コロナの5類感染症移行で人の流れは元に戻る?意識変化調査や東京圏の人口・転入出動向から分析
- 市況・マーケット
2023年5月8日から新型コロナウイルスの感染症分類がインフルエンザやはしかと同等の5類に引き下げられました。緊急事態宣言下では、外出・出社自粛や社会経済に対する不安などが人々の住まい選びにも影響し、一時は郊外化、東京からの人口流出などが話題となりました。これらはコロナ前の水準に戻ったのでしょうか。
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「コロナの収束には数年かかる」「コロナで社会は大きく変わる」は最小値へ
新型コロナウイルスによる住まいへの意識変化やテレワーク実施状況等については、大東建託(株)が定期的に意識調査を行っています。2020年6月に始まったこの調査も、今回で8回目となります。
「コロナの収束には数年かかる」という回答は、2020年6月の緊急事態宣言発出直後は85.3%でしたが、その後2020年12月の87.9%をピークに84.1%(2021年3月)→86.2%(2021年9月)→81.0%(2022年3月)→80.6%(2022年9月)と推移し、今回は70.0%へと大幅に下がりました。
「コロナで社会は大きく変わる」という回答も、78.1%(2020年6月)から、今回は58.8%と大きく低下しています。
しかし、どちらも過半数を超えており、特に「コロナの収束には数年かかる」という回答は約7割と高い水準を維持しているといえます。
「不動産価格は下がる」「家賃は下がる」はそれぞれ大きく低下
「不動産価格は下がる」という回答は2020年6月から2023年3月で69.5%→36.1%へ、「家賃は下がる」という55.2%→23.0%へと大きく低下しました。
国交省が発表している不動産価格指数は2023年4月発表のもので住宅総合は134.3(住宅地109.8、戸建住宅117.6、マンション189.4)と高い水準。不動産価格指数は2010年の平均値を100として示されるため、ここ13年で34%、マンションにいたっては89%も価格が上がったことになります。
2010年は3,000万円だったマンションが2023年は5,682万円となっているのですから、住宅購入を諦めて賃貸物件に住む人が増え、賃貸需要の増加に物価上昇も手伝い家賃も上がっていくことになります。
実際に2023年3月のアットホーム(株)による募集家賃動向では、東京都下・神奈川県・埼玉県など7エリアのカップル向き、ファミリー向きマンションで2015年1月以降最高値を更新。カップル向き、ファミリー向きアパートも東京23区・神奈川県など4エリアで最高値を更新しました。
実際に不動産価格が高騰し、それに伴い家賃も上がっているため、このあたりの実感値が回答に反映したものと思われます。
郊外・地方VS都心・都会はそれぞれ上昇するも拮抗
「コロナをきっかけに郊外への引っ越しを検討している」は2020年6月から2023年3月で5.4%→11.2%へ、「コロナをきっかけに都心への引っ越しを検討している」は5.3%→9.8%とそれぞれゆるやかに上昇していますが、調査期間にわたって同様のラインを描いています。
「コロナをきっかけに地方への引っ越しを検討している」は2020年6月から2023年3月で6.5%→11.6%、「コロナをきっかけに都会への引っ越しを検討している」は2020年9月6.7%→今回9.7%とこちらも拮抗しています。
この2つの差が最も開いたのが2020年12月で、地方10.0%、都会6.9%でしたが、それ以降は差が縮まりつつあります。
いずれも緩やかに上昇傾向にあることから、引越しも含めた人の動きが活発化しつつあることが分かります。
東京都の2022年は3万人以上の転入超過
それでは、実際の人の動きはどのようになっているのでしょうか。これについては投資用不動産を扱う(株) グローバル・リンク・マネジメントが東京圏を中心にした調査レポートを発表しています。
東京都の総人口は、2023年1月1日現在、前年同月から4万6,732人増え1,403万4,861人となり、2年ぶりに1,400万人台を回復しました。
しかし、この2022年の年間増加数を日本人・外国人別に見ると、日本人は1万6,499人減、外国人は6万3,231人増と、日本人は減少している一方で、外国人が大幅に増加しています。
日本人については、出生者数の低下と死亡者数拡大による自然増減数(出生者数-死亡者数)でマイナス幅が拡大しているものの、社会増減数(転入者数等-転出者数等)ではコロナ禍前の3分の1水準までは回復しています。
東京都の国内他道府県との転入・転出状況については、東京都は3万8,023人の転入超過。2021年の約7倍で、コロナ禍前の5割程度まで回復しました。
年齢層別では、進学や就職などの理由による15~19歳、20~24歳、25~29歳の3つの年齢層が転入超過に寄与しており、コロナ禍前とほぼ同水準まで回復。しかし、30~40歳代の青壮年層、50~64歳の熟年層の転出超過数はまだまだ続いている状況にあります。男女別では女性の転入超過が多く、男性の約1.6倍となっています。
東京圏では都心から30~40km圏周辺に転入超過の多い市が増加
場所別で見てみると、東京23区では新宿区、豊島区、江東区を中心に外国人が増えた他、日本人については、家賃が相対的に安い江東区、墨田区、台東区、足立区、葛飾区などの城東・城北エリアに人口が流入。その一方で、江戸川区、世田谷区といった周辺区では近郊への人口流出が続いています。
東京圏(1都3県)の転入・転出状況は、2022年は転入者数9万9,519人の転入超過となりました。東京23区以外で人口増加となったのは、神奈川県で横浜市、藤沢市、相模原市、大和市、茅ケ崎市、海老名市、平塚市、埼玉県でさいたま市、上尾市、川越市、所沢市、千葉県で流山市、柏市、船橋市、印西市、八千代市、都下では八王子市、町田市など。
これは、コロナ禍の影響に加えて、東京23区のマンション価格高騰により、都心から30~40km圏周辺の郊外に家を求める人が増えたためと考えられます。
まとめ
2022年の東京の人口増は外国人の増加に支えられたものでしたが、東京都への転入超過数はコロナ禍前の5割程度まで、若年層ではほぼ同水準まで回復していることが分かりました。
グローバル・リンク・マネジメントによる調査では、コロナ禍を脱し、社会経済活動が安定化するとみられる2023年は、東京への人口集中がゆるやかに再加速していくのでは、とまとめています。
※この記事内の情報は2023年5月10日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
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