タイパの次は“スぺパ”?若者は部屋が狭くても平気?狭小物件に住むZ世代が広さよりも重視する条件とは

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公開日:2023年11月7日
更新日:2024年3月8日
タイパの次は“スぺパ”?若者は部屋が狭くても平気?狭小物件に住むZ世代が広さよりも重視する条件とは1

東京都では、ここ3年で賃貸マンションの賃料が約5%上昇しました。対して2020年~2022年の初任給は高卒で+約2%、大卒で+約1%と、家賃の上昇に追いついていません。住宅事情が厳しくなるなか、若い世代を中心に狭小物件への注目度が上がっています。しかし、ただ「狭い・安い」だけではダメな様子。いったいどういうことなのでしょうか。詳しく見てみましょう。

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「家賃が高い」だけじゃない、あえて狭小物件に住む理由とは

「家賃の目安は手取り収入の1/3」とよく言われますが、東京23区ではワンルームの家賃相場が10万円以上のエリアも増えてきています。20代前半から手取り収入で30万円以上を得られる社会人は少数派でしょう。

新社会人や学生は都内に住むことすら難しくなっている現状のなか、家賃6万円以下の賃貸物件の専門店「部屋まる。」が「狭小物件」についての調査を発表しました。

ここで言う狭小賃貸物件の定義は15㎡以下。都内で築浅(10年以内)・狭小物件に住んでいる人にその理由を聞いたところ、次のような結果が出ています。

Q. 狭小物件に住み始めた理由は?(上位3位)
1位 立地・周辺環境を重視したから 40.3%
2位 家賃を重視したから 30.3%
3位 通勤・通学時間を重視したから 26.6%

 

お部屋探しを始める段階から狭小賃貸物件に絞ったわけではなく、希望条件に沿って物件を探していくなかで「狭小でも、他の条件が良ければ」と選択肢の一つとなったことが分かります。広さよりも、立地や家賃などを重視した結果という見方もできます。

意外と長く住める?狭小住宅だからこそのメリットも

実際、狭小住宅に住んでみた感想はどうなっているのでしょうか。回答者のうち4人中3人は、狭小物件に住んでみて「満足している」と回答。狭小物件に住んでみて「掃除が楽」「生活動線がシンプル」「光熱費がかからない」というメリットを感じている人が多くいました。

さらに、45.2%が「4年以上住んでいる」と回答。「最初は妥協したとしても狭小物件は長く住めないのでは?」という予想をくつがえす結果となっています。

調査では、「入居後に自分では解決できない”家賃”と”立地”の部分を重視し、工夫すれば自分で解決できる”収納”や”動線”の部分は、優先順位を下げて決断されているのでは」と分析。

部屋の狭さが気にならなければ、立地や家賃を重視する人にとっては住みやすい物件であることが多いようです。

予算を死守する現実志向のZ世代。それでも妥協しない条件は?

タイパの次は“スぺパ”?若者は部屋が狭くても平気?狭小物件に住むZ世代が広さよりも重視する条件とは2

続いて、Z世代の女性を対象にした(株)CHINTAIの調査を見てみます。20代で約50万円、30代で約100万円、平均年収の男女差がある(男性の方が高い)日本。男性よりも女性の方が、金銭的にシビアな人がより多いといえるでしょう。

まず、先ほどの調査と同じお部屋の広さについてですが、Z世代(27歳以下)の住んでいる部屋はY世代(28歳~42歳)の部屋よりも狭いという結果が出ました。

Z世代では、約54%と過半数の人が25㎡未満のお部屋に住んでいる一方で、Y世代は約38%。15㎡未満の部屋に住んでいる人も9.5%で、Y世代4.5%の約2倍になります。

お部屋探しの際に「お部屋の広さを妥協した」人の割合は、Z世代が35.7%、Y世代が40.2%。Z世代の方が、最初から広さに対するこだわりが小さいのかもしれません。

しかし家賃については逆で、「家賃を1万円以上妥協した」人はY世代で約34.4%なのに対して、Z世代は約23.8%。10%以上の開きがあり、Z世代は家賃を妥協しない傾向が表れています。

設備については、Z世代は「システムキッチン」「独立洗面台」を妥協した割合が多い一方で、「収納」「バス・トイレ別」は妥協していないと答えた人がY世代より多くなりました。特に「バス・トイレ別」はY世代と10%以上の差があります。

Z世代のお部屋は「スペースパフォーマンス(スぺパ)」を重視

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Z世代といえば、動画コンテンツを倍速で視聴するなど、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する傾向が話題になっていました。タイパに次ぐ流行語となるか?といわれているのが「スペースパフォーマンス(スぺパ)」というワード。

「スぺパ」とは、空間を効率よく利用した暮らし方のこと。(株)CHINTAIでは移動可能で邪魔になりにくいキッチンワゴンを使ったインテリアを提案しています。

他にも、ベッド下に作った収納スペースや、壁に付けられる家電、突っ張り棒を使った収納術なども「スぺパ」の具体例です。狭小住宅がより身近な若い世代には、とても親和性の高い生活の知恵と言えるでしょう。

東京では「3帖アパート」という新たなマーケットが登場

先述してきたようにZ世代を中心とした若者は広さに強いこだわりがない一方で、家賃やエリアなど譲れない条件がある傾向が分かりました。

そのニーズに応える商品も生まれています。3畳一間の賃貸住宅ブランド「QUQURI(ククリ)」もそのひとつ。(株)SPILYTUSが提供する同賃貸住宅は、3畳一間にトイレとシャワー室、一口コンロのキッチンを含めて広さは9㎡。コンパクトながらも「バス・トイレ別」は妥協しない人が多いZ世代のニーズとも合っています。

タイパの次は“スぺパ”?若者は部屋が狭くても平気?狭小物件に住むZ世代が広さよりも重視する条件とは2

家賃は5~8万円が中心。都区部中心の好立地で多くがロフトを備え、スぺパも重視したつくりとなっています。「狭くてもいいから、便利な立地でキレイな部屋に住みたい」という需要をかなえるものになっています。

いくら好立地でも、18㎡で家賃10~16万円だとなかなか入居者が決まりにくいところを、狭小に振り切って利益化する試みは、賃貸オーナーにとってもスぺパが高いと言えるでしょう。

同社サイトによると「QUQURI(ククリ)」の平均空室期間(退去者が出て、次の入居者が入るまで)は14 日程度。東京のワンルームの平均空室期間である29.7日と比べると、倍以上の早さで入居者が決まるということになります。

まとめ

スぺパが重視される流れは日本に限ったことではありません。家賃が高騰しているサンフランシスコでは、シングルベッドほどの寝台スペースが月700ドルで貸し出され、話題になっているようです。700ドルといえば約10.4万円。「ポッド」と呼ばれるこの部屋での生活が、動画サイトなどでも公開されています。

タイパの次は“スぺパ”?若者は部屋が狭くても平気?狭小物件に住むZ世代が広さよりも重視する条件とは2

サンフランシスコの家賃相場はワンルームでも3,000ドル(約44.8万円)と、東京よりもさらに厳しい住宅事情となっています。しかし、サンフランシスコはAI企業が多く立地しており、若者たちが集まる都市でもあります。若者と狭小住宅の関連性はここでも成り立ちそうです。

好立地という強みを最大限に利益化するために、狭小賃貸を経営するというのもひとつの選択肢。しかし、ただ狭い・安いだけではなく、ターゲットのニーズをしっかりつかむことが肝心です。「狭くてもメリットあり」と入居希望者に感じさせる間取りの工夫や設備投資が不可欠と言えるでしょう。

※円⇔ドル換算は2023年11/6時点

※この記事内の情報は2023年11月6日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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