環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表

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公開日:2024年2月21日
更新日:2024年3月15日
環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表1

2023年は、5月にWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の終了を発表、同時期に日本でもコロナが5類感染症に移行し、国内外で経済活動が復活した年となりました。アフターコロナといわれる情勢のなか、賃貸マーケットはどのように変化したのでしょうか?三菱UFJ信託銀行(株)が発表した市場調査の結果を見てみましょう。

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物件稼働率や賃料は?2023秋の繁忙期と半年後の予想

環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表2

三菱UFJ信託銀行(株)が発表した市場調査では「(ポジティブな回答の割合-ネガティブな回答の割合)×100」を賃貸リーシングDIと定義しています。つまり、この数字が大きいほど改善傾向にあり、ゼロだとポジティブ/ネガティブが同数、マイナスはネガティブな回答の方が多いということになります。

表:首都圏のリーシング環境(賃貸リーシングDI)
環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表2

出典:2023年度賃貸住宅市場調査|三菱UFJ信託銀行(株)

部屋タイプにかかわらず、全体的に改善、特に賃料の大幅な改善が進んでいることがわかります。「人口流入を背景に賃料の引き上げが進んでいるものと見られる」と同調査では分析。出社とテレワークのハイブリッドな働き方が定着したことで、ワークスペースを確保するニーズも強いと見ています。

全体的に改善傾向なのは変わらず、やはり賃料の改善予想が目立ちます。「給与の引き上げに伴う賃料アップ余地の拡大に期待する」とのコメントも見られました。

今後1年間でマーケットに影響を与える項目は?

環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表2

出典:2023年度賃貸住宅市場調査|三菱UFJ信託銀行(株)

上位3位の項目は2022年度と変わらずという結果でしたが、「個人の就業環境や収入の増減」と「周辺環境等へのこだわり等、個人の考え方の変化」は前年度より割合が大きくなっています。その一方で「テレワーク等の働き方の変化」は昨年度よりも少なくなりました。

「賃貸住宅の稼働率に影響を及ぼす東京都への人口の転入超過は就業環境との連動性が高いことから、多くの回答者から注目されていると思われる」としていました。

外国人需要や物価高などアフターコロナで注目すべき変化は?

アフターコロナで注目すべき変化については、フリーコメントでの回答を集めています。ポジティブ要素としては次のようなコメントが挙がっていました。

●国内法人の人事異動・転勤は増えてビジネス機会が拡大
●外国人による高価格帯物件の稼働が高まっている。留学生の需要も増えるのではないか
●出社率の上昇で都心の需要はさらに拡大するだろう。

 

ニュートラル及びネガティブなコメントとしては以下のようなものがありました。

部屋の広さ(1Kよりも1DKなど)と快適なインターネット環境が求められている

▲ハイブリッドな働き方を行うワーカーの動向を注視している
▲引っ越しなどが活発になっているため、ダウンタイムを抑える戦略が重要に
▲コロナ禍は消費者に忘れられ始めており、感染予防に関する投資は求められなくなってきた
職住近接志向はさらに高くなるのではないか
▲部屋の広さ(1Kよりも1DKなど)と快適なインターネット環境が求められている
▲物価高の影響で消費者の賃料目線がシビアになっている印象

 

環境配慮について具体的にどのような取り組みが進んでいる?

環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表2

「貴社の保有/運用・管理する賃貸住宅に対する環境配慮の取り組み方針を教えてください」という質問には、「すでに取り組んでおり、今後も積極的に推進する」、「今後も継続して検討する」の合計が9割を超えました。

その方針となった理由については「ステークホルダーからの要請があるため」が1位で、前年度と同じ結果となっています。ここでのステークホルダーは、主に賃貸オーナーや入居者を指すと思われます。

具体的な取り組みの内容で最も多いのが「LEDや省エネ家電等の初期投資が小さい投資」で8割を超えていました。次点が「再生エネルギーの外部調達」ですが、5割にも達しません。

現時点では、比較的取り組みやすい内容を中心に普及が進んでいることがわかりました。

環境配慮の取り組みは成約賃料にどれくらい影響がある?

環境配慮の取り組みを行うことで、それらが成約賃料に与える影響については、「違いはない」という回答が95%にものぼり、前年度の79%よりさらに増えています。

前項の「感情配慮の具体的な取り組み内容」で、小規模の取り組みが大部分を占めていることも関連しているのかもしれません。

ただし、少数ではあるものの「違いがある」と答えた人に違いの程度を聞いたところ前年度の「+3%~+5%」から2023年度は「+5%~+10%」とやや差が大きくなっていました。

まとめ

環境配慮への取り組みは成約に影響がある?アフターコロナの賃貸市場はどう変化したのか、三菱UFJ信託銀行が市場調査を発表2

多くの賃貸オーナーが感じている通り、人の動きが本格的に活発化した2023年度から、首都圏の賃貸市場は改善傾向にあることが分かりました。

しかし、物価高など懸念材料があるのも事実。常に動き続ける情勢に目を配るためにも、このような市場調査は常にチェックしつつ、日々の賃貸経営の答え合わせとして活用すると良いでしょう。

※この記事内のデータ、数値などに関して本記事は、2024年2月21日時点の情報をもとに制作しています。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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