。戦後の高度成長期に見られたような動きの再現であり、歴史は繰り返されている。

イラン紛争の勃発で政治・経済のリスクが高まる

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2月8日の選挙結果を受けて、日経平均株価は急騰し、一時は6万円をうかがうところまで来たが、イラン紛争の勃発で急落してしまった。長期化が想定されることから、政治リスクは高まり、日本経済の行方についての正確な見通しは、誰にも語れないと言える。

今後もホルムズ海峡の封鎖が続けば、原油価格の高騰は避けられず、インフレが加速することになる。建築資材がさらに値上がりする可能性は高く、住宅・賃貸アパート・ビル等の新規着工数の減少が懸念される。

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株価急落の影響については、今後の株価の動向にもよるが、富裕層や企業経営者に心理的な不安を抱かせることになったことは確かだろう。これまで不動産や株式の価格高騰によって資産が拡大したことで、収益物件やセカンドハウスの購入意欲が高まっていたが、今後は陰りが出てくることも想定される。

イラン紛争で「有事の米ドル買い」となって円安が進み、加えて今後の原油高を考えると、日本のインフレは一段と進行することになる。さらにインフレが進行すれば、日銀による政策金利引き上げも予想される。

混迷し始めた現在、しばらくは静観するという姿勢も大事だと言える。

相続税の課税対象者が増加。節税需要が市況を下支え

リーマンショック以降、日本の富裕層は確実に増加し、彼らの保有する資産額も増加している。相続税の課税対象人数の増加は、大都市圏の居住者の所有する不動産価格の上昇と、株価や金価格などの高騰によるものだと思われる。

今後も積極財政政策が実行に移されていけば、国民の間の所得と資産の格差拡大に拍車がかかることは必至である。富裕層による資産拡大と節税対策のための不動産取得は、大きな流れでいえば底堅く推移していくと考えられる。

ただ直近では、金利上昇による不動産全体の減速も想定される。高市政権の舵取りは、不動産市況にも少なからず影響を及ぼすことになる。

※この記事は2026年3月10日時点の情報をもとに作成されています。

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膨大なデータを読み込み、現場の声を聴いて、不動産市場の行方を的確に示しつづけてきた不動産市況アナリスト・幸田昌則氏が「不動産バブルの静かなる崩壊」について語っています。ぜひチェックしてみてください!

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