暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実

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公開日:2025年11月26日
更新日:2025年11月26日
暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実1

暮らしの中で自然と目にすることが増えてきたと感じる「防犯カメラ」。犯罪を抑止する社会の目に安心感を覚える一方、なんとなく緊張してしまう方も。今回はALSOK(株)が20代から70代の600人を対象に実施した「防犯カメラに関する意識調査」の結果をもとに、様々な角度からその必要性について見ていきます。

約8割の人が生活の中で防犯カメラの存在を認識

暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実2

図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

オフィスビルや病院、駅やバス停、デパートやコンビニなどの商業施設の他、マンションなどの集合住宅のエントランスやエレベーター内など、いたるところで目にする「防犯カメラ」。

普段の暮らしの中でその存在を認識する頻度について聞いたところ、実に「78.0%」の人が多かれ少なかれ防犯カメラを見ることが「ある」と回答しました。

防犯カメラは増えている?

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図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

5年前と比較した防犯カメラの台数の増減を聞いたところ、「増えた」と感じる人は半数以下の43.0%で、「あまりかわらない」が56.0%と、目にする機会が増加したわりには「増えた」と感じる人はそう多くないようです。

これは普段から防犯カメラを目にすることが一般的となったことや、小型化されたことによって防犯カメラの存在を意識しなくなったのではないかということが理由として考えられます。

公共交通機関においては、新幹線では2015年、2018年の東海道新幹線での事件、東名阪の三大都市圏を中心とした輸送密度の高い在来線では、2021年の京王線内で発生した事件をそれぞれ契機に、社内への防犯カメラが取り付けられるようになるなど、その台数は確実に増加しています。日本国内で設置されている防犯カメラの数は、個人宅を含めると「約500万台」にのぼると言われています。

防犯カメラは必要?8割が“安心”と回答

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図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

防犯カメラが設置されていることで安心を感じる人は8割以上にのぼり、年齢が上がるほど安心と感じる人が多くなる傾向がありました。

防犯カメラがあることを不快に感じつつも、その存在には安心感を覚えると回答した人は67.4%で、「不快ではあるが、安心感には換えられない」という、防犯カメラに複雑な感情を持つ人もいることが明らかとなりました。

事実、2014年1月に発生した能登半島地震において、避難所の他、避難により住民の多くが不在となっている地域の街頭等に防犯カメラが1,006台設置されたことについて被災者からは、「防犯カメラが付いて安心している」などの声が多く寄せられたといいます。

さらに令和7年防犯白書によれば、警察の検挙件数のうち、主たる被疑者を特定した警察活動が「防犯カメラ画像等」であった割合は、2019年では8.0%だったものが、2024年では17.6%にまで増加。防犯カメラの存在が被疑者の特定に貢献していることが伺えます。(令和7年警察白書より)。

必要と答えた人の大半は「犯罪の抑止力」を評価

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次に防犯カメラが設置されていることで「安心」を感じる理由について聞いてみたところ、「犯罪の抑止になると思うから」が最多の74.0%となり、「事件の早期解決につながると思うから(53.8%)」、「実際に犯人逮捕につながっているという報道を見たから(39.8%)」という声が多く挙がる結果となりました。

これは匿名・流動型犯罪グループによって日本各地で起きている強盗事件が大きく取り上げられ、予防や事件の解決のためのツールとしての関心が高まっていることが予想できます。

暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実2

さらに「冤罪予防になると思うから(39.8%)」という回答は、証拠不十分による冤罪をはじめ、無実の人から慰謝料や示談金を巻き上げる犯罪行為抑止など、満員電車内の卑劣な痴漢行為に端を発する様々なトラブルなどが普段の日常に潜んでいることの裏返しでもあるでしょう。

同様に、学校や介護施設、被災地などでも防犯カメラは設置されており、トラブルや犯罪の予防や、何か起きたときの証拠としても機能していることから、「守ってくれていると感じているから」(31.2%)という声が上がっているのかもしれません。

“監視されている感”が不快と感じる主な要因に

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図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

一方、防犯カメラを不快に感じる人は15.0%。「安心感をおぼえる人」とは反対に、若い世代で高い傾向を示しました。

暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実2

図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

「不快」と感じる人が答えた理由は、半数から回答のあった「監視されているように感じるから」というもの。次いで「プライバシーを侵害されていると感じるから(45.6%)」などが上げられました。性善説に立てば、確かにあまり気持ちの良いものではないかもしれません。

さらに、「防犯カメラの録画データが流出する可能性があるから(43.3%)」、「誰が設置したカメラかわからないから(34.4%)」、「録画データを悪用する人がいるかもしれないから(26.7%)」といった声も多くあり、フェイク動画の制作や画像の加工といった処理が、誰でも容易にできてしまうこととも関係がありそうです。

4人に1人が自宅に防犯カメラを設置。今なら補助金も

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図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

防犯カメラを「外壁」に設置していると回答した人は、集合住宅で最初から設置した人を含めると26.8%という割合に。また、現在は設置していないものの、約4人に1人は玄関先(25.7%)や外壁(23.0%)にいずれ防犯カメラを設置したいと考えていることが明らかになりました。

暮らしに溶け込む防犯カメラが与える安心感。その一方で不快という声も?意識調査から見えた現実2

図表引用元:第3回 防犯カメラに関する意識調査|ALSOK株式会社

防犯カメラを設置している理由を尋ねたところ、「何かあったときの証拠にするため(34.8%)」が最も多く、「不審者を威嚇・けん制して被害を未然に防ぐため(25.5%)」、「空き巣や強盗などの報道を見て不安になったため(18.6%)」と続く結果となりました。

「機器の値段が手ごろだったため、手ごろになったため(10.6%)」との回答には、賃貸住宅でも使える「ドア掛けタイプ」をはじめ、後付けで設置できる防犯カメラといった、様々な種類の防犯カメラが発売されるなどして設置しやすくなったことや、東京都において令和7年度から個人宅向け防犯機器等の購入に対し、補助金が支給されるようになったことなども背景にありそうです。

まとめ

日常生活の中で目にする人は約8割にまでのぼり、オフィスや商業施設、マンションといった生活のあらゆるシーンで「防犯カメラ」は一般化しています。その設置台数は国内で約500万台とされ、警察の検挙において防犯カメラ画像が決め手となった割合も2019年の8.0%から2024年には17.6%に増加し、その効果は確かなものになりつつあります。

地域にカメラがあることで安心を感じる人は82.2%に達し、その理由として「犯罪の抑止」「事件解決の早期化」などが挙げられました。その一方で「監視されているよう」と不快に感じる人も15.0%おり、個人情報保護やプライバシーへの配慮といった面にも懸念が残ります。

各家庭においても外壁や玄関先に設置している人が約2~3割にのぼり、補助金制度の導入なども追い風となって、今後さらに「防犯カメラ」の普及は進むと見られます。まだ導入されていない方はこのタイミングで検討してみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年11月26日時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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