「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説

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公開日:2024年3月7日
更新日:2024年3月27日
「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説1

集合住宅といえば大きく「アパート」と「マンション」に分けられます。建物の規模や雰囲気から、普段はなんとなく呼び分けていますが、それぞれの明確な違いは存在するのでしょうか。住環境やコストの面から、賃貸経営にあたってはどちらが良いのかも含めて比較してみましょう。

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「アパート」と「マンション」の違い

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2
「アパート」とは

アメリカで賃貸の集合住宅を指す「Apartment(アパートメント)」がアパートの語源です。日本でアパートというと、3階建てくらいまでの建物を指すことが多いですが、アメリカでは大規模の賃貸集合住宅もこう呼ぶようです。

「マンション」とは

マンションは英語で「Mansion(マンション)」。こちらも実は本場では意味が異なり、大邸宅や豪邸を指します。初めて日本に来た外国人が、「マンションが借りられるなんて!」と感激したら実際は違った…という笑い話も存在するほど。

日本でいう分譲マンションは、アメリカやカナダでは「Condominium(コンドミニアム)」と呼ばれます。

賃貸の集合住宅であれば、アパートもマンションも英語で伝えるときはApartment。つまり、アパートとマンションを分けているのは日本独自の風習ということになります。

アパートとマンションの明確な違いの定義はない

どんな建物をアパートと呼ぶか、もしくはマンションと呼ぶかについて、実は法的な定義はありません。慣例的に、賃貸オーナーや不動産会社が判断してアパート、マンションと称しているにすぎないのです。登記簿謄本にも、建物の構造や面積などは記載されていますが、「アパート」「マンション」の別はありません。

不動産ポータルサイトなどでは「アパート」と「マンション」を分けて検索できますが、その区別も、ポータルサイト内部で設けた社内規定を基準にしているにすぎません。ちなみにアットホームでは次のように表示されていました。

マンション  建物構造が鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造、その他堅固な造りの中高層共同住宅で、一棟の建物が、共用部分を除き、構造上、数個の部分(「住戸」という。)に区画され、各部分がそれぞれ独立して居住の用に供されるもの
アパート 建物構造が軽量鉄骨造・木造等の共同住宅で、一棟の建物が、共用部分を除き、構造上、数個の部分(「住戸」という。)に区画され、各部分がそれぞれ独立して居住の用に供されるもの

参照:「情報の見方」at home

上記の例でも分かる通り、一般的には、アパートかマンションかを判断するときには、建物の構造と規模を基準としています。詳しく見てみましょう。

「アパート」と「マンション」建物の構造と特徴の違い

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2

アパートの構造と特徴

アットホームの基準でもある通り、木造もしくは軽量鉄骨造の賃貸集合住宅をアパートと呼ぶのが一般的です。木造や軽量鉄骨造は高層階の建物を建てることは難しいため、多くは2階建てか、3階建て程度です。

アパートはマンションに比べると規模が小さく、建築コストが抑えられるという特徴があります。そのため、住む側からすれば、同じ立地、同じ広さ・間取りでもマンションよりアパートの方が家賃は安くなります。

マンションの構造と特徴

マンションの構造は鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、重量鉄骨造が一般的です。これらはビル建設などにも用いられる構造であるため、3階建て以上から高層階のタワーマンションまで建てることができます。

特徴は耐久性や耐震性、耐火性、断熱性、防音性能などの高さ。しかしその分、建築コストも高くなり、そのコストが家賃にも反映されます。

耐震性・耐火性の比較

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耐震性については現在の耐震基準で、構造にかかわらず「震度6強~7に達する程度の大規模地震でも倒壊・崩壊するおそれのない建築物」と定められています。

そのため、現行の耐震基準(2000年6月1日施行)以降に建てられた建物については、木造アパートだから地震に弱い、ということはありません。

耐火性については、木造・鉄骨造での違いはありません。ただし、これらはマンションなどに用いられる鉄筋コンクリート(RC)造と比べると劣ります。

木は250℃前後で発火し、鉄骨は約550℃で変形を始めるのに対し、コンクリートは構造そのものが燃えないからです。そのため、もし火災が発生した場合、マンションの方が被害は少ない場合が多いといえるでしょう。

「アパート」と「マンション」管理体制の違い

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2

建物の性能や美観を維持するために、管理は欠かせません。賃貸経営においても、建物の資産価値を保つために、適切に管理することはとても重要です。ここではアパートとマンションの管理体制について解説します。

各々の管理体制とその差

集合住宅の管理を担うのは次の3つで、それぞれ役割や体制が違います。

管理組合

管理組合は分譲マンションの購入者全員で作る組織で、建物や敷地、付属施設といった共有財産の維持管理を行います。実際の清掃業務や修繕の手配などはマンション管理会社が行うため、それにあたっての方針などを管理組合の代表者で構成された理事会で決定します。

組合や理事会がどの程度機能しているかはマンションによって違い、最近は管理会社に全部委託という形をとっている新築分譲マンションが大多数を占めます。

管理会社

管理会社はマンション、アパートに関わらず建物の管理を行います。アパートはオーナーから、分譲マンションは管理組合から委託されて業務を行います。

賃貸物件の場合は、清掃や保守などの建物管理とは別に、入居者の対応や家賃の徴収などといった賃貸管理も担います。賃貸経営においては、管理会社の良し悪しが経営の成否に大きく関わってきます。

管理人

管理人は管理会社から委託され、マンションの清掃や共用部分の点検・保守点検の立ち会いなどを行います。自主管理の賃貸物件では、賃貸オーナー(大家さん)が管理人の仕事を担うことになります。

管理費や修繕積立金の扱い

管理費は共用部の清掃の他、日常的な点検・補修などに使われるお金です。エレベーターの定期点検、庭の草木の手入れ、エレベーターや自動ドアの電気代、管理会社に支払う管理委託費などがそれにあたります。

修繕積立金は、敷地や共用部分などの大規模な修繕・リフォームのために長期的に積み立てておくお金です。屋上防水や外壁の塗り替えなどはかなりの金額になるため、積立金としてプールしておくのです。

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2

これらは分譲マンションと賃貸では扱いが異なり、分譲マンションの場合は所有者全員が毎月、決められた定額を管理組合もしくは管理会社に支払います。所有していた分譲マンションを売却した場合も、それまでに払った修繕積立金は原則、返還されません。

賃貸の場合、管理費は「共益費」という表現をすることもあります。用途は分譲マンションと同じで、共用部分の清掃や設備の維持費、保守・点検に使われます。払うのは入居者で、家賃と別に表記されたり、家賃に含まれていたりする場合もあります。通常はエレベーターなどがないアパートの方が安く設定されています。

賃貸経営における修繕積立金は、賃貸オーナーが定期的な大規模修繕を見越して積み立てておくものです。積み立ては強制ではありませんが、定期的な修繕は資産価値の維持に欠かせません。もともと潤沢な資金がある場合は別ですが、積み立てておくべきでしょう。家賃収入の5%程度が修繕積立金の目安とされています。

「アパート」と「マンション」それぞれのメリット‧デメリット

法的な違いは定義されていないものの、一般的に知られている以下の基準を「アパート」「マンション」と定義して、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

マンション 鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、重量鉄骨造で3階建て以上の中高層の集合住宅
アパート 木造か軽量鉄骨造の3階建てまでの集合住宅

 

アパートのメリットとデメリット

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アパートのメリット

「アパートの構造と特徴」の項でも触れた通り、アパートは同じ築年数や立地・広さでもマンションより家賃が安いことが多いです。そのため、なるべく安く住みたいという人にはアパートがオススメです。自動ドアやエレベーターがない物件が多いため、管理費・共益費も抑えられます。

また、1棟の世帯数が少ないため住んでいる人同士が顔見知りになりやすく、ご近所付き合いが好きな人や地域のつながりを大切にしたい人にはこれもメリットとなるでしょう。

賃貸経営という点で考えても、最大のメリットはやはりコスト面。新たに建築する場合も、収益物件を中古購入する場合も資金が少なくて済みます。1億円以内で不動産投資を始めたいならアパート経営が向いていると言えます。

また、マンションは用途地域上、建築できる立地に制限がありますが、アパートの方が建築できるエリアが多いといえます。

アパートのデメリット

住む立場から考えると、アパートはマンションに比べると住宅性能が劣るのがデメリットとなります。気密性が低いため冷暖房効率が悪かったり、防音性が低かったりして、神経質な人には住みづらいかもしれません。

エントランスやオートロックがない物件も多いため、防犯性もマンションに比べて不安が残ります。ただし、防犯設備を充実させたアパートなどもあるため、セキュリティが気になる人はそのような物件を探しましょう。

賃貸経営においては、競争力でマンションに劣ることから、空室・家賃下落リスクがやや高いことがアパートのデメリットです。また、メリットにもあったアパートの建てやすさが近隣の供給過剰につながるというリスクもあります。

加えて、構造別に定められた法的耐用年数により、減価償却ができる期間やローンを組める年数がアパートは短くなります。法的耐用年数は建物の躯体構造ごとに、以下のように定められています。

躯体構造 法定耐用年数
木造 22年
鉄骨造(鉄骨厚3mm以下) 19年
鉄骨造(鉄骨厚3~4mm以下) 27年
鉄骨造(鉄骨厚4mm超) 34年
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年
鉄筋コンクリート造 47年

出典:主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)

マンションのメリットとデメリット

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マンションのメリット

マンションはアパートに比べて規模が大きく、構造的に防音性能が優れていることが多いため、静かに暮らしたい人に向いています。また、分譲マンションの中の一部屋が賃貸で出ている場合などは、賃貸専用物件よりも設備や仕様のグレードが高いことから入居者にも人気があります。

アパートと比較するとエントランスやオートロック、防犯カメラといった設備が設置されていることも多く、セキュリティ面でも安心です。

賃貸経営の面でも、マンションの方が設定家賃は高い分、入ってくる収入も大きくなります。また、マンションは中高層の建物ということで、駅から近い立地に建築される傾向があります。そのため、立地の面からも上記のような住宅性能やセキュリティの面からも、空室リスクは低いといえるでしょう。

さらに、SRC造・RC造で47年と木造の倍以上の減価償却期間があることもメリットです。ローンの返済期間は耐用年数が上限であるため、借入期間を長くして、返済の負担を小さくすることができます。減価償却費を計上できる期間も長いため、長期的に良好なキャッシュフローが続きやすい資産といえます。

マンションのデメリット

住むうえでのマンションの最大のデメリットは、家賃の高さです。東京23区の2024年1月のマンション平均家賃は、30㎡以下で91,509円、30~50㎡では145,334円でした。アパートの65,763円/104,785円と比較すると、約1.4倍にもなることが分かります

経営面でも、マンションはアパートに比べて建築費がかなり高くなります。3階建以上で構造がRC造のマンションを新築すると、建築費は2億円を超えるでしょう。

「アパート」と「マンション」物件価格と諸費用の違い

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2

アパートの建築費用

実際に、アパートを建てるとなるとどれくらいの建築費がかかるのでしょうか。2023年の国土交通省の統計によると、木造/貸家/共同住宅の1㎡あたりの工事予定額の全国平均は20万円でした。

建築面積100㎡で2階建て(=延床面積200㎡)のアパートを建てたとすると、本体工事費は20万円×200㎡=4,000万円。付帯工事費が本体工事費の20%、諸費用が5%かかるとして、4,820万円が建築費ということになります。

ただし、都市部は人件費に合わせて建築費も上がる傾向があり、東京都で同様の建物を建てる場合は1㎡あたり24万円かかります。同じ建物を建てたとしても本体工事費4,800万円+付帯工事・諸経費25%=6,000万円と、かなり差があります。

東京で木造/2階建て/延床面積200㎡のアパートを建てた場合
1㎡あたり工事予定額24万円 × 200㎡ = 本体工事費4,800万円
4,800万円+付帯工事20%+諸経費5% = 建築費用6,000万円

参照:政府統計 建築着工統計調査 住宅着工統計 2023年「表34(新築住宅)利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)/戸数、床面積、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1平米あたり工事費予定額」

アパートの利回り

アパートの場合、建築費と家賃収入の関係はどのようになるのでしょうか。先ほどのアットホームのアパート平均家賃で、諸経費や空室率は計算に入れない表面利回り(単純利回り)を計算してみます。20㎡程度のワンルームがワンフロア100㎡に4戸、2階建てなので1棟に8戸となります。

東京でも23区は特別家賃が高いため、首都圏の平均に近い東京都下の平均53,826円(30㎡以下)を例にとってみましょう。

アパートの利回り例
家賃53,826円/月×8戸×12カ月=家賃収入516万7,296円/年
家賃収入516万7,296円÷建築費6,000万円×100=8.6(小数点2位以下切り捨て)

 

満室を想定し、土地取得費や諸経費等を計算に入れていないため、あくまで目安ではあるものの、8.6%であることが分かりました。

マンションの建築費用

それでは、マンションを建てる場合の建築費用はどうでしょうか。国交省の統計ではRC造の賃貸共同住宅1㎡あたり工事予定額は全国平均で29万円、東京で37万円です。

建築面積100㎡のマンションはあまりないと思われるため、先ほどの木造アパートの倍である200㎡の建築面積で4階建てを想定してみます。延床面積は800㎡となります。

東京でRC造/4階建て/延床面積800㎡のマンションを建てた場合
1㎡あたり工事予定額37万円×800㎡=本体工事費2億9,600万円
2億9,600万円+付帯工事20%+諸経費5%=建築費用3億7,000万円

 

マンションの利回り

マンションの利回りを見てみます。賃貸マンションで人気のある間取り2LDK(60㎡程度を想定)がワンフロア200㎡に3戸、1棟で12戸として同様に計算してみます。東京都下のマンション平均家賃は50~70㎡で120,588円です。

マンションの利回り例
家賃120,588円/月×12戸×12カ月=家賃収入1,736万4,672円/年
家賃収入1,736万4,672円÷建築費3億7,000万円×100=4.6(小数点2位以下切り捨て)

 

マンションの表面利回りは4.6%で、アパートの方が高く出ました。しかし、単純比較はできません。マンションはアパートよりも長く資産価値を保てるため、長期経営においてはマンションの方が有利となるからです。「マンションのメリット」の項でも触れた通り、減価償却期間やローンの返済期間が長いこともその要因のひとつです。

いずれにせよ、経営規模がマンションの方がかなり大きいことが分かりました。ちなみに不動産投資には、マンションの一室だけを購入(区分所有)して家賃収入を得る方法もあります。この場合、初期費用などは比較的抑えられますが、利回りは低くなります。

アパートとマンション、どちらを選ぶべき?

「アパート」と「マンション」はどう違う?それぞれの特徴や賃貸経営におけるメリット‧デメリットを解説2

アパートとマンションはそれぞれにメリット・デメリットがあり、住む場合は自分のライフスタイルに合わせて選択することが肝心です。

賃貸経営としてみた場合は、投資額や事業規模が異なるため、それぞれの資金力や所有している土地の特性などによっても、自ずとどちらを選べばいいのかが決まってきます。不動産投資に詳しいプロにも相談しながら、ご自身の状況に合う方法を選ぶようにしましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関して本記事は、2024年3月7日時点の情報をもとに制作しています。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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