リースで設備を導入するメリット・デメリットは?
「設備を新しくしたいけど、手持ち資金がない」というオーナーは少なくありません。リースを活用すれば初期投資を抑えられます。この記事では、賃貸アパート・マンション設備のリースのメリット・デメリットの他に、ローン利用との違いについても紹介します。
リースとローンの違いとは?メリットデメリットは?
リースといえば、産業機械や事務用機器で普及していますが、最近ではクルマや賃貸住宅の設備にも浸透してきました。
多額の初期費用が不要なことや、メンテナンス費用も含めて、毎月一定額の支払いで経費を平準化できるメリットが知られるようになってきているからです。リース会社が法人営業中心から、個人事業主にも目を向け始めているという背景もあるでしょう。
一度に現金で支払いたくない場合、ローンを利用する方法もあります。
リースとローンの違いについて整理したのが表1です。賃貸住宅の設備取得資金に使えるローンとしては、有担保のアパートローンと無担保のリフォームローンがあります。
リフォームローンは、融資限度額が1,000万円以内、返済期間が最長15年、金利はアパートローンより高めという条件が多いようです。ここでは後者のリフォームローンを想定しています。なお、リースは7~10年契約が多いようです。
リース | ローン | |
初期費用 | 不要 | 事務手数料、保証料、有担保の場合は登記費用など |
支払い | 毎月定額 | 金利変動による変化の可能性あり |
メンテナンス費 | 不要(保守契約を結んだ場合) | 別途必要 |
保険料 | 不要 | 別途必要 |
固定資産税 | 不要 | 別途納付 |
会計処理 | 全額経費計上 | [減価償却費+ローン利息]を経費計上 |
その他 | 事務処理の手間なく保守記録が残る | 審査時間がかかり、事務処理の手間 |
初期費用の違い
まず、初期費用が抑えられる点ではリースもローンも同じですが、ローンの場合は、金融機関によって申し込み時の事務手数料、保証会社への保証料が一括でかかる場合があります。また工事に必要な金額の100%融資が受けられる場合と、頭金が必要になる場合があるようです。そのため、ローンの場合、一定の初期費用がかかるかもしれません。
月々の支払いの違い
支払いが月々に分散される点は同じです。同じ設備をリースにした場合とローン返済にした場合では、リース料よりローン返済額のほうが何割か低くなるでしょう(金利水準や返済期間によって異なります)。
この点で、リースを採用するかどうか迷う人もいるようです。ただし、ローンの場合は変動金利が一般的なため、金利が上昇した場合は返済額が増える可能性があることに注意してください。
諸経費の違い
設備機器を導入すると、取得費以外に諸経費もかかります。メンテナンス費用や損害保険料などです。
リースの場合は、リース料に総て含まれているため、追加で支払う必要はありません。ローンの場合は、オーナーが手続きをして別途費用を支払う必要があります。そのため、リース料とローン返済額との差額はかなり縮小するのではないでしょうか。
税金の違い
リースの場合、設備はリース会社の資産になるため、オーナーが固定資産税を払う必要はありません。
ローンで購入すると、設備はオーナーの資産になるため固定資産税がかかります。さらに、会計上の経費になるのは、リースではリース料全額ですが、ローンの場合はローン利息と減価償却費※です。
※設備は法定耐用年数に応じて減価償却するが、1個10万円未満の設備は「消耗品費」として一括経費計上が可能。10万円以上20万円未満は3年間で1/3ずつ償却。青色申告の場合、30万円以下なら「少額減価償却制度」を使って一括償却ができる。
リースとローンはどっちが良いの?
以上の点を整理すると、「リース料>ローン返済額」ですが、リース料は毎月一定額に固定されるのに対して、ローンは返済額以外の諸費用支払いの波があるといえるでしょう。リース対象設備は表2のように多彩です。うまく活用しましょう。
寝室・居間 | エアコン、照明器具 |
セキュリティ | インターホン、火災報知器、スマートロック、防犯カメラ |
キッチン | IHヒーター、ガスコンロ、食器洗い乾燥機 |
バス・トイレ | 浴室換気乾燥機、温水洗浄便座、洗面化粧台 |
給湯設備 | 給湯器、電気温水器 |
その他 | 宅配ボックス、集合ポスト |
まとめ
ただ、単に支払い負担の大小だけは、損得が判断できません。全体の収支を見極めながら、リースとローンを使い分けていくと良いでしょう。
文/木村 元紀
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