設備の寿命って何年? 交換のサイクルや費用は?

「壊れてから直せばいい」という発想は入居率低下のもと。設備の寿命がわからないのに、いつどうやって修理や交換をすればいい?主要な住宅設備の寿命と修繕や交換のサイクル、費用の目安について紹介しましょう。

「真夏にエアコンが効かない」「冬場にお湯が出ない」といったクレームが来て、あわてて設備会社の手配や修理に追われたことはありませんか。対応を一歩間違うと、入居者の心象を悪くして退去を招きかねません。最近の入居者は権利意識も高くなっていため、設備故障を直すまでの間、「ホテルに避難していた宿泊料」「銭湯に通った入浴料」などを請求されるおそれもあります。

「トラブルの一次対応は管理会社に任せている」「24時間駆けつけサービスの体制を整えている」というオーナーもいるでしょう。それらによって事後的な対応はスムーズに行くかもしれません。しかし、一歩進んで、住宅設備の寿命を知り、完全に故障する前に修理や交換をしていれば、トラブル自体を減らし、入居者の満足度を上げることができます。

設備のメンテナンスには「事後保全」と「予防保全」という2つの考え方があります。

事後保全は壊れてから直すこと、いわば対症療法的なアプローチです。予防保全は、一定の周期で点検・修理・部品交換・更新して故障発生を未然に防止することで、「定期メンテナンス」ともいいます。事後保全では、複数の部屋で一度に何台も設備が壊れると大変。作業もコストもかさみます。定期メンテナンスをすることで、費用の平準化につながり、経営が安定します。

どの設備をいつ修理したり交換したりすればいいのか、また、その際にいくらかかるのかは、住戸のタイプによって多少異なります。「アパートの1Kタイプ」の目安を§4-5に示しました。

出典:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会『賃貸住宅版 長期修繕計画案作成マニュアル(改訂版)』

普段は数万円程度のコストしかかかりませんが、10数年、20数年目に複数の設備交換の時期が重なるために金額が膨らむことに注意してください。30年間のトータルで約90万円かかると見込まれています。単純平均で年間3万円くらい。仮に家賃が7万円なら年間賃料収入84万円の約3.5%となります。定期メンテナンスの費用として、これくらいの金額を準備しておきましょう。

設備の「寿命」は「一斉交換」の時期を想定しています。実際には、下図に示したように「物理的」「経済的」「社会的」な側面があります。物理的な耐用年数はまだ残っていても、入居者のニーズとかけ離れた設備は早期に交換したほうが良いという「社会的な寿命」もあることを知っておきましょう。


また、定期メンテナンスは、やりすぎると過剰修繕になるおそれがあります。まだまだ使えるのに交換・更新するのはもったいないでしょう。メンテナンスの周期に幅を持たせて、その間に異常の前触れを察知して、早期に対応する「予知保全」または「状態監視保全」という考え方もあります。

それを実践するには、入居者と定期的にコミュニケーションとってトラブルの種を早期発見する必要があります。たとえば、意欲的な管理会社では、年に1度、あるいは契約の更新時などに入居者へアンケートを実施して、「不具合や使い勝手の悪いところはありませんか」と尋ね、設備の現状を確認する努力をしています。オーナー自身でこれを実施してもいいでしょう。ちょっとしたクレームの電話なども、不具合や故障を早めに知らせるシグナルと捉え、メンテナンスに活かすという発想も大切です。

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