賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説

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公開日:2023年12月14日
更新日:2024年9月12日
賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説1

退去時の敷金精算や入居期間中の修繕等の紛争を防ぐための『賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』第4版が東京都よりリリースされました。賃貸住宅のトラブルを防止するために、オーナー側が知っておきたいポイントを簡単にご紹介します。

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ガイドライン最新版で民法改正やオンライン手続きについて加筆

賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説2

東京都『賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』第4版

今回の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」の改訂では、第3版以降の宅地建物取引業法及び民法の改正や、令和4年5月18日施行の「賃貸住宅紛争防止条例」の改正が反映されています。主な変更内容は以下の通りです。

宅地建物取引業法等の改正を受けて、次の点を加筆・修正

・重要事項説明書に、水防法に定める水害ハザードマップの記載欄を追加
・重要事項説明書及び契約書において、宅地建物取引士の押印の廃止
・賃貸住宅紛争防止条例等の改正を受けて、改正概要を追加し、条文を差し替え

さらに、「参考」として以下のコラムが加筆されました。

・民法の改正について
・賃貸住宅の入居に係る手続のオンライン化

東京都の条例「賃貸住宅紛争防止条例」とは?

東京都では、全世帯の4割にあたる約270 万世帯が民間賃貸住宅に居住しており、賃貸借契約について年間17,200件(令和2年度)もの相談が都に寄せられています。そこで、民間賃貸住宅における様々なトラブルを防止する目的で「賃貸住宅紛争防止条例」が制定されました。

◎「賃貸住宅紛争防止条例」のポイント
宅地建物取引業者は、住宅を借りようとする者に次の点を説明することを義務付けられています。
①退去時における住宅の損耗等の復旧について(原状回復の基本的な考え方)
②住宅の使用及び収益に必要な修繕について(入居中の修繕の基本的な考え方)
③実際の契約における賃借人の負担内容について(特約の有無や内容など)
④入居中の設備等の修繕及び維持管理等に関する連絡先

ガイドラインでは「条例に基づく説明を聞き、原則における費用負担の考え方と契約上の費用負担の内容を比較し、その相違の有無や内容を十分理解したうえで契約してください」と呼びかけています。

退去時の復旧や費用負担はどの程度?負担区分の一覧なども掲載

賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説2

次に、「退去時には原状回復が必要となる」としたうえで、「原状回復」の定義を紹介。貸主負担である経年変化や通常消耗の例、借主負担になる汚れやキズなどの例を明記しています。また、貸主・借主の費用負担の考え方を、住宅の損耗等の状況に応じて具体的に例示した図解と一覧表も掲載しています。

「善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)」や経過年数の考え方についても解説。例えば、設備や建具の耐用年数から、一般的にはどのくらいの年数で交換や修理を貸主の負担とするかの目安が示されています。

入居中の修繕義務についても解説。例外も要チェック

「貸主は、借主がその住宅を使用し、生活をしていくうえで、必要な修繕を行う義務を負っています」と貸主の修繕義務を定義。「しかし、家賃が著しく低額であるにもかかわらず、修繕に多額の費用がかかる場合などは、貸主の修繕義務が免除されることもあります」と例外も示しています。

また、貸主と借主との間の合意により、小規模な修繕を借主の負担とする特約を定める「小規模な修繕の特約」や、修繕の連絡がとれないことによるトラブルを防ぐ「修繕等の連絡先」についても解説しています。

賃貸住宅の借主が気をつけるべきとされているポイント

賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説2

●契約時
家を借りるときの注意点として、以下のポイントを呼びかけています。

・賃貸借契約の事前説明はわかるまで確認すること
・特約は説明を聞き、納得した上で契約を締結すること
・入居前の物件確認は「確認書」を使ってしっかりと行うこと

また、契約条文の一例や入居時の物件状況確認書のひな型も提示されています。

●入居中
修繕が必要となった場合には、時間をおかず貸主や管理会社などに連絡し、対応について相談することを入居者側に呼びかけています。時間が経ってからだと、修繕等が必要となった原因が、経年変化や通常使用によるものかどうか判断が難しくなってしまうためです。

また、「入居中のマナーを守ること」と、ペット飼育や貸主の許可を得ないDIY、汚れの放置など、トラブルの原因となりがちな行為について事例を紹介しています。賃貸住宅を貸す側のオーナーも知っておきましょう。

●退去時
退去予告の予告期限について、入居者が契約書を確認したうえで、予告期限を過ぎた後に申し入れた場合は、申し入れた日から起算して、その予告期間相当の日までの家賃が発生するケースについても触れています。

また、退去時のマナーや物件確認の必要性、その際にチェックするべきポイントについて明示。「原状回復費用に納得できない場合は話し合いを」としています。そういった場合には、オーナーも真摯な対応をするようにしましょう。

もしトラブルになってしまったときの相談先は?

トラブルが発生してしまった場合の問い合わせ先として、相談内容別に東京都の相談窓口である「賃貸ホットライン」や「不動産取引特別相談室」、「消費生活総合センター」などが紹介されています。

「話合いによる解決がうまくいかなかった場合は司法手続の利用も考えられる」と、民事調停手続と少額訴訟手続、支払督促手続それぞれの特徴を解説。問い合わせ先として、東京都の管轄区域別の簡易裁判所の連絡先のほか、法律相談センターの無料電話相談や東京司法書士会のホットラインなども紹介しています。

条例文や重要事項説明書記入のポイントはオーナーも要確認

賃貸住宅でのトラブル防止のために!オーナーが知っておきたいポイントを最新ガイドラインから解説2

最後に、条例の本文や「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」、国土交通省が重要事項の説明を行う際に参考とすることが望ましいとしている「重要事項説明書(建物の貸借)」の記入例などが掲載されています。

ガイドラインの本文は80ページものボリュームがありますが、全8ページオールカラーの「ガイドライン概要版」もリリースされています。トラブル回避のポイント等がイラスト付きで分かりやすく解説されていますので、オーナーは入居者にこちらを配って、一読いただくのもオススメです。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2022年12月14日時点のものです。

文/丸石 綾野

ガイドラインの詳しい内容はこちら

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