アパート経営にかかる初期費用と維持費用はいくら?自己資金の目安を解説

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公開日:2023年5月23日
更新日:2024年3月8日
アパート経営にかかる初期費用と維持費用はいくら?自己資金の目安を解説1

景気に影響されにくく、一定の安定収入を見込める事業として、アパート経営が注目されています。アパート経営とは、所有するアパートの部屋を賃貸し、入居者から家賃収入を得る不動産投資のひとつ。資格や経験も不要で、管理や運営を管理会社に一任することも可能です。それらにはどれくらいコストがかかるのでしょうか。諸費用や税金のことなども含めて、賃貸経営の費用について解説します。

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アパート経営に必要な初期費用はいくら?

一からアパート経営を始めるためには、建築費以外にも様々な費用がかかります。最初からアパート経営の予算に組み込んでおくべき初期費用はどのようなものがあるのか見ていきましょう。

建築費・購入費

アパート経営にかかる初期費用と維持費用はいくら?自己資金の目安を解説2
建築費

もともと土地を所有しており、土地活用としてアパートを建てる場合も、建築費がかります。坪単価は構造によって変わり、2~3階建ての木造アパートを建てた場合は60~100万円/坪程度、2~4階建ての鉄骨造アパートの場合は70~120万円/坪程度となります。複数の建築会社から相見積もりをとって建築費用を比較検討しましょう。

設計料

建築費の他に、坪単価に応じて設計料がかかります。そのエリアでニーズの高いアパートの間取りや他の物件と差別化できるデザインにこだわる場合や、建築会社から外部の設計事務所に依頼する場合は高額になることも。建築費の3%~20%とかなり幅があります。

各種税金

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不動産取得税

不動産取得税は、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した人に対して自治体から課される税金です。税率は4%ですが、2024年3月31日までの引き渡し分までは3%に軽減されています。

取得した不動産の価格(標準課税額=固定資産税評価額)に税率をかけた分を納税しますが、標準課税額はアパート建築費の50~60%で、さらに賃貸アパートの場合、一戸当たり40~240㎡であれば1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)が控除される軽減措置があります。

上記の軽減措置が適用された場合、例えば建築費5,000万円で標準課税率60%だと(5,000万円×60%-1,200万円)×3%=54万円となります。

登録免許税

登録免許税は、所有権や抵当権などの権利を法務局に登記するために国に支払う税金です。新築した建物を自分の持ち物であると登記する「所有権保存登記」、ローンを組んだ場合は金融機関が担保に取るための「抵当権設定登記」が必要になります。税率は、所有権保存登記が「固定資産税評価額×0.4%」、抵当権設定登記が「借入金額×0.4%」です。

印紙税

印紙税法で定められた一定の契約書を作成する際に、取引金額に応じて国に支払う税です。不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書・土地賃貸借契約書・ローン借入れのための金銭消費貸借契約書等が、印紙税法で定められた契約書にあたります。税額は取引額に応じて異なり、2023年4月時点では以下のリンク先にまとまっている通りとなります。

2022年に不動産取引における電子契約が認められたため、電子契約で取引を行う場合、印紙税は不要となります。ただし、電子契約に対応していない不動産会社も多いため確認が必要です。

諸経費

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登記費用

前項の登録免許税に加えて、手続きを司法書士に依頼する場合は司法書士報酬がかかります。司法書士報酬は依頼する司法書士により異なりますが、5万円~15万円程度であることが多いようです。そのため、5,000万円のアパートを建築した場合、登記費用として30~50万円程度をみておくと良いでしょう。

各種保険料(火災保険・地震保険)

火災保険は保険の種類や保険会社、アパートの規模や構造によって金額は異なりますが、落雷・ひょう・雪・消防活動による水漏れや破壊・盗難などの損害にも適用されます。

保険料は契約期間が長いほど安く、最長5年契約となりますが、その場合5年分の保険料を一括で支払う必要があります。保険料は建物の構造によって変わり、非耐火の建物は保険料が割高になります。目安は1年間あたり20〜50万円程度です。アパートローンを組んだ場合は、火災保険の加入が義務化されている場合があります。

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火災保険では地震による火災や延焼の被害が補償されていないため、地震や津波などに備えるためには、地震保険への加入も必要です。任意加入ではありますが、地震の多い日本では、加入しておくのがおすすめです。なお、こちらは単独では加入できず、火災保険とセットで契約するかたちになります。

外注費

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税理士・弁護士への報酬

税法や不動産関連法がめまぐるしく改正されているなか、税理士、弁護士にコンサルティングを依頼するのは事業として非常に有効です。依頼内容としてはキャッシュフロー計画書や確定申告書の作成、節税対策などで、報酬は確定申告書作成で10万円前後が一般的です。

さらに事業規模が大きくなると、税理士と顧問契約を結ぶこともあります。毎月の顧問報酬は一般的に2~3万程度ですが、規模が大きくなるほど顧問報酬は高くなります。

管理会社への手数料

賃貸管理には大きく分けて、入居手続きや集金、契約関連を行う「入居者管理」と、物件のメンテナンスなどの「建物管理」の2種類があります。

これらを賃貸オーナー自らが行う「自主管理」もありますが、管理会社に委託することもできます。この場合は管理会社に支払う管理委託手数料がかかり、多くは家賃収入の5%程度を支払います。

仲介会社への手数料

部屋探しをしている人と大家さんとの間に立って、入居者を募集したり、部屋の賃貸借契約を行ったりするのが仲介会社です。仲介会社への手数料は契約が成立した場合に発生し、上限が定められています。賃貸の場合は借主・貸主双方からの合計の上限は「家賃の1カ月分+消費税」となっています。

アパート経営に必要な維持費用はいくら?

維持管理費

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維持管理費は管理方式によって大きく異なります。委託手数料の相場は、サブリースで家賃収入の15~20%、全面委託管理で5%前後が相場となります。前項の通り、自主管理は委託費用がかかりません。

修繕費

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安定的に収益を得るためには、いかに建物を長持ちさせるかが大切です。修繕費はそのために欠かせません。新築当時はほとんど必要ありませんが、築5年を過ぎたころから、設備の故障や建物の傷みが少しずつ出てきます。

不具合を放置していると空室が埋まりにくくなったり、傷みが進んで後からかえってコストがかかったりするおそれもあります。そのため、新築時から計画的に修繕費用を積み立てておくことが必要です。

実際にいくら修繕費が必要なのかについては、国土交通省が計画修繕の手順や実施イメージを解説したガイドブックを出しています。参考にしてみてください。

リフォーム費

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リフォーム費は、入居者の退去にともなう原状回復工事と、空室対策として和室をフローリングにするなどのリフォーム工事にかかる費用のことです。リフォーム費用は会社によって幅があり、自身でDIYを行う賃貸オーナーも。

さらに、温暖化対策に有効なエコリフォームは、国や自治体から助成金がでる場合もあります。賃貸経営において、物件の差別化とコスト削減に深くつながる部分ですので、管理会社任せにせず、自身でも情報収集してみましょう。

原状回復費について、賃貸オーナーと入居者のどちらが費用を負担するべきなのかは、国交省のガイドラインで確認することができます。一読しておくとよいでしょう。

損害保険料

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賃貸経営において火災保険と地震保険への加入は、もはや必須といっても過言ではありません。諸経費の項でも紹介しましたが、最長5年契約の保険料を一括で支払う場合は初期経費、1年ごとに保険料を支払う場合はランニングコストとなります。

まとめて一括で支払う方が、保険料は安くなります。1年ごとに支払う場合は、更新のタイミングで補償内容や保険料の見直しが行えるのがメリットです。

仲介手数料

空室が出た場合などに、新たに入居者を募集するときに仲介手数料がかかります。原状回復工事もそうですが、入居者の入れ替わり時に費用がかかることが多いため、長く入居してもらうことが安定経営のカギになります。

各種税金

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不動産を所有していると、毎年かかってくる税金が固定資産税と都市計画税です。税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%(自治体によって異なることも)。税率は、固定資産税評価額にこの税率を掛け合わせて税額を算出します。

評価額にこの税率を掛け合わせて税額を出すのですが、1戸当たり200㎡以下の小規模住宅用地の場合、つまり、賃貸アパートを建てた場合は固定資産税が1/6,都市計画税が1/3になります。

さらに、家賃収入を得た分の所得税と住民税がかかります。所得税の確定申告では、青色申告の方が控除額は高くなります。アパート経営が自治体から「不動産貸付業」に認定された場合は事業税もかかり、不動産貸付業の税率は5%です。ただし、事業主控除として290万円控除され、年間の事業所得が290万円以下の場合は非課税となります。

ちなみに、所得が高い場合は法人化することで個人所得税よりも法人税の方が節税になる場合もあります。相続対策や融資などの資金調達もしやすくなるため、事業規模が大きくなったら法人化も検討してみましょう。

ローン返済

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アパートローンを組んだ場合は毎月のローン返済額がかかります。毎月の家賃収入を返済に充てることになりますが、「ローン返済額÷家賃収入×100」を「返済利率」といいます。返済利率は空室リスクなども考えて、50%以下に設定するのが無難です。

その他経費

その他、共用部分の電気代や水道代などの光熱費が毎月発生します。

アパート経営に必要な自己資金の目安

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アパート経営を始めるには、どれくらいの資金を最初に準備する必要があるのでしょうか?一般的には、「物件価格の1〜3割程度」が目安とされています。

自己資金はいくら必要?

「物件価格の1〜3割程度」ですから、建築費5,000万円のアパートを建てる場合、自己資金は500~1,500万円程度ということになります。これらは、最初に触れた初期費用に加え、ローンの頭金となる資金です。

もちろん、頭金なしでローンを組むこともできますが、10~20%の頭金を用意しておくことで、審査に通りやすくなります。また、頭金が高いほど、毎月の返済負担が減り、今後の金利変動のリスクも回避しやすくなります。

足りない分の資金はアパートローンを活用

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アパート・マンション建築用の融資を一般に「アパートローン」と呼びます。アパートローンには、不動産会社が金融機関と提携し独自に提供している「提携ローン」と、金融機関が独自に融資する「プロパーローン」があります。

「提携ローン」の方が金利や審査のハードルが低く、不動産会社が手続きを仲介することが多いため、スムーズに進めやすいといわれています。

アパートローンの種類

固定金利型(完全固定型)

固定金利型のローンは、契約した時点の金利のまま、完済時まで同じ利率で利息を払う方法です。

メリットは、ローンを完済するまでどれくらい利息がかかるのかを把握しやすく、返済計画が練りやすい点。デメリットは、変動金利よりも金利が高い傾向があること、固定期間中は金利の見直しができないこと、返済途中の一括繰上げ返済にペナルティが課せられる場合があることなどが挙げられます。

変動金利型

変動金利型は、ローンの融資を受けた後、一定期間ごとに金利の利率が見直される方法です。通常は固定金利よりも低い利率で、現状は低金利が継続しているため、総返済額を抑えやすくなっています。ただし、今後金利が上昇した場合は返済額が増加し、収支を圧迫するおそれがあるので注意が必要です。

固定金利期間選択型

固定金利期間選択型は、2~10年程度の一定の期間、固定金利が適用される方法です。固定金利期間が終了すると変動型、固定型が選べるもの、変動型のみのものなど、金融機関ごとに様々なタイプがあります。

デメリットとしては、固定期間終了後の適用金利が上昇する可能性や、固定期間中の繰り上げ返済にペナルティが課せられている場合があることです。

アパートローンのリスク

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アパートローンを利用するうえでのリスクとして、返済金利の上昇や、空室発生により返済不能に陥る可能性などが考えられます。最悪の場合、ローンが返済不能の状態に陥ると、任意売却や競売などの検討が必要になります。物件の売却ができたとしても、返済だけが残るケースもあり得ます。

毎月の返済額と金利が経営を圧迫しないよう、妥当な空室率も加味してキャッシュフローを組むようにしましょう。

借入金との比率

自己資金の比率

前述した通り、自己資金とローンの比率は、「物件価格の1〜3割程度」が目安とされています。建築費5,000万円のアパートを建てる場合、500~1,500万円程度が自己資金で、3,500~4,500万円を借り入れるイメージです。

おすすめの借入金

アパートローンを利用できる金融機関には「都市銀行」、「地方銀行」、「信用金庫」、「日本政策金融公庫」、「住宅金融支援機構」、「ノンバンク」などがあります。

都市銀行は金利が低く、返済負担を減らせることがメリットですが、審査基準は厳しくなっています。地方銀行やノンバンクは金利が高めですが、審査は比較的通りやすいのが特徴です。

信用金庫は地域密着型で、金利は低めですが融資を受けられるエリアは限定されます。日本政策金融公庫や住宅金融支援機構といった政府系の金融機関は、比較的審査に通りやすく、固定金利で金利も低めとなっています。

アパート経営にかかる初期費用と維持費用はいくら?自己資金の目安を解説2

賃貸経営で最も大切なことは、長期にわたって収支がきちんと合うこと。目先の低金利で判断せず、5年後、10年後の金利上昇リスクに注意することが大切です。

そのため、賃貸経営をこれから始める人は、リスク回避という点では、政府系金融機関の長期固定金利のアパートローンを中心に検討してみるのが良いでしょう。もちろん、相続対策などの目的や自己資金にどの程度余裕があるかなどの状況によっても変わるため、いくつか金融機関をあたってみるのがおすすめです。

ローンを低金利で借りる方法

アパートローンには固定金利型と変動金利型、固定金利期間選択型があり、金利が安いのは変動金利型となっています。民間金融機関で適用される金利種別は変動金利型か短期固定型が中心ですが、実は金利水準については、個別審査となっており明らかにはしていません。

オーナーに金融資産があり自己資金を多めに入れられること、共同担保になる不動産を別に所有していること、連帯保証人・連帯債務者となる親族に資産があることなどが金利水準に考慮されるといわれています。すでに賃貸経営の実績がある場合は、返済実績なども加味されます。

施工会社がハウスメーカーや有力なアパート・ビルダーなどの場合は提携ローンや、サブリースで金利が優遇されることもあるようです。

ローンの審査内容は金融機関によってかなり違うため、複数の金融機関で具体的に条件交渉をして比較してみましょう。

アパートローンの相談先

アパート経営にかかる初期費用と維持費用はいくら?自己資金の目安を解説2

ローンはもちろん、資金計画やライフプラン全般に関する相談先としてファイナンシャルプランナー(FP)があります。金融機関に所属している以外に個人で独立しているFPもいるため、じっくり相談したい人にはおすすめです。特に、住宅ローン専門の独立系FPは心強い味方になってくれるはずです。

まとめ

副業として区分所有からでも挑戦できる賃貸経営ですが、アパートを建築して経営するとなると、事業としての規模も大きく、様々な費用がかかります。また、税金やローンなど知っておくべき情報も多く、不動産会社をはじめ建築会社や管理会社、金融機関に税理士など、各方面との連携も必要になってきます。

不動産経営に関しては、ファイナンシャルプランナーや税理士、不動産経営者によるセミナーなどが都市部を中心に随時開かれています。オーナーズ・スタイルでも、各企業の相談ブースやセミナーを終結した「大家さんフェスタ」や各種セミナーを定期的に開催していますので、情報収集の場所として、ぜひご活用ください。

※この記事内の情報は2023年5月23日時点のものです。

取材・文/丸石 綾野

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