空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?

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公開日:2023年3月29日
更新日:2024年3月8日
空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?1

この20年で1.9倍、2030年には470万戸にもなるという全国の「空き家」。この空き家の有効活用等を目的とした「空家等対策特別措置法(空き家法)」の改正案が2023年3月3日に閣議決定されました。また、京都市では、全国初めての「空家税」が創設される見込みです。空き家をめぐる最新の動きをまとめました。

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平成27年から施行。「空家等対策特別措置法」とは?

都市部を中心に地価・住宅価格の高騰や住宅不足が話題になっている反面、住む人のいない空き家が増え続けています。1998年は182万戸だった空き家は、2018年には349万戸となり、2030年には470万戸に上ると見込まれています。

「空き家」と「特定空家」の違い

こうした空き家の有効活用や適切な管理、除去等の促進を目的としてつくられたのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」。空き家の定義や所有者・自治体の責務、対応方法が定められています。これにより、空き家に対して行政が関与できるようになりました。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家の定義を次のように定めています。

「空き家」の定義

「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。

さらに、そのなかでも倒壊の危険やゴミ・虫などによる周辺への悪影響などがあり、対応の緊急性が高いものを「特定空家」と定めました。

特定空家に指定された場合、行政からの助言・指導、勧告、命令、代執行が順を追って行われます。「勧告」を受けると固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、さらに「命令」に応じない場合は罰金が科せられます。

空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?2

「特定空家」の定義

そのまま放置すれば倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等のことを指す。

「改正空家等対策特別措置法」では所有者の責務がより強化

2023年3月3日に閣議決定された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」では、所有者の責務がさらに強化。現行の「適切な管理の努力義務」に、国、自治体の施策に協力する努力義務が加わることになります。

空き家の活用や管理についての規制をさらに強化

空き家の活用拡大として、市区町村に「空家等活用促進区域」および「空家等活用促進指針」を定める権限を付与。それらに沿って接道規制や用途規制を合理化し、用途変更や建て替え等が促進できるようになりました。市区町村長は、区域内の空家等所有者等に対して、指針に沿った活用を要請できます。

さらに、空き家等の管理・活用に取り組むNPOや社団法人などの団体を「空家等管理活用支援法人」に指定できるようになりました。

そのまま放置すれば特定空家になるおそれがあるものについては、「管理不全空家等」として指導・勧告が可能になります。管理不全となっている空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。

空き家の除去についても簡略化&円滑化

空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?2

空き家の取り壊し等についてもスムーズに進むよう、以下の改正が行われました。

まず、市区町村長に特定空家等に対する報告徴収権(=資料の提出等を求める権利)を付与。特定空家等に対して「緊急時の代執行制度」を創設した他、所有者不明時の略式代執行・緊急代執行の費用は、確定判決なして徴収できるようにしました。

施行後5年間で15万物件の管理不全空家と特定空家の管理・除去を目標としています。

正式名称は「非居住住宅利活用促進税」。京都市で「空家税」を導入予定

空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?2

空き家については、このたび総務大臣が同意した京都市の「非居住住宅利活用促進税」も話題になっています。

これは、「空き家や別荘、セカンドハウスなどの居住者のない住宅(非居住住宅)の存在は、京都市に居住を希望する方への住宅の供給を妨げる」として、非居住住宅の所有者に対して課税するものです。

別荘なども対象に含むものの、導入されれば全国で初めて導入される「空家税」となります。条例に基づく法定外税として、固定資産税に加算されます。税率は固定資産評価額の0.7%(家屋価値割の場合)ですが、20万円(条例施行後の当初5年間は100万円)に満たない非居住住宅は対象外となります。

賃貸物件は空室の場合に課税対象となる?

課税されるのは、別荘や別宅なども含む「非居住住宅」(=その所在地に住所を有するものがないもの)。それでは、賃貸物件の場合、空室になってしまうと課税対象となるのでしょうか。

その答えはNo。空室であってもその期間がおおむね1年以内で、貸借人の募集が継続的に行われている場合は「事業の用に供しているもの」として課税免除となります。

また、空き家を相続した場合も、1年以内に賃貸に出す場合は課税免除となります。さらに、貸借人がセカンドハウスとして利用していて「非居住住宅」だったとしても、賃料が発生していて「事業の用に供している」と認められる場合は課税されません。

「非居住住宅利活用促進税」が実際に導入されるのは令和8年度以降。京都市を皮切りに、空き家に対する課税が他の自治体でも検討される可能性は大いにあります。

実家が空き家になったらどうすればいい?

空き家への責務強化や課税などで、空き家の所有者は今後、より早急な対応を迫られることとなります。今は空き家を所有していなくても、この先「実家が空き家になったらどうしよう」と不安を感じている人は多いのではないでしょうか。

この問題について、「終活瓦版」を展開する(株)林商会がアンケート調査を行いました。「実家が空き家になったらどう対処しますか?またはどう対処しましたか?」という質問に対し、以下の回答となっています。

実家が空き家になったらどう対処しますか?またはどう対処しましたか?
売却する 50%
自分や親族が住む 28%
賃貸に出す 9%
そのままにする 7%
更地にする 6%

 

空き家をめぐる最新動向を解説。「改正空家等対策特別措置法」「空家税」とは?2

「売却する」人が最も多く、半分を占めています。「固定資産税の負担」「誰も住む人がいない」「価値があるうちにお金に換えたい」という理由が挙がっていました。

実家への愛着の以外にも、「家賃を払わなくてよい」「住むのに便利」なため「自分や親族が住む」を選んだ人3割弱。その他には、「少しでも継続的な収入を得たい」「賃貸に出しても借り手が見つかりそう」などの理由で「賃貸に出す」人が1割弱います。

相続した空き家に関しては、一定の要件を満たせば譲渡所得の3,000万円特別控除が適用されます(2027年12月31日までに売却する場合)。

今後も様々な施策によって空き家が賃貸転用されたり、アパートやマンションに建て替えられたりといった動きは加速していくと思われます。大家さんも、空き家問題の動向は把握しておくようにしましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年9月11日時点のものです。

文/丸石 綾野

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