不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析

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公開日:2025年7月8日
更新日:2025年7月8日
不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析1

不動産価格の高騰や金利上昇が続くなか、不動産投資家の意識はどのように変わりつつあるのでしょうか。(株) LIFULLと健美家(株)が定期的に実施している、健美家会員を対象とした意識調査の結果を見てみましょう。

不動産価格の上昇傾向は続くも、やや減速の兆し

不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析2

2025年の4月から5月にかけて実施されたこちらのアンケート。回答者の属性は30歳未満から60歳以上まで幅広く、家賃収入も含めた年収は最多帯が「1,000~1,500万円未満」で2割ほど。会社員との兼業が過半数を超えており、専業大家は17.4%です。

まず、現在の投資用不動産の価格について、1年前と比べてどう感じるか聞いたところ、「価格が上昇している」との回答が最多で62.8%でした。「価格が上昇している」が最も多い状況は2021年の4月から続いています。

しかし2024年は4月の時点で「価格が上昇している」70.0%、10月で67.1%だったため、徐々に減少傾向にあるようです。2位以下は「価格の変動はない」が24.6%で続き、「価格が下降している」は12.6%でした。

「売り時」意識は減少傾向、買い時派は慎重な姿勢

不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析2

「現在、投資用不動産は売り時だと思いますか、買い時だと思いますか?」という質問に対しては、「どちらともいえない」が最も多く47.6%、「売り時だと思う」36.9%が続きます。「買い時だと思う」は15.5%でした。

「売り時だと思う」と回答した方にその理由を聞いたところ、「これから金利が上がるから」が57.4%で最多でした。「これから買い手の融資が厳しくなるから」が50.5%で続きます。

その他、フリーコメントに「物件価格は高いが、賃貸収入は高く取れず、利回りバランスが合っていないと思う」「築古の不動産も値上げしてきて、キャッシュフローが出ない案件が多いため」といった声も寄せられました。

一方で、「買い時だと思う」理由は、「買えるときに買った方がよいから」が57.1%で、前年から引き続きトップでした。以下「価格がもっと上がるから」「価格が下がっているから」が続き、「築古戸建プレイヤーが民泊に流れたから」などのコメントもありました。

2024年後半に購入者が過半数に。一棟アパートが人気

不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析2

実際に物件を「購入した」という回答は52.6%で、2023年4月の45.9% 、2024年4月の43.1%から、今回は過半数に転じました。

購入した物件の種別は2024年4月と同じく「一棟アパート」が47.1%で最多となり、「戸建賃貸」36.0%が続きます。物件の所在地は「東京・神奈川・千葉・埼玉」が4割を占めています。

購入した代表的な物件の表面利回りは「20%以上」が最も多く19.8%。前年の17.8%からさらに増えています。その他、1割以上の回答があった利回り帯は「7%以上~8%未満」「11%以上~15%未満」「15%以上20%未満」「8%以上9%未満」です。

物件を「購入していない」人にその理由を聞いたところ「欲しい物件の価格が合わなかったから」が41.7%で最多。「欲しい物件がなかったから」「自己資金が少なかったから」「欲しい物件の条件(価格以外)が合わなかったから」が続き、前年から同じ順位となっています。

融資活用率が7割超。金利上昇が投資環境に影響

不動産価格は高騰中、それでも買う?投資家の最新動向を徹底分析2

購入者に物件購入の資金について聞いたところ、「金融機関による融資を活用した」という回答が71.4%。2023年4月の63.5%、2024年4月の64.5%から増加を続けており、7割を超えるのは2018年10月ぶりとなります。

融資を活用した金融機関は「地方銀行」が最も多く39.1%、次いで「信用金庫・組合」32.3%。自己資金について、2024年4月は「必要なし」が41.6%で最多でしたが、今回は「1割」が37.7%で最多となりました。

金利は「2%台」が最も多く、42.3%。「1%台未満」が前年13.5%から2.3%へと減少した一方で、「3%台」が3.9%→11.8%に、「4%以上」が0.6%→4.5%に増加しています。

こうした金利の動向を受けて、「金利は上がった」と回答した人が86.8%にものぼりました。融資期間も、前年は「20~30年」が35.4%で最多でしたが、今回は「10~20年」が35.0%で最多に。

融資を活用して購入した物件種類は「中古木造アパート」「新築木造アパート」が同率1位の24.5%でした。

株式と不動産の併用投資が主流、資産配分に変化も

複数の投資によってリスク分散をはかる投資家は多く、不動産投資と株式投資を「両方やっている」人は64.0%。「不動産のみ」は25.8%、「株式のみ」は7.2%でした。

2025年4月の株価変動の状況を受けての意識を聞いたところ「特に変化はない」が68.3%で最多でしたが、「株のリスクを感じて不動産への資産配分を増やしたい」という人が26.5%いました。

株価変動を受けて、相対的に魅力を感じる投資対象は「不動産」が77.1%で最も多く、「金(ゴールド)」が38.7%で続きます。以下、「株式(国内)」「投資信託」「株式(外国)」「仮想通貨」までが1割以上。

フリーコメントでは、「債券(社債・国債)」「競走馬(馬主)」「グループホーム経営」「民泊・旅館業」などが挙がっていました。

まとめ

金利上昇やそれに伴う自己資金の増加、ローンの短期化などが具体的に数字となった今回の調査。近く物件を購入した大家さんなら共感された方も多いのではないでしょうか。

同社では、毎年春と秋の2回、不動産投資に関する意識調査を行っています。投資や不動産相場の感覚をつかむために、他のアンケートとも合わせて時々チェックしてみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年7月8日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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