相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン

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公開日:2025年6月1日
更新日:2025年6月25日
相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン1

「相続はまだ先」「準備はまだ早い」と思っている賃貸オーナーのみなさん、“賃貸経営の基本”をおろそかにしていませんか?たった2つのことを実行しておくだけで、いざ本格的な相続対策に取り組むときにも有効!今すぐ打つべき一手とは?株式会社市萬の西島氏に伺いました。

この記事の取材・監修
相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン2

株式会社市萬 代表取締役 西島 昭 氏

大学卒業後、株式会社リクルートに入社。1999 年、不動産に関する問題解決に特化したコンサルティングを行う「株式会社市萬」を設立。金融機関と提携し、様々な不動産保有者の問題解決を行っている。

賃貸経営の基本を抑えて相続・トラブルに備える

賃貸経営を行うオーナーの間では「まだまだ現役。賃貸事業の引き継ぎや相続といわれても現実味がない」という声が少なくありません。

しかし、オーナーとして、急な相続や突然の病気などで事業の継続が難しくなった場合に備えて必ずやっておいてほしいことが2つあります。経営の3大要素ともいわれる「ヒト・モノ・カネの整理・保存」と、「思いの伝達」です。

相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン2

「この2つを実行しておくと、トラブル防止に役立つだけでなく、いざというときの賃貸事業の継続、相続への備えにもつながってきます。実は賃貸経営の基本とも言ってもいいでしょう」とコンサルタントの西島さんは指摘します。

賃貸経営の基本ともいえる2点を押さえておくだけで、長く安定した事業の下支えになり、万が一の病気などによる突然の引き継ぎや相続の発生もこわくありません。

経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を準備

相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン2

「ヒト・モノ・カネ」を賃貸事業でいえば、協力会社などの人脈、建物設備に関する情報、保有資産の中身となります。この3つを自分以外の誰も知らないまま賃貸経営を引き継いだらどうなるか……。

●ヒト 入退去の手続きや原状回復、賃貸経営やお金に関する相談に関して、どこに連絡すればいいかわからない。
●モノ 図面がなく、修繕やリノベーションの際、確認に余分な時間や費用がかかる。検査済証がなく、建物の増改築や用途変更、売却に支障が出る。修繕履歴がわからず、設備の保証期間が確認できない、売却の際に不利になる。
●カネ 税金の支払い、借入の返済などがままならない。「特に図面がすぐに出てこない方は多いです。すべての情報をスキャンしてデータ化しておけば、日常管理でも事業を引き継ぐときも便利です」

 

「ヒト・モノ・カネ」が経営に欠かせない3大要素であることは、賃貸経営でも例外ではありません。この3つを整理・保存しておけば、日常の管理運営においても、トラブルへの迅速な対応、無駄の防止が可能になります。これを相続の備えにつなげるために、保有する資産も含めて親族が確認できるような形で残しておきましょう。

ちゃんと手元にありますか?図面がないだけでトラブルは拡大!

相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン2

「水漏れが起きたとき、給排水管の位置がわからず、原因箇所を突き止めるために床全面を剥がす事態に。入居者への影響も大きくなり、ホテル代もかさんだため、時間とお金のロスが非常に大きくなった事案がありました。図面をデータ化して保管しておけば、すぐに設備会社にメールで送って対処できます」(西島さん)

“思い”が賃貸経営のガイドラインに

相続に向けた第一歩。専門家が伝える今すぐ着手しておくべき賃貸経営2つのキホン2

次の「思い」は、一見抽象的ですが、賃貸事業を引き継いだ側にとって、経営や財産管理のガイドラインにもなる重要な要素です。

先代が賃貸経営を始めた目的や方針がわからないと、事業を続けていくうちに判断に迷ったり、引き継いだ次世代が戸惑い、苦労します。

「代々の土地を守るべきか? 売却してもいいのか」「賃貸経営は長期安定を重視するか、短期的な収益拡大を目指すか」など、先代の“思い”は判断に迷わないための指針となります。

「賃貸経営の事業目的や方針が曖昧なままでは、次世代が勝手に『土地を守るべき』と思い込んで余計な苦労をしたり、有効な対策が打てなくなるかもしれません。相続争いのタネにもなります。遺言までいかなくても、経営指針のような感覚で伝えられるように準備しておくべきです」(西島さん)

将来の事業承継や相続対策にもつながる2つの対策

「入居者対応や建物のメンテナンスなど賃貸経営の実務については、8~9割は管理会社に任せても大丈夫でしょう。ただし、残り1~2割は、経営者としての意思決定が必要なため誰も助けてくれません。オーナーの価値観、人生設計、家族関係などがかかわるからです。この部分を次世代に伝えるための必須の要素が『ヒト・モノ・カネ+思い』です」(西島さん)

この2つの対策は、オーナーの気持ち次第で今すぐに始められます。コストもか不要。それが将来の事業承継や相続対策にもつながるなら、やらない手はありません。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2025年6月1日時点の情報です。

取材・文/木村 元紀

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