ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略

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公開日:2026年5月12日
更新日:2026年5月14日
ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略1

部屋探しの情報収集手段が多様化するなかでも、依然として強い存在感を示したのが不動産ポータルサイトでした。株式会社いえらぶGROUPの調査では、今後利用したい手段として「不動産ポータルサイト」が60.5%で最多となる一方、AIやSNSへの関心も着実に広がっています。不動産会社側ではAI活用が約6割まで拡大しており、募集活動や情報発信のあり方は転換期を迎えています。今回は調査結果をもとに、賃貸住宅オーナーが押さえておきたい集客・空室対策の変化を考察します。

SNS利用率「約3割」が示す現実的な温度感

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

エンドユーザーに「部屋探しでSNSを利用するか」を尋ねたところ、「積極的に利用している」が12.3%、「時々利用している」が22.7%となり、利用層は合計で約3割でした。一方で、「利用していない」は44.7%に達しており、SNSが部屋探しの主流になったとはまだ言えない状況です。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

不動産会社側も「積極的に活用している」が12.6%、「時々活用している」が18.9%にとどまり、活用率は約3割でした。

この結果から見えてくるのは、「SNSだけで完結する集客構造には、まだなっていない」という現実です。賃貸住宅オーナーの中には、SNSを始めれば空室が埋まると期待するケースもありますが、実際には“補助的接点”として機能している段階だと考えられます。

ただし、軽視も危険です。特に若年層では、InstagramやTikTokで物件を知り、その後ポータルサイトで比較検討する流れが増えています。つまり、SNSは「認知獲得」の役割を担っているのです。

賃貸経営の視点では、全物件で本格運用を行う必要はありません。空室期間が長い物件や、競合との差別化が難しい物件に絞って動画発信を行うだけでも効果が期待できます。ポイントは、SNSを“集客の主戦場”ではなく、“興味喚起の入り口”として位置づけることです。

「内見動画」の需要が高める物件訴求力の差

SNSを利用しているエンドユーザーに「どのような情報を見たか」を尋ねたところ、「内見動画・ルームツアー」が63.6%、「物件紹介投稿」が62.8%という結果でした。静止画だけでは伝わりにくい生活イメージを、動画で確認したいニーズが高まっていることがわかります。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

これは賃貸住宅オーナーにとって見逃せない変化です。従来は、間取り図と写真数枚があれば募集活動として成立していました。しかし現在は、「実際に住んだ時のイメージ」が重視される時代に変わりつつあります。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

特に築古物件では、写真だけだと古さが強調されやすい一方、動画では動線や空間の広がり、日当たりなどが伝わりやすくなります。その結果、「思ったより悪くない」という印象改善につながるケースも少なくありません。

また、動画は遠方ユーザーへの訴求力も高めます。転勤や進学などで現地内見が難しい場合、動画が事前判断材料となるためです。近年はオンライン契約との相性も良く、募集エリアの拡大にもつながります。

ただし、高額な動画制作を行う必要はありません。スマートフォン撮影でも、室内の明るさや生活導線を丁寧に見せるだけで十分効果があります。重要なのは、「設備紹介」ではなく、「暮らしのイメージ」を伝えることです。

AI活用率「約6割」時代の募集戦略変化とは

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

不動産会社に「AIを業務で活用しているか」を尋ねたところ、「積極的に活用」が32.6%、「時々活用」が30.5%となり、合計で63.1%に達しました。前年調査では41.4%だったことを踏まえると、AI活用は急速に広がっています。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

特に多かった用途は、「物件紹介文の作成」が56.7%、「ホームページ・ブログ記事作成」が41.7%でした。不動産業界では大量の文章作成業務が発生するため、生成AIとの相性が非常に良い分野と言えます。

賃貸住宅オーナーにとって重要なのは、「管理会社の募集力」がAIによって差別化され始めている点です。AIを活用できる会社は、空室発生直後に複数媒体向けの紹介文を短時間で作成できます。また、単身者向け、ファミリー向けなど、ターゲット別に訴求内容を変えることも容易です。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

これにより、募集における初動スピードが大きく変わります。不動産募集では、公開直後の数日間に反響が集中しやすいため、初動対応の速さは空室期間に直結します。

今後は、「AIを導入しているか」ではなく、「AIを使ってどれだけ物件価値を伝えられるか」が結果を左右するといえます。オーナー側も、管理会社選定時には広告品質や文章提案力を確認する視点が必要になります。

AI検索時代に必要となる「物件情報整理術」

エンドユーザー側のAI利用率はまだ24.9%にとどまっていますが、その利用内容には大きな特徴が見られました。「家賃相場」が67.0%で最多となり、「住みやすい街」が55.1%、「おすすめエリア」が45.5%と続いています。

この結果からAIは単なる検索ツールではなく、「比較・分析・提案」の役割を担い始めています。これは賃貸経営においても重要な変化です。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

データ画像引用元:「部屋探しにおけるSNS・AI利用に関するアンケート調査」|株式会社いえらぶGROUP

従来の募集では、「駅徒歩5分」「バストイレ別」など設備情報を並べることが中心でした。しかしAI検索では、「在宅勤務しやすい街」「治安重視の一人暮らし向け」など、生活条件ベースで物件が比較される可能性があります。

その場合、物件情報に“暮らしのイメージ”が不足していると、AIの比較候補に入りにくくなる恐れがあります。例えば、「スーパー徒歩2分」「夜道が明るい」「公園が近い」といった情報は、さらに重要性を増すかもしれません。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

また、AIは曖昧な質問への回答も得意です。「静かな環境で暮らしたい」「子育てしやすい場所に住みたい」といったニーズに対して、地域情報を整理している物件ほど優位になる可能性があります。

今後の賃貸募集では、“設備スペック競争”だけでなく、“生活提案型の情報整理”が重要になる時代へ移行していきそうです。

依然強い「ポータルサイト」中心構造の実態

「今後、部屋探しで利用したい手段」をエンドユーザーに尋ねたところ、「不動産ポータルサイト」が60.5%で最多となりました。次いで「不動産会社のホームページ」が43.5%、「不動産会社の店舗で相談」が40.2%という結果です。

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

一方で、「SNS」は27.2%、「AI」は24.4%にとどまりました。つまり、AIやSNSが話題となるなかでも、ユーザーは最終的に“比較しやすい場所”を重視していることがわかります。

これは賃貸住宅オーナーにとって非常に重要なポイントです。SNSやAIの登場によって、「ポータルサイト離れ」が起きると考える向きもありますが、現時点ではむしろ逆です。情報接点が増えるほど、最終比較の場としてポータルサイトの重要性が高まっている可能性があります。

実際、部屋探しでは複数物件を横断比較する必要があります。家賃、築年数、駅距離、設備などを一覧で比較できるポータルサイトの利便性は依然として高いのです。

そのため、空室対策では「掲載するかどうか」ではなく、「どう見せるか」が重要になります。写真品質、タイトル、紹介文、設備情報、周辺環境説明など、細部で差が出やすい時代に入っています。

今後は、SNSで認知を獲得し、ポータルサイトで比較され、問い合わせにつなげるという導線設計が、募集戦略の基本になっていくでしょう。

賃貸経営は「情報品質競争」へ移行する?

ポータルサイトは今も最強の集客手段か。AI・SNS時代に賃貸オーナーが見直すべき募集戦略2

今回の調査全体から見えてくるのは、「どこに掲載するか」だけでは差別化できない時代の到来です。SNS、AI、ポータルサイト、ホームページ、店舗相談など、情報接点は増えていますが、最終的に問われるのは“情報の質”になりつつあります。

例えば、同じ「築20年」の物件でも、「リノベーション済みで在宅ワーク向き」「収納動線を改善」「生活利便施設が徒歩圏」と説明できる物件は印象が変わります。単なる設備情報だけでは、比較競争に埋もれてしまう可能性があります。

また、AI活用が広がることで、募集文章の平均品質は今後さらに上がるでしょう。その結果、内容が似通う物件も増え、「どんな暮らしができるか」を具体的に表現できるかが差別化の要因になります。

賃貸住宅オーナーにとっては、管理会社任せではなく、「どの層をターゲットにするのか」「どんな魅力を打ち出すのか」を共有する重要性が高まっています。

さらに、情報品質は空室対策だけでなく、家賃維持にも関係します。同条件の物件が並ぶなかで、“価値が伝わる物件”であればあるほど、価格競争に巻き込まれにくくなるためです。

今後の賃貸経営では、建物そのものだけでなく、“情報設計”も経営資産として考える視点が必要になるでしょう。

まとめ

今回の調査は、AIやSNSが急速に広がる一方で、エンドユーザーの部屋探しが極めて現実的であることを示しました。SNSで物件を知り、AIで相場やエリアを調べ、最終的にはポータルサイトで比較する―。情報収集の入り口は多様化していても、比較検討の中心は依然として不動産ポータルサイトにあるという構図です。

しかし、その一方で、募集活動の“中身”は大きく変わり始めています。不動産会社ではAI活用が約6割まで広がり、物件紹介文や記事制作の効率化が進んでいます。つまり今後は、「掲載するだけ」で反響を得られる時代ではなく、“どれだけ魅力を言語化できるか”が問われる時代になる可能性が高いのです。

特に賃貸経営では、築年数や設備で競争力が弱くなった物件ほど、「暮らしの提案力」が重要になります。動画による空間訴求、生活イメージを伝える文章、地域特性の整理など、“情報価値”を高める工夫が空室対策の成果を左右します。

AI時代の賃貸経営は、単なる物件管理ではなく、「物件価値をどう伝えるか」の競争へ移行しています。これからは建物性能だけでなく、“情報発信力”もまた、収益を左右する重要な経営要素になっていきそうです。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年5月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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