自主管理で楽しみながら入居率を上げる
「自主管理は大変そう。委託管理のほうが楽」というイメージがありますが、自主管理を楽しんで実践しているオーナーもいます。これからは「仕方なく自主管理」ではなく「積極的な自主管理」を採り入れる時代です。
賃貸管理には、オーナーが実践する「自主管理」と管理会社に依頼する「(全面)委託管理」、その中間形態として「一部委託」があります。それぞれどのくらいの割合なのでしょうか。少し前の調査ですが、国交省によるデータがあります(図1参照)。
全体の3分の2(約65%)が「全て委託管理」で、「全て自己管理(自主管理)」は1割に達しません。
ただ、実際には自主管理を自任しているオーナーでも、集客まで自分で行うケースは少なく、仲介会社の客付けや賃貸借契約までを依頼するのが一般的。つまり図1の「募集から契約まで委託し、それ以外は自己管理」(約11%)をしているケースが増えています。これを含めると約2割が自主管理といえるでしょう。
管理対象の規模が大きくなると、「自主管理は難しくなり委託管理が望ましい」といった指摘もありますが、100戸以上所有しながら自主管理を実践しているオーナーもいます。今後は賃貸経営の環境が厳しくなり、競合も激しくなるため、少しでもキャッシュフロー(現金の手残り)を増やすには自主管理が望ましいと指摘するオーナーも少なくありません。今後は、こうした積極派が増えて来るのではないでしょうか。
自主管理には、管理コストの低減だけでなく、次のような副次的なメリットも発生します。
- 清掃や建物点検を自ら手掛けることで、建物の状態を細かく把握でき、大きな不具合や故障が発生する前に早めに対処できる。
- オーナーが頻繁に現地を訪れれば、自然と入居者と直に接する機会が増え、コミュニケーションが生まれる。入居者の困りごとや気持ちの変化をいち早くキャッチできるので、クレームやトラブルの未然防止、退去予防につながる。
- その結果、建物管理の状態が改善し、入居者満足度も高まり、長期安定経営につながる。
初めはコストダウンのために自主管理を行っていたものの、入居者とのコミュニケーションが次第に楽しくなったというオーナーも多いようです。最近では、自主管理をサポートするアウトソーシング・サービスやパソコン・スマートフォン用のアプリも増えています。積極的に使いこなして、「楽しい自主管理」を実践してみてはいかがでしょうか。
文/木村 元紀