賃貸住宅の原状回復を早めに終わらせるには?
退去発生!「早く原状回復して再募集をかけなきゃ」と慌てて動いても、普段から準備しておかないと思わぬロスが発生してしまう…
いかにスムーズに原状回復工事を済ませ、入居者決定につなげられるかを考えます。
時間がかかりがちな原状回復をスムーズに進めるには?
空室期間を最短に抑えるためには、退去から再入居までの次の5つのプロセスをいかにスムーズに進められるかどうかにかかっています。
これらのプロセスを踏むごとに、いちいちオーナーに確認を取って回答を待っていると、各作業のレスポンスが遅くなり、すぐに数週間から1ヶ月以上のロスが発生してしまいます。そんなロスを防ぐためには、事前に一定の承認基準を設けてコンセンサスを得ておき、ある程度までは不動産会社の裁量で進められるようにしておくことが大切です。
なかでもネックになるのが原状回復工事です。退去の度に、細かい打ち合わせをして仕様をチェックしていると非常に時間がかかります。「○○万円までの標準的なリフォーム工事なら事後承認でOK」と決めておきましょう。その基準以上の事態が起きた場合に、初めてオーナーのチェックを受ける体制にしておくとスムーズに進みます。
また、管理会社とリフォーム会社との連携も欠かせません。経営感覚を持った管理会社では、複数のリフォーム会社と提携し、担当地域や担当物件をあらかじめ振り分けておき、いつでも機動的に動けるように準備しています。逆にいえば「原状回復にかかる日数で、管理会社の能力がわかる」わけです。
特にオンシーズンには原状回復工事が集中するため、退去が出る度に個別に発注しても、リフォーム会社はすぐには対応してくれません。例年のことなので、時期によって発注件数を予測して、事前に「今年は1~3月に〇○件程度の工事を発注するので待機してほしい」という要望を伝えておくわけです。リフォーム会社側も、確実な売上見込みが立てば、優先的に対応してくれます。
原状回復工事の実績豊富な会社を選ぶのが◎
また、依頼する先は、原状回復工事の施工実績が豊富な会社を選ぶのが望ましいでしょう。中には原状回復に特化した専門会社もあり、仕上がりの良さが期待できます。仕様グレードを指定するだけで、細かい打ち合わせをせずとも迅速に動いてくれたり、勉強熱心で新しい材料や施工方法にトライして、オーナーにメリットが出るように企業努力をしているところも少なくありません。
たとえば、傷に強いメンテナンスフリーの内装材も出回っています。最初の導入コストが少し高めでも、汚れが少ない場合はクリーニングだけで済むため、壁紙や床材の張り替え回数が減り、トータルのコストは抑えられるのです。必ずしも全面張り替えをする必要もありません。特に汚れた部分だけを塗装にしたり、壁の一面だけ色の違う塗料を使ったり、様々な工夫が可能です。
文/木村 元紀
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