築年数が古くても選ばれる?入居者が妥協するポイントはどこ?賃貸物件探しの希望と現実
賃貸物件探しにおいては、契約を決意した決め手や住まいへの考え方が、問合せ当初の思惑からずれるのはよくあること。では、どれだけズレが生じるのでしょうか?「住まい探しの妥協ライン」と「2022年下半期 問合せが多かった条件・設備」の結果を比較してみました。
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通学・通勤に関連した問合せ多数。物件のグレードアップを望む声も
まずは、『不動産のプロが選ぶ!「2022年下半期 問合せが多かった条件・設備~賃貸編~」ランキング』の結果からご紹介します。
不動産のプロが選ぶ!2022年下半期 問合せが多かった条件 | |
1位 | 通学先・通勤先の近くに引っ越したい |
2位 | 転勤のため引っ越したい |
3位 | ペット可物件に引っ越したい |
4位 | 毎月の家賃を下げたい |
5位 | 今より部屋数を増やしたい |
6位 | 今より㎡数を広くしたい |
7位 | 進学のため引っ越したい |
8位 | 仕事・作業用の部屋が欲しい |
9位 | 設備をグレードアップしたい |
10位 | 防音性を上げたい |
出典:「不動産のプロが選ぶ!『2022年下半期 問合せが多かった条件・設備~賃貸編~』ランキング」|アットホーム(株)
条件編で大きく順位を伸ばして1位になったのが「通学先・通勤先の近くに引っ越したい」で、上半期より10%以上も増えています。不動産会社からは、「テレワーク業務が減ってきたので通勤に便利なところに引っ越したいという方が多かった」というコメントがありました。最近の都心回帰の流れとも共通しています。
一方で、「テレワークを実施する企業が増えている」というコメントもあり、5位「今より部屋数を増やしたい」、6位「今より㎡数を広くしたい」、8位「仕事・作業用の部屋が欲しい」、10位「防音性を上げたい」といった条件もお部屋でテレワークをしたい願望との関連が深そうです。
3位は「ペット可物件に引っ越したい」。コロナ禍を経て多頭飼いを希望されるお客様も増えているそうです。4位には「家賃を下げたい」が入っていますが、広さや部屋数、設備や防音についてなど、住まいのグレードアップを望む声が目立っている印象を受けます。
問合せが多かった設備は「駐車場」「ネット無料」「オートロック」
続いては賃貸物件の設備編です。
不動産のプロが選ぶ!2022年下半期 問合せが多かった設備 | |
1位 | 駐車場 |
2位 | インターネット接続無料 |
3位 | オートロック |
4位 | 洗面所独立 |
5位 | モニタ付きインターホン |
6位 | 温水洗浄便座 |
7位 | 追炊き機能 |
8位 | 宅配ボックス |
9位 | 駐輪場 |
10位 | 通信速度の速いインターネット環境 |
出典:「不動産のプロが選ぶ!『2022年下半期 問合せが多かった条件・設備~賃貸編~』ランキング」|アットホーム(株)
上半期と1位と2位が入れ替わり、「駐車場」が1位となりました。2位と10位にインターネットに関する項目が入っており、「インターネット料金が無料の物件は人気がある」、「インターネット無料がマストという方もいる」というコメントも見られました。
3位は「オートロック」。不動産会社からは「セキュリティーを重視する方が多い」というコメントが多く、昨今の物騒な事件の頻発もあって、今後もセキュリティーへのニーズは高まりそうです。また、以下のようなフリーコメントもあがっていたので、抜粋してご紹介します。
「最近は一人暮らしのお客さまでもお風呂の追焚き機能が欲しいと言う方がいらっしゃいます。今までは仕事に行って帰ってきて家では寝るだけという生活だったのが、コロナで在宅時間が増えたため今までは不要だった設備も需要が増えてきているのかもしれません」 |
先述した広さや防音などといった仕様へのニーズとあわせても、自宅でいかに快適に過ごせるかを重視している入居者が増えていることが見て取れます。
家賃は1.1倍、築年数は+10.2年が妥協の平均ライン
それでは、実際に賃貸物件探しで妥協したのはどんな条件・設備だったのでしょうか。当初の予算と実際の家賃など、希望と今住んでいる物件の条件を比べて算出した結果が次の通りです。
住まいの妥協ライン(算出方法/結果) | |
家賃 | 実際の平均家賃÷当初の平均予算⇒予算の1.1倍まで妥協 |
初期費用 | 実際の平均初期費用÷当初の平均予算⇒予算の2.0倍まで妥協 |
築年数 | 実際の平均築年数-当初の平均築年数の上限⇒10.2年古くても妥協 |
広さ | 実際の平均㎡数-当初の平均㎡数の下限⇒7.1㎡狭くても妥協できる |
最寄り駅までの徒歩分数 | 実際の平均徒歩分数-当初の平均分数の上限⇒9.3分遠くても妥協 |
通勤・通学時間 | 実際の平均時間-当初の平均時間の上限⇒19分遠くても妥協 |
出典:『2022年下半期 問合せが多かった条件・設備』|アットホーム(株)
家賃については、他の条件が希望に合えば予算を上乗せしたケースも。初期費用の妥協幅が大きいのは、最初の一度きりだからでしょうか。築年数では「掃除を頑張ったら思ったより快適だったから」妥協できたという声もあります。
不動産会社への問合せ時のランキングでは、「通学先・通勤先の近くに引っ越したい」が1位でしたが、当初はこだわっていた通勤・通学時間についても、20分程度以内であれば妥協しています。
5人に1人が「構造」「採光・通風」「階数」を妥協
次に、住まいの条件で妥協した部分を聞いたところ、「建物構造」で 20.8%、「日当たり・風通しが良い」で20.5%、「階数」20.0%と、およそ5 人に1人が妥協しています。さらに、そのうち半数以上が「妥協しても問題なかった」と回答しました。
妥協しても問題がなかった人のフリーコメントでは、以下のようなものが挙がっていました。
建物構造で妥協した人(53.0%が妥協しても問題なかったと回答) |
「最近の築浅物件は木造でもそこまで生活音が響かないから」
「災害に強い地区なので木造でも(耐震性は)問題ないと感じたから」 |
日当たり・風通しで妥協した人(64.6%が妥協しても問題なかったと回答) |
「除湿機を買えば問題なかった」
「日当たりが影響する時間は大体学校に行っているから問題なかった」 |
階数で妥協した人のコメント(76.3%が妥協しても問題なかったと回答) |
「セキュリティーがしっかりしていれば問題ないから」 |
妥協したと答えた人のなかで、「妥協して後悔した」割合が最も少なかったのは「入居時期」9.3%、次いで「マンションかアパートか」が10.8%でした。
妥協しても問題なかった設備&妥協して後悔した設備は?
最後に、賃貸物件の設備の中で、妥協した設備を聞いたところ、最も妥協していたのは「オートロック」で 14.5%でした。次いで「2口以上コンロ」13.8%、「洗面所独立」「宅配ボックス」13.5%が続きます。
問合せの多かった設備のTOP10で、妥協した人の割合が1割以上いた設備は以下のようになっています。
設備名 | 妥協した人 | 妥協しても問題がなかった人 |
オートロック(問合せ3位) | 14.5% | 81.0% |
宅配ボックス(問合せ8位) | 13.5% | 77.8% |
洗面所独立(問合せ4位) | 13.5% | 66.7% |
追炊き機能(問合せ7位) | 13.0% | 59.6% |
インターネット無料(問合せ2位) | 11.8% | 63.8% |
出典:『2022年下半期 問合せが多かった条件・設備』|アットホーム(株)
不動産会社への問合せ時には気になっていたものの、実際に妥協してみるとそこまで気にならなかった設備も多いようです。
しかし、「防音設備」は妥協した人のうち 52.6%が後悔しており、唯一「妥協しても問題なかった」を上回る結果に。問合せの条件編でも「防音性を上げたい」が10位に入っており、在宅時間が長い人は特に、防音に関する妥協には注意したほうが良さそうです。
大家さんができることとしては、物件の構造を変えることはできませんが、防音シートを使ったDIYなどの対策は可能です。また、お金をかけて防音性を高めるリノベーションも選択肢のひとつです。
物件のどこかに妥協したポイントがあったとしても、入居してくれた人に後悔させない工夫をしていくことが、退去予防、ひいては長期入居の秘訣なのかもしれません。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年3月14日時点のものです。
文/丸石 綾野
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