相続税・贈与税の改正も影響?貸家新築着工数が20か月連続増加中!来年以降の動きは?

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公開日:2022年12月14日
更新日:2024年3月14日
相続税・贈与税の改正も影響?貸家新築着工数が20か月連続増加中!来年以降の動きは?1

国土交通省が毎月集計している「建築着工 統計調査報告」の令和4年10月分が発表されました。ウッドショックや世界情勢の影響もあって住宅全体の着工数が伸び悩むなか、貸家は20か月間も増加が続いています。どのくらい、そしてなぜ増えているのでしょうか。全体統計の概要や最近の動向も合わせて解説します。

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全体の新設住宅着工戸数は3か月ぶりの減少

まずは、統計調査報告の全体とその内訳からご紹介します。

【総戸数】
新設住宅着工戸数・・・76,590 戸
(前年同月比△1.8%で3ヵか月ぶりの減少)

【内訳】
持家・・・21,834戸
(前年同月比△18.7%で11か月連続の減少)

貸家・・・31,996戸
(前年同月比+7.3%で 20か月連続の増加)
民間資金による貸家・・・28,991戸(同+4.5%で 4か月連続の増加)
公的資金による貸家・・・ 3,005戸(同+44.7%で先月の減少から再びの増加)

分譲住宅・・・21,841戸(前年同月比+4.8%で3か月連続の増加)
マンション・・・9,298戸(同+10.2%増で3か月連続の増加)
一戸建住宅・・・12,462戸(同+1.4%増で18か月連続の増加)

貸家が増加を続けていますが、分譲戸建ても18か月連続で伸びています。これは、テレワークの定着による一戸建て傾向、郊外化傾向が影響しているのかもしれません。

住宅全体では、前年同月比1.8%のマイナスですが、ここ最近はやや増加傾向にあったため、3か月ぶりの減少となりました。

20か月増加中の貸家着工数。これまでの推移は?

貸家の伸びと増加傾向が目立ちますが、ここまでの動きはどうなっているのでしょうか。

令和4年10月の貸家着工数は3万1,996戸で前年同月比+7.3%。直近1年は毎月2万~3万戸台前半の間を推移しており、令和4年3月の3万2,305戸(前年同月比+18.6%)が戸数・前年同月比ともにトップでした。令和3年11月と令和4年6月、7月は前年同月比1%台で、微増にとどまっています。

図1.過去10年の新設貸家着工数
相続税・贈与税の改正も影響?貸家新築着工数が20か月連続増加中!来年以降の動きは?2

年単位で見ると、ここ10年で最も貸家の着工数が多いのは平成28年度の42万7,275戸でした。そのあとは令和2年度まで4年間、前年比マイナスが続き、令和3年度の33万0,752戸で、ようやくプラスに転じています。

貸家の着工が増えている理由は税制改正?

貸家の着工数が増え続けている理由には、どのようなものが考えられるでしょうか?落ち込みからの反動や、金利引上げへの懸念と駆け込みなどのほか、令和4年度の税制改正も関わっていると考えられます。

過去10年でも、2015年1月の相続税改正で、基礎控除が「5000万円+1000万円×法定相続人数」から「3000万円+600万円×法定相続人数」に下げられました。

多額の現金や資産価値が高い不動産を持っている場合は、改正前より相続税負担が大きくなるため、貸家を建築して相続税評価額を下げる対策をとった人も。その影響もあって2015年度、2016年度と貸家着工数が伸びています。

相続税・贈与税の改正も影響?貸家新築着工数が20か月連続増加中!来年以降の動きは?2

2022年の税制改正で注目されていたのは「相続税と贈与税の一体化」で、2020年12月に「2021年度税制改正大綱」によって一体化への検討を進めることが発表されました。今回、一体化は先送りとなりましたが、来年以降に改正が実行される可能性は大いにあります。

相続税と贈与税の一体化により、財産を贈与で移行させても、かかる税金の金額は相続した場合と同じになります。贈与による節税ができなくなるため、2015年の時と同じく、あらかじめ貸家を建築することで、節税を講じるケースが増えていると考えられます。

来年以降も貸家着工数は増え続ける?

それでは、今後も貸家着工数は増え続けるのでしょうか?

貸家に限らず、2022年から生産緑地指定の解除が始まったことで、宅地化された土地が売却されたり、土地活用されたりといった動きが、今後も盛んになると見られています。

相続税・贈与税の改正も影響?貸家新築着工数が20か月連続増加中!来年以降の動きは?2

しかし、一方で懸念されるのが、供給過多の問題。平成30年の総務省の調査※によると、空き家数は848万9千戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めています。しかもその半数以上が「賃貸用の住宅」で、さらにその8割近くが民営の賃貸住宅です。

日本の人口が減るなか、今後は外国人や高齢入居者への対応などが求められる可能性も出てくるでしょう。情報収集を怠らず、物件の差別化を意識していくことが、今後の賃貸経営にはさらに必要になりそうです。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2022年12月14日時点のものです。

文/丸石 綾野

詳しい調査データはこちらから確認できます

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