賃貸管理会社の実力を判断するポイントとは?

実力のある管理会社に依頼していれば、オーナーはほとんど手間いらずです。しかし、よく吟味せずに管理会社に任せきりにした結果、空室が埋まらない上に、建物も荒廃してしまう例があります。賃貸経営をサポートしてくれる、信頼できる管理会社の選び方を紹介します。

管理会社の差は「入居者募集ノウハウ」と「空室対策の提案力」

賃貸管理会社の実力を判断するポイントとは?2

賃貸経営は、管理次第で収益性が大きく変わる時代を迎えています。

空室に悩むなら、まずは管理会社の業務内容を見直し、その結果によっては新たな管理会社へ替えることも選択肢に入れましょう。管理会社の実力の差が顕著に表れるのは、部屋を埋める力、つまり入居者募集のノウハウと、空室対策の提案力です。

管理会社の差が出るポイント|入居者募集のノウハウ

入居者募集については、インターネットの活用に積極的かどうかがポイントだと言われます。ただし、レインズに載せて業者間流通を促すのは積極的にやるべきですが、エンドユーザー向けの大手ポータルサイトに物件を掲載するのは注意が必要です。

というのも、客付け仲介会社は、元付の管理会社が自身で物件のプロモーションを行うことを嫌がる傾向があるからです。仲介会社はポータルサイトの掲載枠を買い、コストをかけて広告を出しています。

管理会社が情報をオープンにするなら競合するので、自社では載せないという判断になります。その結果、せっかくの仲介会社の意欲を削ぎ、情報の認知度が下がりかねません。

そこで、空室が出た時にオーナー自身で主要ポータルサイトを確認することが重要です。

客付け仲介会社の広告がほとんど掲載されていないなら、管理会社に出してもらう。複数の仲介会社が出しているなら管理会社としては掲載しない、のように使い分けます。管理会社側がこうした仲介会社との連携ノウハウを持ち、自身でコントロールできるのがベストです。

管理会社の差が出るポイント|空室対策の提案力

管理会社の実力の差が出るもう一つの要素が、空室対策の提案力です。

空室対策の提案力とは、家賃値下げやリノベーションをする以前に何ができるかというアイデアや、戦略を持っているかどうか。収入減、コスト増を招かない対策ということです。

もちろん、むやみに出費をケチることは得策ではありません。費用対効果の高い対策なら、コストはかけるべきです。ただ、その前にやるべきことがあるはずです。

例えば、必要な修繕の際に、ちょっとしたデザインの工夫で見栄えを良くするなど、コストを抑えてバリューアップすることは可能です。入居者のクレーム対応や建物管理の質を上げて、入居者満足度を高めて退去防止を図ることもその一つです。

こうした引き出しがどれだけあるかが重要なので、過去にどんな空室対策を行ったかを尋ねてみましょう。

「賃貸住宅管理業者登録制度」への登録有無は要チェック

加えて、財務状態などの経営の健全度も、管理会社を判断する上での重要なポイントです。会社を訪問し、店舗の雰囲気や従業員の接客態度、トップの経営理念などを確認してみましょう。

ただ、表面からはわからない点もあります。信頼度の一つの目安となるのは、国土交通省の「賃貸住宅管理業者登録制度」に登録していることです。

家賃などの分別管理、業務実績の報告義務などがあるため、適正な対応をしているかがわかります。従業員が「賃貸不動産経営管理士」の資格を取得するなど、業務スキルの向上に努めているかも判断材料になるでしょう。

文/木村 元紀