2023年度税制改正の影響は?相続をとりまく「最新動向」とこれからの「財産対策」|青山財産ネットワークス
相続をとりまくルールが変わるとされる2023年度税制改正。果たしてそのインパクトは?実は、もっと重要なポイントもあります。大切な財産を守り、次の世代へ引き継ぐために、これからの相続対策で大切なことは何か、財産コンサルティングのプロに解説してもらいました。
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お話を伺った方
株式会社青山財産ネットワークス
執行役員
コンサルティング第一事業本部 本部長
小野 高義さん
住宅メーカーより同社へ入社。相続、不動産、建築と幅広い知識と経験をもとに、財産承継コンサルティングに取り組む。金融機関との連携により個人、法人の課題解決に従事。
税制改正のインパクトは小?相続対策の基本は不変
2023年度の税制改正において、相続と贈与に関するルールが久しぶりに見直されます。
まず、注目すべき改正点は贈与税の暦年課税で、相続前贈与の加算期間が3年から7年に延長され、生前贈与に対する実質的な課税強化が行われる点。一方、相続時精算課税制度については、基礎控除が新設されるなど使い勝手の向上が図られています。
メディアでは「65年ぶり大改正。相続対策の常識が激変/“駆け込み節税”ラストチャンス」と煽り気味の記事が出回っていますが、実際の影響はどうでしょうか。
「資産構成が金融資産中心、かつ相続税の水準もあまり大きくない方で、目先の節税効果を期待していた場合などは今回の改正は確かに痛手でしょう。しかし不動産を中心に数億円以上の財産があり、本質的な事業承継対策が必要な層には、大きな影響はないのではないでしょうか。財産を多角的に捉え、長い目で計画を立てる相続対策の基本は変わらないからです」
最高裁判決の影響は大!教訓は、正攻法の対策を
「むしろ、不動産オーナーに影響が大きいのは、2022年4月に出された“総則6項”に関する最高裁判決です」
総則6項とは、国税庁が出している財産評価基本通達の規定の1つ。財産評価基本通達による評価額(土地の場合は路線価等)が「著しく不適当」な場合は、国税庁が異なる時価で課税できるというルールです。国税庁が路線価を否認できる根拠とされる規定であり“伝家の宝刀”とも言われます。
総則6項とは?
財産評価基本通達では、財産の種類ごとに評価方法を定め、市街地の宅地については路線価方式を原則としています。しかし、同通達総則6項では「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定。
● 直前直後の対策(相続発生前後数年以内の不動産の売買)
● 過度な借入れによる不動産の購入(返済能力、債務超過で他の財産を圧縮)
● 経済合理性の欠如(本人の判断能力、不動産事業の経済合理性、マイナスのキャッシュフローなど)
● 節税以外の目的がない不動産の購入
路線価評価の否認判決
事件の概要は次の通り。被相続人となる当主が90歳を過ぎてから、過大な借金をして合計で約14億円に及ぶ2棟の収益物件を購入。2棟目購入後3年弱で当主が亡くなった際、これらの物件を路線価方式等を用いて評価。相続人は当該物件を購入価格の4分の1程度として評価、かつ相続税額は0円として申告を行いました。
これに対して国税当局は、「著しく公平に反する」として、路線価ではなく不動産鑑定評価を採用。相続人は数億円の追徴課税を受けました。これを不服として相続人が訴訟を起こすも、最高裁まで争った結果相続人が敗訴し、判決が確定。
「この判例で、相続対策が難しくなくなると心配するオーナーも少なくありませんでした。ただ本事件については、被相続人が高齢であることや相続税額が0円であること、銀行の稟議書にも相続対策と記載されていたことなど、極端な事例であるため、見せしめ的に処分された面が大きいのではないでしょうか。
今後も相続税の申告の場面では、土地については路線価方式が原則として認められます。一方で、今回の最高裁判決は総則6項の適用基準を示したものではなく、適用基準が依然明確でない点には注意が必要です。私見ですが不動産事業として成立しない対策は控えること。経済合理性のある収支計画に裏打ちされているなど、事業投資目的であることが明確に説明できる状況になっていることが必要であると考えています」
リカバリーショットが増加。ハンデをつける公平さも大切
相続対策の指南書は世の中にあふれているが「実は対策がうまくいかず、ゴルフで言うバンカーからのリカバリーショットが必要な相談が増えています」と小野さん。
例えば、遺言書を作ったから分割は万全と言っていた父が亡くなり、いざ遺言書を開いたら、次男が『こんなはずじゃない』と激怒して、弁護士を立ててきたり、あるいは一次相続で『兄弟が多いからとりあえず共有に』と問題を先送り。共有不動産は、売るにも貸すにも共有者全員の同意が必要で、一人では決められない。そのため負動産化したり、二次相続で問題が顕在化する例も珍しくありません。
「コロナ禍で会う回数が減り、家族の絆が希薄になっているせいか、お互いの本音がわからず、相続が発生してから揉めるケースも増えています。経済価値だけで平等に分けるのも難しい。価値観や状況が違うため、金額が違っていても『私は現金がいい』『僕はアパート経営したい』といった子供の意向を汲んであげること。状況に関わらず均等に分けるより、必要に応じて適切なハンデをつける発想で、公平な承継を目指しましょう」
財産の手当と想いを共有し、できることから始めよう
これから必要な相続対策の王道は「財産の手当」と「想いの共有」の両輪だと小野さんは強調します。
「まず財産全体を、①利用するもの②残すもの③備えるもの④処分・改善するものに分けて、それぞれの時価、相続税評価、税引き後の現金収支などを多角的に分析して見える化します。その上で誰にどう承継するか、家族一人ひとりに寄り添い、お互いの想いを尊重しながら進めることが大切です」
相続対策といえば、建てるかリノベか売却か、何かしないといけないと思いがちですが、「何もしない選択もある」と小野さん。
「今は、まだ動く時期ではないというケースもあります。優先順位を決めて、できるところから始めればいいでしょう」
何からどう始めればいいか迷っているなら、まずはフェスタのセミナーに参加してみてください。
これからの財産対策のポイント
- 誰に何を承継するか決めておく
- 将来の相続税の納税プランを立てておく
- 自分がいなくなった後の配偶者等の生活設計を用意する
- あらゆる「まさかの事態」に備える
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