築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析

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公開日:2025年12月17日
更新日:2025年12月17日
築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析1

国土交通省が公表した令和6年度の「住宅市場動向調査」によると、賃貸住宅の世帯主は30歳未満がトップの34.6%を占めています。そのため「UNDER30世代」の暮らしの実情を把握することが、今後の賃貸経営にとって重要なカギといえるでしょう。そこで今回はアットホーム株式会社が実施した、一人暮らしをしている全国の18~29歳の学生・社会人を対象とした賃貸住宅に関する調査の結果もあわせて分析。空室対策などの参考にしてみてください。

築浅よりもコスパ重視?平均築年数は13年

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

現在の部屋の「築年数」について聞いてみると、学生・社会人ともに「10年以内」が約20%で最多となる結果となりました。

さらに、学生・社会人ともに「新築」~「15年以内」の合計では学生で68.8%、社会人で62.4%を占めるまでに。築年数の平均は学生13.4年、社会人13.0年で、古いとは言えないまでも、築浅志向が突出して強いわけではないということが明らかになりました。

駅近は必須条件!徒歩10分圏内が人気

では次に、「最寄り駅までの徒歩分数」を見てみましょう。

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

最寄り駅までの徒歩分数は、学生・社会人ともに「10分以内」「15分以内」が一位、二位となる結果に。「3分以内」から「15分以内」までを合計すると、学生では74.4%で4人あたり約3人、社会人では78.4%で5人あたり約4人という高い割合となっています。

築年数ではある程度、妥協できるとした一方、最寄り駅から徒歩10分以内に居住する割合は学生・社会人ともに半数以上を占めることからも、利便性重視の傾向が高いことは明白です。

多少、築年数が経過した住宅であっても、高い利便性をアピールできるなら、若年層には十分に魅力のある物件となることは、注目すべきポイントです。

「居」にこだわり「食」で節約する傾向が顕著に

食料品や燃料費はもちろん、何から何まで物価が高騰している昨今、30歳未満の若年層は何を節約して暮らしをやり繰りしているのでしょうか。「現在節約を意識しているもの」について聞いてみたところ、学生・社会人ともに「食費」「水道・光熱費」「日用品費」「被服費」の順に上位を占めました。

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

その一方で「住宅費」は、学生で6.9%、社会人で9.6%と、ともに1割以下で最下位となるなど、節約の優先度としては低い様子がうかがえます。暮らしの拠点となる住宅をより重要視する反面、毎日の生活コストを削減する傾向が顕著であることがわかります。

「交際費」においても学生、社会人ともに節約の対象となっているということは、そのぶん家の中で過ごす時間が増えているともいえます。以降の項目で検証する内容と合わせて、30歳未満に選ばれる部屋について、よく考察することが重要といえるでしょう。

6割が災害に不安、でも備えは不足

次に災害に関する意識を質問したところ、学生・社会人ともに約6割が災害に対して不安を感じていると回答。

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

しかし、災害時にハザードマップに記載のある避難行動ができると思うか聞いたところ、「いいえ」と答えた人は学生65.0%、社会人67.7%と回答。

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グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

災害に不安はあるものの、日ごろから避難等に対する対策は特にしていない、という事実が明らかとなりました。

不安な思いを抱えつつも、準備や対策について、具体的な行動を取ることができていない現状に対し、行政などと連携しつつ、今後はより一層の周知や啓蒙が必要となります。

特に対策せずとも防犯面に不安なしが約7割

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

現在の部屋は「防犯面で安心できるか」を聞いたところ、学生で70.3%、社会人で65.0%が「はい」と回答。また、「防犯対策をしているか」との質問には、学生で52.4%、社会人で57.4%が「いいえ」と回答しました。

「不安はないけど、とくに防犯対策はしていない」という、意識と行動のギャップが浮き彫りとなったかたちですが、次項で述べる「2階以上」へのこだわり等で、ある程度は対策済ということもありそうです。

人気条件は「2階以上」と「バス・トイレ別」

「部屋探しをする際、家賃以外で最後まで重視したことはなにか」と聞いたところ、「2階以上」という回答が学生(41.1%)、社会人(43.7%)ともに最多となりました。

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グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

他に上位を占めた回答として、「通勤・通学に便利(学生36.3%・社会人22.5%)」「最寄り駅から近い(学生19.8%・社会人21.9%)」など、利便性に関する回答が多い結果となっています。

一方、「外観(学生6.4%・社会人6.4%)」「角部屋(学生6.1%・社会人6.1%)」「災害に強いエリア(学生1.4%・社会人1.5%)」などの回答は、軒並み低い傾向に。これは先述した「利便性重視の傾向が強い」という調査結果の裏返しとも言えます。

「2階以上」を重視するのであれば、1階にあたる部屋には、目隠しや監視カメラといった防犯面の対策をすることが、30歳未満の入居検討者への訴求面での強みにつながるとも思われます。一考の価値はありそうです。

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

また、「設備面」で最後まで重視したことはなにかとの質問の最多回答も学生(47.4%)、社会人(52.2%)ともに「バス・トイレ別」となりました。

さらに上位の回答を見ると、「エアコン(学生30.3%・社会人33.2%)」「洗面所独立(学生23.0%・社会人35.1%)」「室内洗濯機置き場(学生21.0%・社会人30.2%)」となるなど、主に水まわりに関する使い勝手の良さへのこだわりが感じられます。

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

その一方で、「ディンプルキー(学生1.3%・社会人2.2%)」「防音(学生3.1%・社会人4.0%)」「耐震・免震構造(学生3.6%・社会人4.1%)」など、防犯・防災面へのこだわりは低い結果となりました。

付加価値よりも、日々の暮らしに必要不可欠な部分を重視する姿勢がここでも見られる結果となりました。

次に欲しい設備は「モニタ付インターホン」

築年数より立地、食費より住まい!空室対策の参考にしたい若年層の賃貸ニーズを最新調査から徹底分析2

グラフ画像引用元:ユーザー動向調査 UNDER30 2025 賃貸編|アットホーム株式会社

「次の部屋探しの際に欲しい設備・条件」についての質問には、「モニタ付インターホン」には学生(84.0%)、社会人(84.4%)とともに高い割合で「欲しい」と回答。さらに「2口以上コンロ」については、学生の67.2%に対し、社会人は73.8%と6.6ポイント高く、反対に「インターネット無料」という条件については、社会人の75.6%に対し、学生は80.5%と4.9ポイント高い結果となりました。

先述したように、学生・社会人ともに防犯面への対策は特にしていないのが現状ですが、「モニタ付インターホン」に見られる防犯面への潜在的ニーズは低くないようです。これも今後の賃貸経営のヒントと言えます。

まとめ

今回の「UNDER30の実態調査【賃貸編】」では、現在の部屋の築年数は、学生・社会人ともに平均約13年で、築浅志向が特別強いわけではないことがわかりました。

一方、駅から徒歩10分以内の物件を選ぶ人は半数を超え、立地の利便性を最重視する傾向が鮮明です。節約意識は「食費」や「光熱費」に集中し、「住宅費」を削る人は1割未満と、住まいにはお金をかける姿勢がうかがえます。

設備や条件面では「バス・トイレ別」「2階以上」へのこだわりが強く、次に住みたい部屋の条件としては「モニタ付インターホン」などの、防犯面への潜在的ニーズを示唆するものもあげられました。

30歳未満の若年層においては、利便性と快適性を重視する傾向がより一層鮮明になったと言えます。賃貸経営オーナーにとっては、駅近や水回り設備、防犯機能を強化した物件を提案することが、空室対策や長期入居につながる重要なポイントです。今こそ、物件の魅力を再点検し、若年層ニーズに応える戦略を立てましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年12月9日時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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