効果的な空室対策のために!費用をかける方法・かけない方法を解説。入居者のリアルな声も紹介!
- 賃貸経営ノウハウ
空室を抱えて不安な大家さんも少なくないと思います。そんな大家さんは「なんとしても埋める!」という強い決意で空室対策に臨みたいところ。まずは基本を徹底したうえで募集条件を見直し、物件力を高めていきましょう。
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空室対策の第1歩!「やるべきこと」ができているかまず確認を
賃貸仲介の繁忙期は、満室経営を維持する勝負どき。繁忙期を過ぎると人の移動が落ち着いて長期空室になる恐れもあります。
退去が出たり、空室に悩む物件は短期決戦の覚悟で、早急に募集条件の見直しや競争力アップに取り組む必要があるでしょう。その前にやっておきたいのが基本の徹底です。まずは当たり前の対策がしっかりとできているか、以下のチェックリストを参考に確認してください。
やって当たり前の空室対策!募集状況・物件状況チェックリスト
◎募集状況
▢ 家賃が相場に合っているか |
▢ 共益費の設定は適切か |
▢ 仲介会社は1社だけでなく、複数社に募集物件の情報を公開しているか |
▢ 不動産ポータルサイト(SUUMO・LIFULL HOME’S・at home など)に募集物件が掲載されているか |
▢ 募集広告(ネット・チラシ)の内容には誤りがないか、設備はすべて掲載されているか、魅力が伝わるか |
▢ 競合と比較した場合、改善すべき条件はないか |
◎仲介会社との協力
▢ インターネットからの問い合わせ、内見の反響などを聞いているか |
▢ 空室対策の相談をしているか、提案をしてもらっているか |
▢ 値下げなど契約交渉の条件を決めているか(家賃は2,000円まで値下げ可など) |
▢ いつでも電話連絡が付きやすく、すぐに判断・返答できる体制か |
▢ 物件の内見用にキーボックスを使っているか |
◎共用部
▢ エントランス・共用部はきれいか |
▢ ポストに郵便物がたまっていないか |
▢ ゴミ置き場に汚れや分別不備の未回収のゴミはないか |
▢ 未回収の粗大ゴミはないか |
▢ 駐輪場は整理整頓されているか、放置自転車はないか |
▢ 共用部の照明切れはないか |
◎空き部屋の室内
▢ ホコリがなく清潔感を保っているか、虫の死骸などないか |
▢ いやな匂いがないか、空気の入れ替えをしているか |
▢ 照明器具が設置され、点灯するか |
▢ スリッパは準備されているか |
◎設備
▢ エアコンは備えているか |
▢ 借りるのをためらう、使い古した設備はないか |
▢ 和式トイレ、電気コンロ、バランス釜など昭和の設備がないか |
▢ トイレ・浴室の黄ばみなど、敬遠する汚れはないか |
物件情報のアピールと共用部等の管理状態の確認はお忘れなく
そもそも自分の物件が募集中だと仲介会社に認知してもらわなければ、部屋探し中の人に案内してもらえません。1社だけでなく複数社、最寄り駅はもちろん、ターミナル駅の仲介会社にも足を運んで物件をアピールしておきましょう。
また、大手不動産ポータルサイトに物件情報がきちんと掲載されていることも大事。最新情報に更新されているか、写真で物件の魅力や特長が伝わるかなどもチェックしましょう。
物件の管理状況にも目を向けてください。足を運んでくれた内見者に「ここに住みたい」と好印象を与えるために、何よりも大切なのは清潔感。築年数を経た物件でも、清掃・整理整頓が行き届いていれば、かえって良い印象を持たれることも多いのです。
特に集合ポストやゴミ置き場、駐輪場など共用部は常にきれいな状態になっていることを心がけたいところ。部屋の状態も定期的に確認しましょう。空室が長引く間にホコリが溜まったり、臭いがこもることがあります。空気を入れ替えて清掃し、排水トラップの渇きにも気を付けましょう。
また、老朽化した設備を「まだ使えるから」と、そのままにしていないでしょうか。設備は時代とともに変わるのでアップデートしておきましょう。
エアコンは省エネ効果が高いもの、インターホンはTVモニター付き、インターネット設備も最新設備に交換すると喜ばれます。さらにキッチンや浴室など水まわり設備は、クリーニングでも取れない汚れが目立つと敬遠されやすくなっています。客観的な視点で、家族・友人に見てもらうのもおすすめです。
これらの基本の徹底をしたうえで、仲介会社に募集広告の反響や内見者が契約に至らなかった理由を必ず確認するようにしてください。自分の物件のウィークポイントがわかり、対策に役立てることができます。
費用をかけない空室対策|入居条件を見直す
少子高齢化に伴う人口減少で賃貸市場が縮小するなか、安定的に入居者を確保するには大家さんの意識改革も必要です。募集条件を緩和して門戸を広げてはいかがでしょうか。
募集条件を緩和して入居者への門戸を広げよう
「高齢者歓迎」、「ペット相談可」、「ルームシェア可」など、不動産ポータルサイトの検索条件で絞り込むと、対象物件数が圧倒的に少ないことがわかります。これらの入居希望者を受け入れれば、費用をかけたり、家賃を下げたりしなくても空室が埋まりやすくなるのです。
少子高齢化が進む今後は、高齢者は貴重な入居者ターゲット。受け入れには他にないメリットもある。例えば、高齢者にとって階段のない1階は生活するのに便利で安全なので、1階の不利が有利に転じます。
また、高齢者は年金支給などで収入が安定しているため家賃滞納が少なく、長期住んでもらえる可能性も高くなっています。
【注意点】
自宅での死亡事故が若者に比べて多いのは事実。孤独死対応保険や民間の見守りサービス、家賃債務保証などでリスクを軽減しましょう。
コロナ禍で自宅にいる時間が増え、ペットを飼う人が増加。一方で「ペット可」の賃貸物件はまだ少なく、圧倒的に不足しています。
さらに複数頭が飼育できる物件はとても希少。駅から多少遠くても、築古物件であっても、家賃を下げずに空室が埋まる可能性が高まります。さらに入居後は転居せず、長く住み続けてくれる傾向があります。
【注意点】
既存の入居者に事前告知が必要。募集時は頭数、サイズ、種類、予防接種の有無を確認。「ペット飼育誓約書」を取り交わしましょう。
支払い能力があっても、親が高齢だったり、兄弟がおらず、連帯保証人を立てられない入居者も多くいます。連帯保証人を不要にして保証会社を利用してもらえば、こうした人も入居対象者にできます。連帯保証人の手続きがなく契約もスムーズです。
しかも滞納トラブルがあった場合、保証会社が家賃を立て替え払ってくれるのでリスクを軽減できます。
【注意点】
入居者には家賃に加えて保証会社利用のための費用がかかります。また、家賃保証の内容や保証会社の信用力をしっかり見極めて選ぶことが大切です。
友人同士やカップルで同居したい人は多いのに、意外に少ないのが「ルームシェア可」の物件です。
受け入れることで入居者募集の間口が広がり、競争力の低い物件でも埋まりやすくなります。広めの単身者向け物件やファミリー物件は空室期間が長びくと収入ロスも大きくなるので、積極的に採用するメリットは大きいのです。
【注意点】
同居人の1人が退去した場合、残った人が家賃の全額を払えなくなる恐れもあるので、家賃保証会社の利用と併せて導入しましょう。
働き方が多様化した現在、事業利用もOKにすれば空室解消の新たな選択肢となります。
弁護士・税理士などの事務所、フリーランス向けのオフィス(SOHO)、ネイルサロン、学習塾、料理教室など、個人事業主のビジネスの場として探している人は意外と多くいます。苦戦する3点ユニットの1Kや築古の1階も活路が見い出せるかもしれません。
【注意点】
入居者以外の人の出入りが発生することもあるので、防犯対策に気をつけたいところ。「事業用賃貸借契約書」を交わすこともお忘れなく。
礼金・敷金ゼロ、フリーレント、分割払いといった初期費用の負担を軽減する方法は即効性が高い施策です。
初期家賃の何カ月分かを無料にするのが「フリーレント」。仮に家賃を10%下げると10 カ月で1 カ月分のマイナスになりますが、フリーレント1 カ月で10 カ月超の入居を見込めるなら、家賃の値下げよりも収入は多くなります。
【注意点】
フリーレントでは契約書に「契約期間中に解約するとフリーレント期間分の家賃を請求する」といった短期解約条項を盛り込んでおきましょう。
以上、費用をかけずに行える有効な空室対策を紹介してきましたが、それぞれに特有の注意点もあります。あらかじめ起こりがちなトラブルやリスクを知って、ダメージを回避できる対策をしておきましょう。
費用をかける空室対策|物件力を高める
多少の費用はかかるものの、空室対策として取り組みやすく、効果が高いのが人気設備の導入です。最近のトレンドを知り、入居者ターゲットに合ったアイテムを取り入れて競争力を高めましょう。
人気設備を導入して物件の競争力をアップ!
「無料インターネット」と「宅配ボックス」は近年ニーズが急増している設備の筆頭。在宅ワークや動画視聴をする入居者にはネット環境が不可欠で、今では速さが求められるように。再配達の手間がなくなり、非対面で荷物が受け取れる宅配ボックスも人気で、この2つは新築ではすでに標準装備になりつつあります。
一方、築古物件ではまだ導入が進んでいないので、今が差別化を図るチャンス。多くの入居者に渇望されているので、待ったなしで取り入れたいところです。
入居者のセキュリティへの意識も高まっています。TVモニターホンや防犯カメラ、後付けできるエントランスオートロックなどを設置して防犯対策をアピールしましょう。
共働き世帯や一人暮らしの女性など、洗濯物を外干ししない人も増えています。そうした生活で室内用物干しは必須アイテム。低コストで設置でき、内見時の印象アップにもつながるので、迷わず導入したいところです。浴室乾燥機も換気扇の交換で設置可能なタイプがあります。
物件に人気の設備を取り入れたら、募集図面や不動産ポータルサイト上での広告に情報を追加掲載することも忘れずに。設備条件で物件が選ばれやすくなります。
入居者に聞いたリアルな声!賃貸住宅にあったら嬉しい設備・仕様
賃貸住宅の入居者、住まいを探している入居希望者6人に「入居の決め手」「あって良かった設備」「今後欲しい設備」などを聞いてみました。リアルな声を空室対策の参考にしてください。
24時間ゴミ出し・宅配ボックスは平日不在がちな暮らしに便利!
仕事で帰りが遅いので24時間ゴミ出し・宅配ボックスは必須条件でした。防犯面からオートロック付きのマンションを探し、今の物件に決定。お風呂にゆっくり浸かりたいので、追い焚きは嬉しい設備です。Wi-Fiルータなどを入れる配線ボックスが意外と便利。今は荷物が増え、収納が足りないと感じています。
家でのスポーツ動画観戦に最新のインターネット環境を切望
オートロック必須でマンションを探し、好立地に建つ今の物件に入居しました。家ではTVでスポーツ動画配信をよく見ています。光回線インターネットですが、時間帯によっては通信が遅くなるので新しい設備を希望。また、料理を作るので、次は3口コンロ、広い作業スペースがあるカウンターキッチンが欲しいです。
築年よりも広さや明るさを優先。リフォームできれいな物件は快適です
趣味の荷物が多く、希望の家賃帯で広さ優先、2部屋が借りられる物件にしました。築40 年超のRC造ですが、室内はリフォームされてきれい、トイレと温水洗浄便座は新品で、クローザー付き引き戸も良かったです。浴室乾燥機は部屋干しができ、浴室が清潔に保てて便利。南向きで明るいベランダがお気に入りです。
休日はネット配信で映画鑑賞。無料インターネットが導入されて嬉しい
6年前に2.5帖のウォークインクローゼットが魅力の新築物件に入居しました。浴室乾燥機・追い焚き機能付き風呂は大活躍しています。休日はネット配信で映画を見るので、ネット環境は不可欠。次の更新で気分転換に引っ越しも検討しましたが、最近、無料インターネットと宅配ボックスが設置されたので更新予定です。
鍵をなくさないよう、玄関にはスマートロックが欲しいです
一人暮らしの住まいを探しています。玄関をスマホで開錠できるスマートロック、自炊をしたいので2 口コンロのキッチン、ネットの動画配信サービスを契約しているので、無料Wi-Fi の環境も欲しいですね。お風呂はシャワーブースだけでもOK、ベランダには椅子を置いて休日にのんびりできる物件があるといいな。
非対面で受け取れる宅配ボックスは子どもが留守番でも安心です
戸建て賃貸が借りる決め手で、まもなく10 年が経ちます。3口コンロのキッチンは料理がしやすく、追い焚き機能付き風呂は便利。子どもの留守番時に荷物が届いてもいいよう、宅配ボックス・TV モニター付きインターホンは必須です。昨年、給湯器を故障前に交換してもらい安心。更新料が無いのもずっと住み続ける理由です。
ホームステージングで家具や小物で演出して内見者の心を射止める
ポータルサイト上での物件写真の見栄えも空室解消の鍵を握る大事なポイントです。小物や家具を飾りつける「ステージング」で暮らしのイメージを演出した部屋の写真をサイトに掲載すれば、ネットで物件検索をする人の目を惹きつけることができます。反響数が高まり、内見予約につながりやすいのでぜひ上手に活用してください。
インターネットでの部屋探しが主流になった現在、入居希望者はポータルサイトで条件に見合った物件を絞り込み、実際に内見するのは平均2~3件に過ぎません。ポータルサイト上で選ばれ、内見から成約につながる物件づくりが大切です。
そのために実施したいのがホームステージング。空室に家具や照明、小物などを置いて内見者に素敵な暮らしのイメージを与え、「ここに住みたい」と思わせる手法です。イケアやニトリ、ネットショップを利用すれば手頃な価格でおしゃれな家具や小物類が手に入り、低コストで見た目が劇的に変えることができます。
ポイントは単身者かファミリーか、男性か女性かなど、入居者ターゲットを定めてコーディネートすること。ステージングした部屋は写真を撮って募集広告に掲載することもお忘れなく。
プラスチックダンボール製の簡易家具で賃貸住宅の空間演出ができるツール「モデル~ム」。簡単に組み立てられ、繰り返し使用できます。シングルセット38, 940円~(税込み、送料別)。
問い合わせ:TEL.095-893-5037 株式会社ハウジングロビー
仲介会社の協力も大切!大家さん自らアクションを起こそう
大家さんができる空室対策を様々紹介してきましたが、空室を埋めるには仲介会社の協力が必要不可欠です。ポータルサイトへの掲載に力を入れている会社で、募集状況の報告や空室対策に効果的な提案を行ってくれるところを選びましょう。
大家さん側からコンタクトを取って仲介会社と良好な関係を築くことも大切。最終的な空室対策として契約を決めてくれた仲介会社にAD(広告料)の名目でインセンティブを払うことも検討しましょう。
いずれにしても知識を得るだけで終わらず、大家さん自ら行動に移すことが空室解消の鍵を握ります。さっそく実践してみてください。
まとめ
●当たり前の対策ができているかを確認し、まず基本を徹底しよう ●募集条件を緩和して、新たな入居者層を受け入れよう ●人気設備を導入して差別化を図り、物件の競争力を高めよう ●オーナー自ら積極的に行動し、仲介会社と良い関係を築こう |
※この記事内の情報は2023年3月8日時点のものです。
取材・文/藤谷スミカ イラスト/平井 きわ
ライタープロフィール
藤谷スミカ(ふじたに・すみか)
同志社大学文学部英文学科卒。広告制作プロダクション、情報誌出版社を経て、フリーランスのコピーライターとして30余年。ハウスメーカーの実例取材記事、注文住宅、リフォーム、土地活用に関する情報誌の記事、企業PR誌の著名人インタビュー記事、対談記事、企業単行本の執筆等を手がける。
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