土地価格や家賃の今後の見通しは?全宅連調査から読み取る不動産業界の景況感

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公開日:2023年6月20日
更新日:2024年3月8日
土地価格や家賃の今後の見通しは?全宅連調査から読み取る不動産業界の景況感1

(公財)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の研究機関である不動産総合研究所が、3カ月ごとの不動産価格や取引動向を調査・分析する「不動産市況DI調査」。その2023年4月調査分が発表されました。コロナ5類移行直前のタイミングでの不動産取引について、不動産業界ではどのような見通しが立てられているのでしょうか。空き家対応に関する調査と合わせてご紹介します。

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「DI指数」とは?土地価格は2021年4月からプラスが継続

調査の対象は、全宅連のモニターである全国の不動産関連業者で、その業務内容は売買から賃貸、賃貸管理や分譲、建設、コンサルティングなど。現在の価格動向についてどのように感じるかをもとにディフュージョン・インデックス(Diffusion Index=DI)指数を出しています。指数の作成方法は次の通り。

DI={(大きく上昇している×2+やや上昇している)-(やや下落している+大きく下落している×2)}÷2

つまり、DI指数が大きいほど景気の拡大が大きいということになります。

2023年4月1日時点の土地価格を3カ月前(2023年1月1日)と比較した全国のDI指数は+9.1P(前回調査から+3.5P)。2021年1月までは6期連続でマイナスでしたが、2021年4月にプラスに転じてからは、9期連続でプラスが継続しています。

他に、中古マンション価格は+9.2P(同+0.8P)、中古戸建価格は+4.6P(同-2.3P)、新築戸建価格は+17.4P(同-2.7P)となりました。

気になる賃料動向&空室率の見通しはどうなる?

土地価格や家賃の今後の見通しは?全宅連調査から読み取る不動産業界の景況感2
賃料動向

居住用賃貸物件はどのようになっているのでしょうか。現在(2023年4月1日)と3カ月前(2023年1月1日)を比較した賃料について聞いたところ、全国で「やや上昇している」が13.1%、「横ばいである」が74.4%、「やや下落している」が11.9%。

地域別では、上昇の割合が大きいのが関東(23.1%)と九州・沖縄(19.0%)。対して下落の割合は北海道・東北・甲信越(26.9%)と中国・四国(40.0%)が大きくなっています。

成約件数

3カ月前と比較した成約件数については、全国で「大きく増加」「やや増加」を合わせて20.4%、「横ばい」58.1%、「やや減少」「大きく減少」を合わせて21.6%でした。

地域別では、増加が20%を超えているのが北海道・東北・甲信越、関東、九州・沖縄。減少が目立つのが中国・四国で、「やや減少」「大きく減少」を合わせて7割を超えています。

空室率

3カ月前と比較した空室率は全国で「大きく改善」「やや改善」を合わせて20.4%、横ばいが53.3%、「やや悪化」「大きく悪化」が26.4%。3カ月後予測では、悪化が31.5%とやや多くなります。

地域別では関東と九州・沖縄の改善割合が20%を超えているのに対し、中国・四国が「やや悪化」「大きく悪化」合わせて7割超と、成約件数と同様の傾向が見られました。

居住用賃貸の全国DIはマイナス傾向

前述のDI指数で表すと、全国の居住用賃貸は賃料0P、成約件数-0.3P、空室率-3.9Pでした。成約件数、空室率は2016年4月からマイナスが続いており、厳しい見通しを立てている不動産業者が多いことが分かります。

フリーコメントでは金利上昇や物価高騰を懸念する声も

最近の不動産市場で特徴的なことについて聞いたところ、次のようなコメントが挙がっていました。抜粋してご紹介します。

最近の不動産市場で特徴的な事、または補⾜等について(一部修正・抜粋)
土地価格や家賃の今後の見通しは?全宅連調査から読み取る不動産業界の景況感2
・中古マンション物件の流通在庫が⼤幅に増えている。転売⽬的の買取り業者が持ちきれない在庫状態になっている。(北海道)
・⼈⼝減少の影響が出てきている。(宮城)
・価格⾃体の上昇傾向は継続中と思われます。ただ、駅に近い物件は、上昇し続け、駅から遠い物件は伸び率が鈍化、もしくは下落に転じる方へ触れ始めていると感じます。(東京)
・融資に関する審査が厳しくなり、決済までに時間がかかることが多い。(富山)
・急激な物価の⾼騰で⼀般個⼈の問合せが極端に減少している。かつ、収⼊が増えた実感がないので買い控えが⽣じていると思う。(岡山)
・+⾦融政策の動向による売買契約の変化を⼼配している。住宅ローンの⾦利が上昇すると売れ⾏きが落ち込む事が危惧される。(福岡)
・空き家への買取り業者の参⼊が増加中。「⼀般に売却するほうが売り主にリスクがあり⼤変です」のような⽂⾔で買取りへの誘導をしているチラシを数社⾒かけた。家⼟地を求めている消費者が多数いる状況を知らないまま業者への安い売却買取りを選択している。(佐賀)
・売買も賃貸も地域格差が顕著に出始めている。地域によっては新築マンションでも売れ残りが出始めている。中古物件は⼿ごろ間の物件が少なくなっているので成約件数が落ちてきているが購⼊意欲は高い。(熊本)

 

空き家相談は所在地県外が4割。今後増えていくと予想

土地価格や家賃の今後の見通しは?全宅連調査から読み取る不動産業界の景況感2

同調査では、空き家・空き地に関する問い合わせやその対応についても調べています。「居住または利用していない空き家・空き地に関して相談を受けますか」という質問については20.7%が「よく受ける(年間10件以上)」、65.8%が「たまに受ける(年間10件未満)」と回答。

相談の内容は92.2%が空き家の売却についてとなっており、続いて51.5%が空き家の賃貸に関するもの。相続についての相談や、どうしたらよいか、何から手をつけて良いか分からない等の質問も多いようです。

「相談の該当物件が貴社の所在地県外の場合はありますか」という質問に対しては40.1%が「ある」と回答。対応については、県外であっても86.6%がいったんは概要を聞いているようです。その後、自社での対応や他社への取次となりますが、「今後このような相談は増えていくであろうと感じます」というコメントも。

空き家については他に、空き家相談の連絡先リストや全宅連での県単位での窓口設置、処分しやすくする法整備などを求めるコメントが挙がっていました。

まとめ

景気に対する見通しは全国的に拡大傾向であるものの地方差が大きく、居住用賃貸についてはやや厳しい見通しを立てている不動産関連業者が多いことが分かりました。また、金利上昇や物価高を懸念する声も多く挙がっています。

こういった調査は、日々の賃貸経営に直接関わるものではありませんが、今後の経営方針を決める際に、不動産業界全体の相場観をつかむために有効です。3カ月ごとに発表されていますので、気が付いたときにチェックしてみてはいかがでしょうか。

※この記事内の情報は2023年6月20日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

出典元の調査データを詳しく見る

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