サブリース(一括借り上げ)のメリットとデメリット|仕組みとリスクを解説

サブリース(一括借り上げ)は「長期家賃保証」などの魅力的な謳い文句がつく一方で、契約後の家賃見直しが折り合わず解約となることもあり、実態がわからないという声が多いです。正しく理解してメリットを享受するために、基本的な仕組みとメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

サブリース(一括借り上げ)の仕組み|途中解約や会社が破綻したらどうなる?

サブリース(一括借り上げ)とは「転貸」のことです。サブリース事業を行う会社が、転貸を行うことを目的に賃貸住宅オーナーから一棟丸ごと借り上げる契約と、サブリース会社から入居者へ転貸する契約がセットになったシステムのことを指します。

家賃保証が謳われる場合も多いですが、法的には「保証契約」ではなく、借地借家法が適用される「賃貸借契約」となります。

サブリース(一括借り上げ)のメリットとデメリット|仕組みとリスクを解説2

サブリース契約の仕組み

オーナーが得る賃料収入は、サブリース会社が家賃総額から管理経費や利益を引いた後の「借り上げ家賃」です。サブリース会社がオーナーに支払う借り上げ賃料(サブリース賃料)は、入居者から受領する賃料の80〜90%が相場と言われています。満室賃料から10~15%が手数料として引かれて支払われますが、オーナーは空室があっても毎月サブリース賃料を受け取ることができます。

なお、サブリース会社には、住宅メーカーのグループや提携企業と、独立系の管理会社が行う2種類があります。

サブリース(一括借り上げ)のメリット、デメリット・注意点

サブリース(一括借り上げ)の最大のメリットは、サブリース会社が一棟丸ごとの借り上げ家賃を長期契約で払うため、空室や滞納による「収入の空白」がないこと。さらに、賃貸経営の実務をプロに任せられることも大きく、入居者とオーナーの間では直接の責任問題は発生しません。

サブリース(一括借り上げ)のメリットとデメリット|仕組みとリスクを解説2

 

デメリットは、保証契約ではなく賃貸借契約のため、「30年一括借り上げ・長期保証」と言っても、契約中の借り上げ家賃の減額や中途解約の可能性があることです。

最悪の場合、サブリース会社の破たんもあり得ます。

また、家賃収入の水準は一般管理(管理料の相場は賃料の5%)よりサブリースの方が低いことや、礼金や更新料などの一時金が入らないこともデメリットと言えます。

後々後悔しないために、このようなメリットとデメリットを詳細に比較検討し、自身の賃貸経営に本当に合うシステムかを見極めてから契約することが大切です。

サブリースのメリット

●安定した収入を得られる
家賃滞納や空室の有無に関係なく一定の賃料を確保でき、収入の波がないため賃貸経営が安定する。

●融資を借りやすく返しやすい
事業収支が安定するため金融機関から建築費用等の融資を受けやすく、ローン返済もしやすい。

●管理業務をプロに任せられる
入居者管理(募集~苦情対応)、建物管理(点検・清掃)の手間が不要。確定申告手続きも簡素化。

●トラブルの当事者にならない
入居者トラブルや訴訟になっても、入居者と賃貸借契約を結ぶサブリース会社が対応し費用負担もない。

サブリースのデメリット・注意点

●賃料が下がる可能性がある
契約中でもサブリース会社から家賃減額の請求を受け、当初設定より賃料水準が下がるケースが多い

●修繕費等の出費がある
管理の手間はないが、原状回復リフォームや建物・設備の修繕にかかる費用はオーナー負担が多い。

●受け取れない金銭もある
礼金や更新料等はサブリース会社に入る。初期募集期間や退去時の賃料が免除される「免責期間」も。

●中途解約や破たんのリスク
サブリース会社から一方的に契約を打ち切られたり、会社が倒産してしまう可能性がある。

文/木村 元紀

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