入居者負担でリノベできるDIY賃貸の仕組みとは?
「築古で空室が増えているがリフォームの余裕がない」と悩む大家さん。手間も費用もかけずに部屋をキレイにする方法をご存じ?自分の好みのインテリアにしたい入居者が自己負担で行うDIY賃貸の仕組みと注意点を紹介。
オーナーと入居者の双方にメリット
「空室が増えて家賃収入も減っているので、リフォームする余裕がない」「リフォームしても入居者に気に行ってもらえるのか?」と悩むオーナー。片や「建物は古くてもいいから、少し手を入れて好みのインテリアにしたい」という希望を持つ入居者。お互いが歩み寄って問題を解決できる新しい賃貸スタイルが注目を浴びています。
入居希が費用を出して自分好みのリフォームを行う“借主負担DIY型賃貸借”(以下「DIY賃貸」)や、オーナーまたはサブリース事業者の費用負担で、入居者の好みを反映させる“カスタマイズ型賃貸借”です。ここではDIY賃貸にスポットを当ててみましょう。オーナーと入居者の双方に次のようなメリットがあります。
オーナーのメリット
現状のまま賃貸でき、修繕の費用や手間がかからない。
入居者がリフォームをして自分の好みのインテリアにすることで愛着が生まれ、長期入居を期待できる。入居者とのトラブルが減るという声も。
センスの良い入居者なら、明け渡し時に内装がグレードアップしている可能性もある。
入居者のメリット
自分好みのリフォームができ、持ち家感覚を味わえる。
DIY工事費を負担する代わりに、相場より安い家賃で借りられる。
DIY工事の分は原状回復しないで済む契約もできる。
DIY型賃貸に否定的なオーナーも
「いいとこづくめ」のように見えますが、必ずしも賛成しているオーナーばかりではありません。本誌調査では「DIYはお断り」というオーナーが賛成派をやや上回っています(§3-2参照)。
もともと建物や設備のリフォームはオーナーの費用で行うのが基本です。自分が所有する賃貸住宅に、入居者が手を加えることに対する抵抗感があるのかもしれません。「建物全体の統一性を確保するため、個別のリフォームは認めない」という声もあります。
ただ「築20年以内の物件は断る」という意見は「築年が古くなり空室が増えている物件ならOK」ということの裏返しともいえるでしょう。
リクルート住まいカンパニーの調査(2014年4月)では、入居者の半数近くが「借主の負担で行うDIY型賃貸を利用してみたい」と答えています。欧米のアパートメントではDIYが当たり前とか。こうしたライフスタイルが日本でも浸透しつつあるのかもしれません。
ちなみに、ポータルサイトに掲載されている「DIY可」物件の数は、2018年の時点で極々わずかに過ぎません。その分、入居希望者からの問い合わせ件数は、それ以外の物件の5倍以上あると言われています。
興味はあっても「トラブルになるのが怖い」「どのように契約していいかわからない」というオーナーもいるでしょう。そんな方は、国土交通省が公表している「DIY型賃貸借」の契約書式モデルとガイドブックを参考にしてみましょう。次のページからダウンロードできます。
手続きの流れとポイント
手続きの流れと、事前に確認しておきたい事項のポイントを図にまとめました。
図に書かれている手順は、あくまでも契約方式の一つの例です。DIY工事は、必ずしも賃貸借契約後に行うとは限りません。仮契約で工事に入り、完了後に本契約を結ぶパターンもあるでしょう。工事期間中はフリーレントにするというケースも考えられます。入居希望者とよく話し合って、自分に合ったスタイルを見つけてみてください。
文/木村 元紀
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