給湯器の寿命‧耐用年数ってどのぐらい?補助金が出る今が交換のチャンス!
賃貸物件の給湯器は貸主の所有物となるため、不具合が出たときの修理・交換義務は基本的には賃貸オーナーにあります。しかし、交換のタイミングや老朽化を判断するのは難しく、突然壊れたという連絡を受けることも珍しくありません。一般的な給湯器の交換の目安や、賃貸住宅の給湯器交換でも適用される補助金をご紹介します。
給湯器の寿命(耐用年数)はどのくらい?
毎日使うものだけに、不具合が起きると入居者に不便を強いることになる給湯器。不便になるだけにとどまらず、熱湯によるやけどや、最悪の場合は火事の危険もはらんでいます。
そのため給湯器を交換するタイミングは、まずは機器の寿命を目安に判断するようにしましょう。
給湯器には、各メーカーが定めた「設計標準使用期間」があります。「設計標準使用期間」は、耐久試験の際に安全上問題が少ないことを確認した使用時間で、「設計標準使用期間」が終わると「寿命=いつ壊れてもおかしくない」と判断されます。
ガス給湯器の寿命
給湯器本体のパイプに水を通し、そのパイプをガスで加熱することによりお湯が作られるガス給湯器。一般の住宅はもちろん賃貸アパートでも多く採用されています。
東京ガスによると、多くのメーカーは家庭用ガス給湯器の標準使用期間を約10年と定めています。
ガス給湯器トラブルが発生した時の解決策としても、経年年数5年までは約7割、10年までは約6割が修理で対応していますが、10年を超えたところから修理と交換が逆転。10~15年で約6割がガス給湯器を交換しています。
電気給湯器の寿命
電気給湯器は、電熱ヒーターの熱で水を加熱しお湯を作る仕組みで、使うときにお湯を温める瞬間式と、貯湯タンクにためて沸かす貯湯式があります。賃貸物件では、オール電化物件などに採用されていることが多くなっています。電気給湯器の一般的な寿命は10~15年と言われています。
石油給湯器の寿命
灯油ボイラーと呼ばれることもある石油給湯器。灯油の価格にも左右されますが、パワーが強くランニングコストが安い点が特徴で、冬場に光熱費が高くなりがちな寒冷地で普及しています。
(一社)日本ガス石油機器工業会が推奨する石油給湯機の寿命の目安は、屋内設置式・屋外設置式ともに10年です。
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100ページの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|
給湯器の寿命が迫っていることがわかるサインは?
環境や使い方によるものの、通常10~15年で寿命を迎える給湯器。寿命が近づいていてもすぐに気付かないことが多いですが、内部では部品の消耗や劣化が起きています。もし以下のような兆候があったら給湯器メーカーに連絡しましょう。
給湯器を使ったときに聞き慣れない運転音がする場合は、寿命の前兆かもしれません。多くは内部の部品が摩耗していたり、モーターが劣化していたりすることが原因です。
また、給湯器がガス臭かったり、焦げたニオイ・酸っぱいニオイがしたりする場合は、ガス漏れや不完全燃焼の可能性があります。すぐに使用を中止し、メーカーに連絡してください。
お湯が急に熱くなったりぬるくなったりする場合は、給湯器内部の温度センサーが壊れている可能性があります。お湯になるまでにいつもより時間がかかる場合は、内部の劣化によって効率が悪くなっていることが考えられます。
給湯機内部の配管などの接続部分から水漏れを起こす場合があります。また、給湯器が故障した場合にシャワーなどの水圧が弱まることも。水で出したときは異常がないのに、お湯にすると勢いがなくなる場合は特に給湯器の不具合を疑いましょう。
これまでと同じように使っているのに、明らかにガスや電気の使用量が多くなった場合は要注意です。給湯器の老朽化で熱効率が低下し、これまでより多くのエネルギーを消費するようになった可能性があります。
給湯器の寿命を延ばすためのメンテナンス
給湯器で起こる不具合の多くは経年劣化ではあるものの、使い方やメンテナンスによって劣化が早まることがあります。修理で済むうちに対処できれば給湯器への負担が少なく、長い目で見てもコスト削減につながります。できる限り長持ちさせるためにも、定期的な点検とメンテナンスを心がけましょう。
定期的な点検とメンテナンスの重要性
寿命を大きく超えて使い続けることは難しくても、寿命まで不具合なく使うことができれば、修理の手間や不要な出費を防ぐことができます。設計標準使用期間を過ぎた製品は法定点検を受けることが定められているため、専門の資格をもった業者に、内部までしっかり診てもらいましょう。
定期点検やメンテナンスを業者に依頼する以外にも、日常のお手入れで不具合をチェックすることが故障の防止や異常の早期発見につながります。例えば機器の外装のホコリを拭く、排気口や吸気口のホコリ・ゴミを取り除くことなどを習慣にしつつ、その際に異音や異臭、水漏れなどがないかを確認しましょう。
追い焚き配管や浴槽の金具、ストレーナーの掃除をマメに行うことも有効ですが、専有部分にあるため入居者に心がけて対応してもらうしかありません。
給湯器の点検については、電話や訪問で「故障している」「このままでは危険」など不安をあおる点検商法もあり、70歳以上の高齢者の被害が増えているようです。管理会社からあらかじめ連絡していない点検には対応しないように注意喚起しましょう。
給湯器を長持ちさせるためには、給湯器に負担をかけない使い方がポイントとなります。例えば、キッチンや洗面台のシングルレバー水栓は、普段は水側にしておく習慣をつけましょう。常に湯側になっていると、水を少し出したいだけのときも給湯器を頻繁に作動させることになり、劣化が早まります。
また、お湯を出しているときに温度を変えると、ガス給湯器は一瞬不完全燃焼の状態になることがあり、内部にススがたまる原因となります。温度を変えるときは、できるだけお湯を止めてから操作してください。
他に、リモコンがオフの状態でお湯を出さない、入浴剤の入ったお湯を追い焚きしない、台風や大雨のときはなるべく使用しない、凍結させないようにする(寒いときに電源を抜かない)ことなどを心がけると良いでしょう。
どれもよくやってしまいがちなことであり、一度ですぐに給湯器が故障するわけではありませんが、毎日の積み重ねで給湯器の劣化具合に大きな差が出てきます。
交換の際に知っておきたい給湯器選びのポイント
寿命を迎えている給湯器を交換する場合、どのようなものを選べば良いのでしょうか。給湯器の種類は大きくガス・電気・石油に分かれており、次のような機能と特徴があります。今回は補助金の対象となる高効率給湯器を中心にご紹介します。
給湯器の種類と特徴
潜熱回収型ガス給湯器は、ガス給湯器のなかでも排気熱を再利用してお湯を沸かすタイプで、機器の総称として「エコジョーズ」と呼ばれます。
従来、水を熱交換機でお湯にする際に200℃の排気熱が発生し、エネルギーの約2割はムダに放熱していましたが、排気熱を二次熱交換器に通して再利用できるようにしました。従来型より少ないガス使用量で効率良くお湯を沸かすことができます。比較的コンパクトで狭いベランダなどにも設置することができるため、賃貸集合住宅に適しています。
ただし、排熱を下げる際に水蒸気が発生し、結露するため「ドレン排水」と呼ばれる排水が出ます。ドレン排水は下水道法上「汚水」にあたるため汚水系統の排水設備への排出が必要ですが、雨水と同様の扱いを認めている自治体もあります。
灯油給湯機のなかでもエコジョーズと同じく排気熱を再利用したものが潜熱回収型石油給湯機(エコフィール)です。やはりドレン排水の排水経路が必要となります。
お湯を貯めない直圧式とお湯を貯める貯湯式があり、直圧式の方が水圧は強めです。他の石油給湯機と同じく、寒冷地でよく普及しています。
ヒートポンプ給湯機 (エコキュート)は、大気中の熱を利用することで効率的にお湯を沸かすヒートポンプ技術が採用された給湯器です。火を使わず電気でお湯を沸かすため火災のリスクが少なく、省エネ効果が高いのも特徴です。
夜間の電気代が安い時間帯にお湯を作り、断熱材で保温します。そのため貯湯タンクにお湯がある限りは、停電時でもお湯が使えるのもメリットです。
しかし、その一方でいつもよりたくさんお湯を使った場合などに、貯湯タンクに貯めたお湯がなくなり、お湯切れを起こすこともあります。導入費用がやや高いこともデメリットと言えるでしょう。
電気ヒートポンプ‧ ガス瞬間式併用型給湯機 (ハイブリッド給湯機)は、ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせたもので、二つの熱源を効率的に利用して給湯することができます。省エネ性とパワーと兼ね備えているのが特徴です。
もし貯湯タンクに貯めたお湯が無くなってもガス給湯器でお湯を沸かせるため、ヒートポンプ給湯機のようなお湯切れの心配もありません。
家庭用燃料電池(エネファーム)は、電気とお湯を同時につくる創エネシステムです。ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気をつくり、そのときに発生する熱でお湯を沸かして給湯に利用します。
エネルギーロスが少ないため省エネ性が高く、停電時にも発電できるため、災害時も安心とメリットは多いですが、設置工事を含めて100〜300万円と導入費用はかなり高額です。
今なら補助金でおトクに給湯器を交換できる!「住宅省エネキャンペーン2024」とは
高効率給湯器は光熱費やCO2排出を抑えてくれるエコな設備ですが、一般的な給湯器よりも導入費用が高額になりがちです。設備投資にコストをかけすぎると赤字になってしまう賃貸経営では、高効率給湯器の導入は難しいと考える賃貸オーナーも多いでしょう。
しかし、住宅の省エネ化には国も力を入れており、2024年度は補助事業「住宅省エネ2024キャンペーン」に4,215億円の補正予算案が組まれています。しかも、前年度からの後続事業に加えて、既存賃貸住宅の省エネ化支援が新規で追加されるなど、賃貸オーナーにとって利用しやすい内容となっています。
「住宅省エネ2024キャンペーン」は、以下の4つの事業から成り立っています。いずれの補助金でも賃貸住宅は補助対象に含まれています。
①子育てエコホーム支援事業(こどもエコすまい支援事業の後継事業)
②先進的窓リノベ2024事業 ③給湯省エネ2024事業 ④賃貸集合給湯省エネ2024事業 |
このうち「子育てエコホーム支援事業」は子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得への補助が中心ですが、子育て世帯でなくても省エネリフォームに対して長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合は上限30万円/戸、それ以外は20万円/戸が補助されます。「子育て対応改修」の枠を使った「宅配ボックス」の設置なども補助の対象です。
先進的「窓リノベ2024事業」は熱損失の大きい窓に特化した補助金で、断熱窓への改修工事が対象です。補助率は約2分の1、補助金の上限は200万円で、子育てエコホーム支援事業とは、補助対象が重複しなければ併用可能です。
次からは給湯器を対象にした補助金をご紹介していきます。
1台からでも導入可能!お得に高効率給湯器を導入できる「給湯省エネ2024事業」
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)の導入に8万円、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)に10万円、家庭用燃料電池(エネファーム)に18万円が補助されます。さらに高性能なものには、補助額が加算されます。共同住宅等はいずれか1台までが補助上限です。
設置に合わせて撤去工事を行う場合、「蓄熱暖房機の撤去」に10万円/台(2台まで)、「電気温水器の撤去」に5万円/台(補助を受ける台数まで)の補助が出ます。
設置する給湯器 | 補助額(定額) | 補助上限 |
ヒートポンプ給湯機 (エコキュート) |
8万円/台 | 戸建住宅: いずれか 2台まで 共同住宅等: いずれか 1台まで |
電気ヒートポンプ・ ガス瞬間式併用型給湯機 (ハイブリッド給湯機) |
10万円/台 | |
家庭用燃料電池 (エネファーム) |
18万円/台 |
★上記の給湯器の設置に合わせて撤去工事を行う場合、「蓄熱暖房機の撤去」に10万円/台(2台まで)、「電気温水器の撤去」に5万円/台(補助を受ける台数まで)の補助が出ます
賃貸住宅限定!「賃貸集合給湯省エネ2024事業」
今年新設された「賃貸集合給湯省エネ事業」。オーナーの皆さまにはぜひこの機会に利用して省エネ化を推進していただきたいと思います。まずはアクションの第一歩として費用について確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
既存賃貸住宅の省エネ化を目指して2024年度に新たに加わった補助事業です。「給湯省エネ事業」はエコキュートやエネファームなど大型のヒートポンプ給湯機の設置が補助対象ですが、「賃貸集合給湯省エネ2024事業」はアパートでも設置しやすい小型の省エネ型給湯器を対象としているところがポイント。
従来型給湯器からのエコジョーズやエコフィールへの交換に対し、追い焚き機能ありで1台あたり7万円、追い焚き機能なしで5万円が補助されます。1住戸1台までが補助上限となっています。
今回の補助金を利用すれば、場合によっては従来型給湯器と同じくらいの費用で、小型の省エネ型給湯器に交換することができます。
「給湯器を省エネ型に交換してもオーナーには特にメリットはないのでは」と思われるでしょう。しかし、光熱費高騰でガスや電気、石油といったエネルギー消費節約への意識が高まっている昨今、オーナーはエコジョーズやエコフィールといった省エネ型給湯器を設置することで「光熱費削減ができる物件」であることを付加価値としてアピールすることができます。
ぜひ補助金を活用して、「補助金活用による交換コストの低減」と「物件の付加価値」のメリットを享受してください。
潜熱回収型ガス給湯器 (エコジョーズ) |
給湯単能機 |
ふろ給湯器 | |
給湯暖房機 | |
潜熱回収型石油給湯機 (エコフィール) |
油焚き温水ボイラー |
石油給湯機(直圧式) | |
石油給湯機(貯湯式) |
設置する給湯器 | 追炊機能 | 補助額 | 補助上限 |
潜熱回収型ガス給湯器 (エコジョーズ) |
なし | 5万円 | 1住戸1台まで |
あり | 7万円 | ||
潜熱回収型石油給湯機 (エコフィール) |
なし | 5万円 | |
あり | 7万円 |
補助金と給湯器、オーナーの気になるポイントにお答えします!
A.給湯器の交換時期は10~15年。壊れる前に交換が理想です
給湯器の一般的な寿命は10~15年といわれています。まだ壊れていなくても、この年数が近ければリスクは大。壊れてから慌てて手配すると検討する時間も限られてしまうので、補助金のある今のうちに早めの交換を!
A.光熱費削減を入居希望者へアピールできます
電気代やガス代、灯油代などが高騰している昨今、光熱費を気にする入居者は少なくありません。エコジョーズの場合、年間約12,189円の光熱費節約につながります。光熱費削減ができる物件として、物件の価値向上にも貢献します。
A.給湯は家庭で消費されるエネルギーの約3割を占めています
家庭の省エネ推進は、消費エネルギー全体の約3割を占める給湯がカギといえます。また、賃貸集合住宅の割合は住宅ストック総数の約3割強。これらの給湯器が省エネ型に交換されたら、CO2削減に大きく貢献できるのです。
A.まずは見積もり依頼を。オーナーからの声かけが大事です
まずは「賃貸住宅の給湯器の補助金があるんだってね、うちの物件は使えるの?」と担当者に連絡して、まずは見積もりを出してもらいましょう。管理会社からの提案を待つのではなく、オーナーから積極的に働きかけを!
A.場合によっては従来型とほぼ同等の金額で省エネ型を導入できます
給湯器の価格は設置の状態や、機種、事業者によって一概には言えないものの、補助金の活用で従来型の交換費用に近づけることができます。従来型の見積もりとあわせて、エコジョーズの見積もりも依頼して比較してみてください。
A.申請は事業者を通して手続き・還元するから手間は最小限で済みます
「賃貸集合給湯省エネ事業2024」の申請は、事業者が行う仕組み。事業者を通して申請・還元が行われるので、オーナーの手を煩わせることはほとんどありません。事業者や管理会社へ安心して気軽に相談してみましょう。
オーナーズ・スタイル「大家さんストア」で補助金対象の給湯器を特価販売!
オーナーズ・スタイル「大家さんストア」では、補助対象となる給湯器を標準工事費込みの表示価格で特価販売中!寿命といわれる10年が経過していなくても、通常より7万円以上安く交換ができる今がチャンス!面倒な補助金申請も代行していますので、ぜひこの機会にご利用ください!
「大家さんストア」はこちら |
まとめ
給湯器の種類や寿命、交換時に利用できる補助金についてご紹介しました。
2024年4月から省エネ表示制度がはじまり、賃貸の住まい探しにおいても省エネ性能という視点を取り入れる人が増えています。光熱費の値上げで省エネ性能ラベルの「目安光熱費」への注目度もアップ。高効率給湯器は入居者メリットが高く、物件の差別化につながります。
もしそろそろ寿命を迎えそうな給湯器があれば、点検を実施したうえで、必要があれば補助金を使ってのグレードアップを検討してみてはいかがでしょうか。
なお、補助金の交付申請などの手続きは登録された住宅省エネ支援事業者が行うため、賃貸オーナー自身が直接申請をすることはありません。補助金の利用について相談できる事業者は以下から探すことができます。
先述した通り、オーナーズ・スタイルが各種人気設備を特価販売している「大家さんストア」でも最新給湯器を多数取り扱っているので、ぜひこの機会にお問い合わせください。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年5月29日時点のものです。
文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100ページの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|