なぜ今、築古物件が選ばれる?入居者497人が答えた魅力と改善ポイント
2025年の賃貸市場でよく聞かれた「家賃上昇」という言葉。その影響もあって、「築古物件」を選択肢に入れる入居検討者が増えていると言います。その魅力はどこにあるのでしょうか。実際に築20年以上の物件に住んでいる497人を対象に、(株)AlbaLinkが築古物件の魅力についてアンケートを実施、公表しました。その結果をもとに、築古物件が持つ可能性について見ていきます。
築古物件に住む人の平均は築35年。築25〜30年が最も多い

画像引用元:【古い物件の魅力ランキング】男女497人アンケート調査|株式会社AlbaLink
築20年以上の物件に暮らしている497人(女性342人/男性155人)に、「住んでいる物件の築年数」を聞きました。最も多かった回答は27.4%の『築25〜30年』でした。全体の平均築年数は35.4年で、中には築50年以上の物件に暮らしている方もおり、平均築年数を押し上げるかたちとなっています。
圧倒的1位は“家賃の安さ”。築古が選ばれる最大の理由
では、築古物件を選んだ理由はどういったものなのでしょうか。ダントツの1位となったのは「安く住める」でした。

画像引用元:【古い物件の魅力ランキング】男女497人アンケート調査|株式会社AlbaLink
「家賃が周辺の新築物件よりかなり安くて、生活費を抑えられたのが助かりました(50代以上・女性)」というように、新築や築浅物件に比べて家賃が安いのは当然ですが、「間取りや住居設備を考慮したときに、家賃が割安になっていることが多い(30代・男性)」、「中古だと固定資産税もお安くなるので、新築よりはいいかなと思いました(40代・女性)」など、同レベルの広さや設備で、より手頃な家賃であったり、購入価格や固定資産税が低く抑えられることも、築古物件ならではの魅力と言えそうです。
レトロな雰囲気や和室が人気。新築にはない“味”が魅力
その他の回答も見ていきましょう。3位は23.7%で「雰囲気がいい」がランクインしました。
「今の洋風建築にない様式。縁側に差し込む優しい光が素敵(30代・女性)」や、「内装がレトロで、味がある。自分が子どものころに住んでいた家のようで、懐かしい(40代・女性)」などといったコメントが示すように、新築にはないアンティーク感やレトロな雰囲気も年月を重ねた築古物件にしか出せない「味」です。
5.8%と少数派ではありますが、6位の「和室がある」も築古物件ならではのポイント。
新築ではフローリングが一般的なところ、築古では全室和室というのも珍しくありません。「和室。イグサの香りに癒された(30代・女性)」「畳の部屋がある。新しい物件は全室フローリングが多い(40代・女性)」など、和室独特の香りやゴロリと寝転べるなどの快適性を重視する方にとっても評価されています。
5.6%で7位の「造りが頑丈」も築古ならではの回答。
工場で造られたパーツを現場で組み立てる現代の工法ではなく、昔ながらの職方が建てた家の場合、「かなり頑丈に作られていて、リフォームのとき、大工さんに褒められた。長く住んでいるが、ガタが来ない(20代・女性)」のコメント通り、在来工法で丁寧に施工されているケースも少なくありません。
家賃は安く、立地は良い?築古ならではの掘り出し物も
その他の回答では37.2%で「間取りが広い」が2位に。
「間取りが広い。ワンフロアで大人5人にそれぞれ部屋がある(30代・女性)」といったように、大家族で暮らしていた昔の様式の家では、部屋数豊富な場合もあるようです。しかし「古い家なら必ず広い」というわけではないところには注意が必要です。
6.0%で5位の「立地がいい」も、新築と比べてメリットが感じられるところです。
「まず立地が優れていたのは大きな魅力。バブル期以前に建てられたため家賃は高くなかったが、駅近や商店街周辺など街の中心に近かった(40代・男性)」という声のように、都市開発が進む前の良い場所に建てられた家がそのまま残っている場合もあります。
例えば「駅近」「商店街など商業施設のそば」といった新築や築浅であれば家賃が割高になってしまう生活利便性の高いエリアでも、築年数が経っていることで家賃が低く抑えられれば入居しやすくなります。
4位の「リフォーム済できれい」も23.7%と多くの方から声が挙がった回答です。
特に劣化しやすい水まわりが刷新されていれば、築古のデメリットは感じにくくなります。リフォーム履歴を「しっかり点検、メンテナンスされている」証拠と捉え、魅力として感じる人も多くなりました。
意外と気にならない“古さ”。内装や設備は暮らすと慣れる
「古い物件で意外と気にならなかった点」についても聞いています。「なるほど」「意外だ」と思われる回答が1、2位を占める結果になりました。

画像引用元:画像引用元:【古い物件の魅力ランキング】男女497人アンケート調査|株式会社AlbaLink
1位は23.1%で「内装の古さ」です。
普通に考えれば築古物件は、古く・汚れている内装は敬遠されるものと思われがちですが、「既にあちこち汚れているので、多少汚れても気にならないこと(30代・女性)」との回答には「なるほど」と納得させられました。入居前に証拠として写真に残しておけば、退去する際に現状復帰の必要もありません。
その一方、「意外」と感じたのが、3位の「住宅設備の古さ」(22.9%)。
「お風呂です。バランス釜は嫌でしたが、結局はシャワーしか入らないので気にならなくなりました(40代・男性)」との声には、確かに個々のライフスタイル次第ですし、「以前は『最新設備のついた家がいい!』と思っていたのですが、古くてベーシックな設備でもまったく問題なく快適に生活できた。バスルームなどは、普通が一番掃除も楽でした(50代以上・女性)」との声には、意外な印象を受けました。
共通しているのは「暮らしてみたら意外に気にならなかった」ということ。立地や家賃の面でメリットがある場合は、いったん暮らしてみるというのも「アリ」なのかもしれません。
工夫が価値に変わる。外観・間取りの“古さ”を楽しむ人も
以下は少数派の回答となりますが、工夫次第で魅力に変わる築古物件の良さといえます。
5位は5.4%で「外観の古さ」です。
「外観が古いので、最初は友人などからどう見られるか気になりました。しかし花壇をきれいにしたり、アンティークな飾り付けなどで、逆に古さがおしゃれにも見えて気に入っています(50代以上・男性)」といったように、工夫することで古臭さをレトロな雰囲気として楽しむ方もいるようです。
「外観。定期的に修繕してくれるから(30代・男性)」との声のように、賃貸物件であればオーナーや管理会社による外壁塗装など定期的な修繕も入るため、思っていたほど印象が悪くならないケースも。
4.8%で6位の「間取りの古さ」も、工夫次第で生活しやすさにつながるという好例です。
「2階に廊下がないことがデメリットだと思ったけど、愛犬が楽しく走り回れるのでそうでもなかった(30代・女性)」や、「リビングとキッチンの空間が、隣り合っているのに仕切りでわけられているところ。狭く感じるが、『ご飯を食べるときはキッチン』『遊ぶときはリビング』と子どもたちも切り替えられる点は良かった(40代・女性)」など、動線的に使いにくそうな間取りでも、それがメリットとなる場合も少なくありません。
まとめ
古い物件には「家賃の安さ」という大きなメリットがあります。
さらに、同条件の新築や築浅に比べて「立地のわりに安い」「広いわりに安い」といった声も多く、入居者は安さ以上の“価値”を感じています。
また、住み始めは古さを気にしていた人も、リフォームや生活スタイルの工夫によって「思ったより気にならなかった」という意見が多く、築年数がデメリットになりにくいケースも目立ちます。
築古物件には十分なポテンシャルがあり、ターゲット設定や改善の工夫次第で魅力的な選択肢へと変わります。そして何より重要なのは、築古物件は“活かし方次第で資産価値を高められる”という点です。オーナーとして今こそ、物件の魅力をどう引き出すかを見直し、手を打つ絶好のタイミングと言えるでしょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年12月25日時点のものです。
取材・文/御坂 真琴
ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

















