プロパンガス会社が設備をタダで入れてくれる?

「プロパンガス会社が給湯機からコンロ、エアコン、ドアホンまで全部無料で入れてくれた!」って本当?何か裏があるんじゃない? なぜ、設備をタダで付けてくれるのか、そのしくみと注意点について紹介しましょう。

設備を無料で付けてくれる?「無償貸与契約」とは

設備の導入費用逓減に関心を持つオーナーは多いでしょう。その中で、ネット通販のような「何割引き」どころか「丸々タダにする」という劇的なコストダウンの方法があります。新しいプロパンガス(LPガス)会社と一定期間のガス供給契約を結ぶと、各種の住宅設備を無償で支給してくれるサービスです。プロパンガス会社の変更、または都市ガスからプロパンガスへの切り替えの2通りがあります。

なぜ、そんなことが可能なのでしょうか。無料で設備を付けてくれるといっても、プロパンガス会社がその費用を実際に被るわけではありません。図1のように、プロパンガス会社は、オーナーとの間で設備の「無償貸与契約」を結び、業者価格で設備を取得してオーナーには無償で支給します。その一方で、設備費を入居者が支払うガス代に上乗せして回収する仕組みです。リースと似たような形態ですが、あくまでも費用を取らずに設備を貸し付ける契約で、途中解約する場合は、設備の残存価格を精算する義務が発生します。

入居者の負担が増えてクレームに?空室に繋がる事態も

オーナーが「トクした」と喜んだプラス分は、実は、すべて入居者のマイナス分として転嫁されていたわけです。本来、建物に附帯する設備費はオーナーが負担して家賃から回収するべきものですから、入居者は家賃の二重取りされている状態といえるかもしれません。

乱立するプロパンガス会社のサービス競争が招いた結果ともいえます。「無償貸与契約」の対象は、初めは配管工事と給湯器ぐらいでしたが、ガスコンロ、エアコン、果てはドアホン、洗面台、温水暖房便座などなど、どんどんエスカレートしていきました。これらを8室、10室のアパートすべてで実行すれば数百万円のトクになるだけに、オーナーは喜んで実行しました。

しかし、結果的に入居者の負担が重くなり「前の部屋よりガス代が2倍になった」といったクレームが急増。ネットの口コミで情報交換し、ガス代の高い部屋から退去する動きも広がっています。もともと空室対策として、入居者満足度を高めるために設備更新をしようとしたにもかかわらず、この方法を下手に使ってしまうと、かえって空室悪化につながりかねません。

こうした問題を受け、2017年6月にプロパンガス取引に関する液石法が改正され、表1のような規制が導入されました。設備費上乗せ分を含む料金表示の透明化によって、消費者を保護することが目的です。実行性がどこまであるかは別にして、情報公開は徐々に進んでいます。

※液石法:液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律。プロパンガス料金は、固定制の「基本料金」と使用量に応じて決まる「従量単価」の組み合わせになっている。また、プロパンガス料金の相場を公開しているサイトも登場!

入居者に負担を増やさないサービスや適正な料金を見極めて

では、「無償貸与契約」による設備費節約の手法は、使うべきではないのでしょうか。実は、入居者の負担を増やさない無償貸与サービスも登場しています。もともとプロパンガス料金は非常に不透明で、地域によって、供給会社によって大きく異なっていました。これに対して、流通経路の適正化や企業努力を促すことで料金の低下を進め、また「適度な無償貸与」を行うことによって、オーナーと入居者双方にメリットが出るプロパンガス供給を目指すものです。

東日本大震災では、都市ガスが復旧に数ヶ月かかったのに対してプロパンガスは1~2週間で再開できたといわれます。ライフラインを確保するという視点や、料金などを総合的に考えて選択してみてください。