“2025年問題”で空き家が急増!不動産会社の6割が空き家物件を取り扱うも「活用経験あり」は25.1%

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公開日:2025年5月28日
更新日:2025年5月28日
“2025年問題”で空き家が急増!不動産会社の6割が空き家物件を取り扱うも「活用経験あり」は25.1%1

2025年の団塊世代の後期高齢化、いわゆる“2025年問題”によってもたらされる影響のひとつに、空き家の増加があります。いまや総住宅数の13.6%が空き家※という時代。空き家の増加を止めるためには、所有者が死亡した家や相続した家を利活用していくことが欠かせません。空き家に関して、不動産業界の現状はどのようになっているのでしょうか。

エンドユーザーの約半分は空き家問題に「関心あり」

(株) いえらぶGROUPが不動産会社・エンドユーザーを対象に行った「空き家に関するアンケート調査」の結果をご紹介します。

まず、空き家物件の取り扱い経験について質問したところ、「ある」と回答した不動産会社は57.5%。全体の約6割が、空き家物件を取り扱った経験を持っていることになります。

続いて、エンドユーザーに空き家問題について関心があるかどうかを質問。「関心がある」と回答したのが48.1%で、約半数が空き家問題に関心を抱いています。「関心がない」が23.5%、「よく分からない」が28.3%。

空き家への関心度合いは、近所に空き家がある人や、自身の実家が将来空き家になる可能性がある人など、環境や経験によって変わると考えられます。

ニュースなどで頻繁に報じられることによって、今回「よく分からない」と答えた人も、空き家問題に関心を持つようになるかもしれません。2023年時点で、全国の空き家の数は849万戸となっています。

空き家物件の老朽化や利活用の難しさ、コストが課題

“2025年問題”で空き家が急増!不動産会社の6割が空き家物件を取り扱うも「活用経験あり」は25.1%2

エンドユーザーに、空き家が周辺にある場合に感じる影響について質問したところ、次のような結果となりました。

Q.空き家が周辺にある場合、どのような影響を感じますか?
1位 物件の老朽化や利活用の難しさ 71.7%
2位 修繕・管理や法的手続きにかかるコスト 67.5%
3位 所有者との連絡や調整の難しさ 46.3%
4位 賃貸・売却ニーズの少なさ 36.6%
5位 利活用アイデアの不足 12.2%

 

物件が老朽化し、利活用にコストがかかってしまうことが課題の大部分を占めています。また、地方の実家などが空き家になった場合、遠方にいる所有者との連絡の取りづらさも空き家の利活用が進まない一因となっています。

「周辺に空き家はない」と回答した人も14.0%おり、実際に目にする機会がないと、影響を実感しづらいのかもしれません。

また、空き家物件の取り扱い経験がある6割の不動産会社に、取扱いにおける課題を聞いたところ、次のような回答が上位でした。

Q.空き家物件の取り扱いにおいて、課題と感じることは何ですか?
1位 防犯への不安 55.5%
2位 衛生面の不安(ゴミ・害虫など) 51.6%
3位 災害時の倒壊リスク 41.9%
4位 景観の悪化 33.3%
5位 地域イメージの悪化 24.1%

 

空き家活用を「行っている」不動産会社はわずか16.1%

“2025年問題”で空き家が急増!不動産会社の6割が空き家物件を取り扱うも「活用経験あり」は25.1%2

エンドユーザーはどのくらい空き家に活用方法について知っているのでしょうか。回答で最も多かった活用方法が「リノベーション住宅」55.7%でした。「民泊・宿泊施設」が44.5%、「地域の集会所やカフェ」が31.2%と続き、活用方法を「知らない」と回答した23.0%を上回っています。

不動産会社に対して、空き家を利用した新たな事業、例えばリノベーションや短期賃貸を行っているかを質問したところ、「行っている」と回答したのはわずか16.1%でした。「過去に行っていた」9.0%と合わせても、空き家事業を手がけている不動産会社は4社のうち1社程度にとどまります。

「行っていない」と回答した不動産会社が65.9%と大部分を占めるのは、前項の空き家取扱いの課題である「老朽化とコスト」が大きな壁となっているからでしょう。

まとめ

東京都では「東京都空き家家財整理・解体促進事業」として空き家の家財整理に最大5万円、解体に10万円の補助金を交付しています。他にも多くの市区町村で空き家の除去や利活用に対する補助金、空き家の維持管理や相続・税金・登記などについて無料相談窓口が設けられています。

物件オーナーに対しての支援のひとつには「住宅セーフティネット制度」があります。これは、低額所得者や高齢者、被災者、障害者、子育て世帯、外国人などの住宅確保要配慮者を受け入れるセーフティネット住宅に登録することで、一定の要件で改修費や家賃を支援するというもの。

空き家の利活用促進には、これら支援事業のさらなる充実と、積極的な情報発信が欠かせません。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年5月27日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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