突然の賃料減額通知、どうしたらいい?サブリース契約トラブルを弁護士が解説
- 弁護士・司法書士
Q4:入居者退去時の改修について、サブリース会社の見積もりは高いので他に依頼したいのですが?
A4: 他の会社に依頼することができるか、サブリース契約の内容を確認してください。
入居者退去時の改修(入居者負担の原状回復費用以外の費用)について、通常はサブリース契約の中で詳細に定められています。入居者との間ではサブリース会社が賃貸人ですので、次の入居者を募集するための改修費用はサブリース会社が負担するようにも思いますが、多くの場合、オーナーが負担するものとされ、さらにその際の改修業者はサブリース会社の指定会社と定められています。
このような場合、暴利行為に該当するなどの例外を除き、当事者であるオーナーは契約内容に拘束され、原則として、他の会社に依頼することができなくなります。
ここでも、後悔しないために、サブリース契約は契約内容を十分検討してから締結することが重要だと分かります。
Q5:サブリース会社が賃料を滞納しています。入居者に直接賃料請求をしてもよいですか?
A5: オーナーは、サブリース賃料額を直接、入居者に請求することができます。
適法な転貸の場合、転借人(入居者)は、原賃貸人(オーナー)に対して、直接に義務を負うとされています(民法613条)。そこで、オーナーは入居者に直接賃料請求をすることができます。
オーナーの所有物を入居者が使用収益しているという事実がある以上、契約関係はなくても、オーナーを保護する必要があると考えられているのです。この場合、オーナーが入居者に請求できるのは、入居者が支払うべき賃料額ではなく、サブリース会社がオーナーに支払うべき賃料の範囲に限定されます。
なお、サブリース会社に複数区画を賃貸している場合、サブリース会社に賃料滞納が生じると高額となり、オーナーには深刻な打撃となります。サブリース会社選びでは、経営状態も重要な要素です。
Q6:サブリース会社との契約をやめたいのですが、解約を拒否されて困っています。
A6:「正当事由」の有無が争点とされますので、専門家に相談しましょう。
サブリース会社は、利益が出ている間はサブリース契約を続けたいと考えます。そこで、契約の解約はしばしばトラブルとなります。
借地借家法28条では、賃貸人から借家契約の解約や更新拒絶をするためには、「正当事由」が必要だとされています。サブリース契約も借家契約のため、サブリース会社は「正当事由なし」として解約も更新拒絶も認められない(いつまでも続く)と主張するのです。また、極めて高額な違約金(立退料)を請求されるケースもあります。
この問題は、サブリース契約に借地借家法28条の適用があるのか、あるとして、正当事由はどのような要素で判断されるべきかといった未解決の論点を含みます。まずは弁護士に事情を説明し、解決の糸口を探すことをおすすめします。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年6月5日時点の情報です。
イラスト/黒崎 玄