国土交通省が解説!「住宅セーフティネット法」 改正のポイント~大家さんの不安を軽減 有効な空室対策となりうるか~

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公開日:2026年4月1日
更新日:2026年4月1日
国土交通省が解説!「住宅セーフティネット法」 改正のポイント~大家さんの不安を軽減 有効な空室対策となりうるか~1

「住宅セーフティネット法」は、高齢者や低所得者など、安心して入居できる住まいに困っている人々=住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)を支援するために、2007年に制定されました。2017年に民間賃貸住宅の空き室の活用を促す改正が行われ、今回は2度目の大改正です。大家さんにとって、どんな影響があるのか。国土交通省の岸本さんが、4つのポイントを解説します。

お話を伺いました
国土交通省が解説!「住宅セーフティネット法」 改正のポイント~大家さんの不安を軽減 有効な空室対策となりうるか~2

国土交通省住宅局 安心居住推進課・課長補佐
岸本眞美さん

単身高齢者の賃貸需要急増。貸しやすい環境整備が目的

今回の法改正の背景としては、単身高齢者の大幅な増加が挙げられます。しかも現在50代以下の持ち家率は低下し、賃貸に住む中高年者が増えています。そのまま年を重ね賃貸に住む単身高齢者が増加していくと推計されているのです。

一方で、大家さんが部屋を高齢者に貸したがらない傾向は変わりません。孤独死などで亡くなった際の手続きや損失に不安が大きいからです。

こうした課題を克服し、大家さんが要配慮者に貸しやすい市場環境の整備と、新たなセーフティネットとなる住宅の供給促進が今回の改正の目的です。大きなポイントは次の4つです。

ポイント1|終身建物賃貸借の手続きを簡素化。より使いやすく

大家さんが高齢者入居を拒否する理由の1つは、入居者が亡くなっても賃貸借契約が消滅せず、相続人に借家権が引き継がれてしまうからです。解約手続きに手間取り、新規募集までのコストも少なくありません。

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これを解消するため、2001年に、入居者が亡くなるまで存続し死亡時に終了する一代限りの賃貸借契約を結べる「終身建物賃貸借制度」が創設されました。ただ、採用しているのはサ高住などの大規模な高齢者向け住宅がほとんどで、一般の大家さんにはあまり普及していません。

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従来は、バリアフリー化などの建物の改修工事を行い、高齢者が入居する可能性のある住戸すべてについて認可を受ける必要がありました。空室ごとに募集し、その都度入居者の年齢層が変わるような一般の大家さんには不向きです。

今回の改正では、認可手続きが簡素化されました。ポイントは認可を住宅単位から事業者単位に変更したこと。まず、大家さんが事業者として認可を受けておきます。

次に、実際に入居する高齢者が決まった住戸を必要に応じて改修し、届け出れば制度を利用できます。

また、改修工事の基準も緩和されています。新築は従来通りですが、既存住宅は建物全体の段差解消などの厳しい規定はなく、トイレや浴室に手すりを付ける程度です。面積基準も25㎡以上から18㎡以上へと引き下げられました。

ポイント2|入居者が残置物処理を居住支援法人へ委託可能に

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次は、残置物処理についてです。

入居者の家財も所有権が相続され、勝手に処理できません。これに対して、国土交通省と法務省では2021年に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。入居者が生前に家財の処理方法を定めて、賃貸借契約の解除とあわせて死後事務として第三者に委任する契約を結んでおく方法です。

解約と残置物処理を適法かつスムーズにできる仕組みですが、従来は、身寄りのない高齢者が死後事務を頼める第三者を見つけるのが難しい面がありました。

今回の法改正では、要配慮者をサポートする居住支援法人が死後事務の受託者になる場合のルールや手続きを明確化しました。

ポイント3|家賃債務保証会社を国が認定する制度開始

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3番目は、家賃滞納の心配への対策です。家賃債務保証会社の利用は一般化していますが、要配慮者は審査が通らないケースもあります。そこで今回の改正で、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証を提供する事業者を、国が認定する仕組みを創設しました。

次項で説明する「居住サポート住宅」の入居者の場合、原則として保証を受け入れることなどが認定の条件です。保証会社が入ることで大家さんも安心して受け入れていただけると思います。なお、家賃債務保証会社のリスクを軽減するための保険制度も導入しています。

ポイント4|「居住サポート住宅」を創設。入居後のトラブル対応も安心

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最後が、入居後の変化に対応できる「居住サポート住宅制度」の創設です。居住支援法人などが図2のような安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎという3つのサポートを行う住宅で、大家さんと居住支援法人などが連携して計画し、市区町村等が認定します。

1日1回以上の安否確認、月1回以上の見守りなどのサポートを行うことで、大家さんの不安や負担を軽減。サブリース事業者が居住支援法人を兼ねるなど提供方法も多様になります。

居住サポート住宅に認定されると、3つのメリットがあります。

①入居者は、前述した認定家賃債務保証事業者からの保証を断られない。
②入居者が生活保護受給者の場合、家賃に対する住宅扶助費を代理納付にできる。
③耐震工事やバリアフリー工事の改修費や家賃低廉化(※)への補助金が出る。

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また、居住サポート住宅としての認定基準は柔軟です。図3のように要配慮者だけが入居できる専用住戸と要配慮者を優先する非専用住戸に分けられ、専用住戸を最低1戸設定すれば認定可能です。

非専用住宅は要配慮者を優先して募集する努力を行えば一般入居者の入居も問題なく、居住サポートは入居者の必要に応じて行います。規模や総戸数の制限はなく、非専用住宅の改修も一定の条件を満たせば補助金の対象となります。

地域の連携も強化し、環境整備を促進

地方公共団体や居住支援法人、不動産関係や福祉関係の会社などが集まる「居住支援協議会」の市区町村単位での設置も努力義務化しました。居住サポート住宅で連携する居住支援法人の情報を得る場としても活用いただけます。

今後も、大家さんも要配慮者も入居前・入居中・退去時の支援を得られる、住宅と福祉の関係者が連携して地域ぐるみで居住支援をする体制の整備を推進していきます。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年2月時点のものです。

取材・文/木村 元紀

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