住んで後悔…QOLが下がる家の共通点とは?次からは絶対に住みたくないと思う住まいの条件

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公開日:2025年7月8日
更新日:2025年7月8日
住んで後悔…QOLが下がる家の共通点とは?次からは絶対に住みたくないと思う住まいの条件1

個人が日々の生活で感じる満足度や肉体的・精神的な幸福度を表すQOL(Quality of Life)という言葉。医療や福祉の分野でも注目されているQOLには、住環境も大きな影響を与えます。そこで、QOLという切り口で住まいを評価したアンケートから、賃貸住宅の住みづらさを探ってみましょう。空室や早期退去の原因が、QOLの低さにある可能性も見えてきます。

QOLを下げる家の特徴ランキング1位は「日当たり」

アンケートの対象は、10代から50代以上の全国の男女。部屋探しの際は納得して住み始めたものの、住んでみて実感した「QOL(生活の質)が下がる家の特徴」ランキングは、次のような結果となっています。

QOLが下がる家の特徴(複数回答)
1位 日当たりが悪い 21.2%
2位 断熱性能が低い 12.8%
3位 壁が薄い 12.6%
4位 古い 8.4%
5位 湿気がこもりやすい 8.0%
6位 部屋が狭い 7.6%
7位 周囲がうるさい 7.2%
8位 虫が出る 6.8%
9位 エレベーターがない 5.0%
10位 立地が悪い 4.0%

 

住んで後悔…QOLが下がる家の共通点とは?次からは絶対に住みたくないと思う住まいの条件2

1位は「日当たりが悪い(21.2%)」でした。通勤や通学などで昼間は家にいない人には妥協されがちな条件ですが、実際に住んでみると「気分が晴れず、心なしか体調を崩しやすい」「冬になると寒くてたまらない」など様々な弊害を感じている人が多いようです。

2位の「断熱性能が低い(12.8%)」についても、冬の寒さを訴える声が。夏の暑さもそうですが、室内の快適性が下がることは、QOL低下に直結します。

3位「壁が薄い」、7位「周囲がうるさい」など、生活音や騒音に関連する項目もランクインしていました。

住んでみてわかった“暮らしにくさ”の実態

フリーコメントからは、実際に住んでみて初めて実感する住み心地の悪さがより具体的に伝わってきます。いくつか抜粋してご紹介します。

・日当たりが悪い家。暗いため電気をつける時間が長くなり、冬が寒いため暖房をつける時間が長くなり、光熱費が上がる。
北側にしか窓がついていないワンルームマンション。夏の涼しさは何物にも変えがたいくらいだったのですが、とにかく日が当たらないため、洗濯をしても室内にしか干せません。
・(断熱性能が低く)とにかく寒い。北側の部屋を寝室として使っていたら、冬に壁と天井にカビが生えました。大家さんに伝えて天井はキレイにしてもらいましたが、その際屋根に断熱材が入っていないこともわかり、がっかりしました。
・防音性能の低い木造アパート。「隣人の喋り声」「テレビの音」「物を落とした音」などがはっきり聞こえるため、ストレスだった。
・古くて設備が劣化していた貸家。キッチンや浴室も狭くて使い勝手が悪く、自炊や入浴もおっくうになり、生活習慣が乱れてしまいました。
・内覧のときは気づかなかったのですが、近所のコンビニが夜はたまり場になっていたらしく、夜な夜な騒音に悩まされました。
・ダニが異常繁殖していて、皮膚病になった。
・3階建てでエレベーターがなかった。管理会社から「1年後に新しくエレベーター設置のリフォームを行う予定だ」と聞いていたが、結局リフォームはされなかった。

 

QOL低下がもたらすストレス・体調不良・出費増

住んで後悔…QOLが下がる家の共通点とは?次からは絶対に住みたくないと思う住まいの条件2

フリーコメントにもありましたが、QOLが下がることで様々な悪影響があることがわかります。QOLが下がることによる影響の1位は「ストレスが溜まった(26.0%)」で、「虫が本当にストレスで、毎日ビクビクしながら生きてた」「車が通るときに振動するので、生活をしていて落ち着かず、ストレスを感じた」などのコメントも。

2位「体調不良になった(19.8%)」では、「喘息気味になり、今でもカビや埃で咳が止まらなくなる」「金縛りにあうなど、心身共に不調だった」など、より深刻な影響が出ています。結露や底冷えで体調を崩しやすくなった人もいました。

以下、3位「寝不足になった」、4位「気持ちが暗くなった」、5位「出費が増えた」が続きます。5位については、断熱性能の低さによる暑さ・寒さで光熱費がかさむ他にも、「お風呂が狭くて銭湯を利用」「衣服がカビだらけになりクリーニング費用が増えた」などの声が挙がっていました。

家に居たくないことから外出や外食が多くなり、その結果出費が増えたり、体調不良につながったりする例もありました。

なぜ選んだ?QOLが下がる家の選択理由ランキング

それでは、なぜQOLが下がる家を選んでしまったのでしょうか。理由について聞いた回答の上位5位は以下のようになっています。

QOLが下がる家を選んだ理由(複数回答)
1位 予算の都合 50.2%
2位 立地が良かった 39.6%
3位 引っ越しを急いでいた 9.2%
4位 築浅だった 6.4%
5位 間取りを気に入った 6.2%

 

過半数が「予算の都合」と回答。家賃が安く、「若いから5階でも階段でいけるだろう」と思って住んだという声や、礼金・敷金なしに惹かれたという声が挙がっています。

2位は「立地が良かった」で、通勤・通学時間を優先して決めた人が多かったようです。3位「引っ越しを急いでいた」は進学や転勤で物件選びに充分な時間が取れなかったケース。比較検討や内見せずに決めてしまい、住んでから暗さや寒さ、騒音に気付くことも少なくありません。

75%が「もう住みたくない」と回答、その理由は?

最後に、「今後QOL(生活の質)が下がる可能性のある家に住みたいか」という質問に対しては「絶対に住みたくない」と答えた人が75.8%にのぼりました。

しかし、一方で22.0%は「条件によっては住んでもよい」と回答しています。他の条件が良ければ「ある程度は妥協が必要」と考えている人もいることがわかります。

また、部屋探しや引越しの経験を繰り返すことで、自分がどんな条件に弱くどの程度なら我慢できるのか、悪条件の影響を受けにくい暮らし方のコツなどがわかってくるのかもしれません。

まとめ|住みづらさの原因を知り、改善策を考えるヒントに

QOLが下がる条件の多くは建物そのものの性能や構造もしくは立地にあり、オーナー側としては簡単に改善することは難しいかもしれません。

しかし、今回のランキングでも、フリーコメントを読むと条件そのものが問題ではないケースも多く見られました。例えば、QOLが下がる家の条件の4位「古い」についても、古さそのものが原因ではなく、古いがゆえの設備の劣化や間取りの使いづらさが住む人のQOLを下げていることがわかります。これらは、設備の入れ替えや内部の間取り変更で解消が可能です。

1位になっていた「日当たりの悪さ」は照明器具や浴室暖房乾燥機などの導入でカバーできるでしょう。結露などは北側のみの内窓設置でもかなり改善されることが多く、助成制度が利用できる場合もあります。

住んで後悔…QOLが下がる家の共通点とは?次からは絶対に住みたくないと思う住まいの条件2

かけるコストと収益のバランスをはかることは大切ですが、悪条件を放置することが、入居者のQOL低下、さらには退去につながる可能性があります。

まずは退去の原因を明らかにすることが最優先です。住みづらさの正体がわかれば、それにふさわしい改善策が検討しやすくなります。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年7月8日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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