【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況

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公開日:2026年2月1日
更新日:2026年3月9日
【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況1

2025年10月に高市政権が誕生し、政策に「積極財政の推進」を掲げ、日経平均株価は5万円を突破、為替は1ドル150円を超える円安となりました。積極財政は所得・資産の格差を一段と進行させることになり、不動産市場では価格の二極化に拍車がかかる可能性が高くなっています。不動産市況の現状と展望を不動産市況アナリスト・幸田氏が解説します。

寄稿いただきました
【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

不動産市況アナリスト 幸田 昌則氏

福岡県出身。三大都市圏の住宅情報誌の創刊責任者を歴任。1989年11月に発表した「関西圏から不動産価格が大幅に下落する」は、バブル崩壊前の業界に波紋を呼び、予測の正確さを実証した。著書は「不動産バブル 静かな崩壊」(日本経済新聞出版)など多数。「不動産バブル 静かな崩壊」(日本経済新聞出版)が好評発売中。

インフレは収束せず、住宅需要は鈍化が鮮明に。価格は調整局面へ

【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

デフレの時代からインフレ時代へと変化し、多くの物価が上昇している。家計においては食料品の値上がりが日々気になるが、昨年末の「名古屋駅地区再開発計画」の見直しに見られる通り、地域経済にとってもその影響は大きい。住宅市場でも建築コストの高騰で、新築分譲マンションや新築建売住宅の販売価格が値上がりした。

特に、新築マンションの価格は、地価の上昇もあって一部では顧客の手が届かない水準に達している(図表❶)。

【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

その結果、売れ残っている物件が全国的に目立つようになってきた。また、建売住宅では値下げ処分をする動きも出ている。

インフレによって国民の家計は厳しさを増し、住宅の購入が難しくなっていることから、今後は新築住宅を中心に、需要が徐々に弱まっていくと考えられる。

一方で割安な中古住宅への関心が高まり、取引は底堅く推移すると見込まれる。中古住宅購入に対する新年度の税制改正の支援も追い風に働くだろう。

また人手不足の状況の中、人材確保のために、給与水準の引き上げに加えて社員寮や社宅を提供する企業が目立ってきている。寮や社宅の建築のほか、賃貸アパートや空き家を取得する例が急増していて、この動きは今後も続くと見込まれる。アパートの取得目的が、従来までの資産形成や節税対策だけではなくなっている。

「所得と資産」の格差拡大で、需要と価格の二極化が進行

【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

インフレ経済下では、所得と資産の格差は拡大していくことになる。2026年も積極財政の継続が推測されることから、日本のインフレが収束に向かう可能性は低く、現在の円安が是正されなければ一段の進行もあり得るだろう。

インフレがこのまま続けば個人の所得や資産の格差拡大に拍車がかかることは必至で、その結果は不動産の取引価格に反映されることになる。

インフレで多くの人の実質所得が低下している。少々の賃上げでは物価の上昇に追い付かないことは、昨年の実績が証明していて、今年も同様の状況が続くことが想定される。家計が圧迫される低・中所得者層には、購買力の低下で価格重視の姿勢が強まっている。

一方で富裕層は、株高・配当の増額・金価格の高騰・不動産価格の値上がりで、所有する資産の拡大が著しい(図表❷)。

【最新】不動産市況は転換期。格差社会を反映、二極化へ|アナリスト・幸田昌則の不動産市況2

その結果、すでに相続対策を済ませた人も追加の対策が必要になり、新たに不動産を購入することが予想される。

さらに株価高騰により株式を売却してセカンドハウス・リゾート物件を取得するケースも見られるようになった。また不動産所得は図表❸で示されているように1人当たりの家賃収入が増加していて、富裕層の人達が不動産を買い増している。この動きは、今年も続くだろう。

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また、富裕層は不動産の希少性を評価して取得する傾向にある。高価格・割高であっても資産価値が高い不動産には、富裕層による価格の下支えが継続していくと見ている。不動産価格は顧客層による二極化が鮮明になる。

家賃値上げの動きは拡大していくが、家賃も二極化へ

多くの物価が上昇している中で、遅ればせながら、ここに来て家賃値上げの動きが東海圏などの大都市圏で強まってきた。インフレへの国民の認識が拡がっていることと、賃貸オーナーにとっては保有・維持管理のコスト上昇もあって、家賃設定の見直しが本格化していくことは不可避と言える。

しかし同じ東海圏内であっても一律の動きは期待できない。地点、そして個別物件の状況によって、家賃の値上げができない物件もあることは言うまでもなく、家賃も不動産価格と同様に、二極化が常態化していく時代となる。所有する物件がどういった位置づけになるのか、オーナーは確認を怠らないようにしてほしい。

なお、ここにきて気になるのは日中関係の悪化である。「レアアース」の輸入が大幅に制限されれば自動車産業への打撃は大きく、東海圏の賃貸市場にも影響が避けられない。

人生100年時代を迎えた動きが活発になる

長寿命時代となり、老後の期間が長くなることは、お金が今まで以上に必要となることを意味している。そのため、高齢者が所有不動産などを整理・売却する例が今後は増加していくことになる。逆に、将来の老後資金を確保するために不動産や株式などの資産所得を確保する動きが一段と活発化し、収益物件取得への関心が高まっていくことも考えられる。

また住まいの「買い替え」も多くなっていくことは必至で、市場には売り物件が増加する。一方で、人口減少や若年層の急激な減少もあり、住宅需要は先細りになっていくことは既定の事実と言える。全国の空き家数はすでに850万戸超となっている。

しかし大都市を見れば人口流入は続いており、より利便性の高い都市中心部や駅近の住宅価格や家賃は、引き続き高水準を維持することになるだろう。

いずれにせよ、2026年は日本の格差社会を反映して、不動産市況も二極化が一段と進行する年になると考えている。

※この記事は2026年1月10日時点の情報をもとに作成されています。

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