賃貸住宅の火災報知器が電池切れ!交換方法は?費用は誰が負担する?
煙や熱を感知して、火災の発生を警告する火災報知器。2006年に新築住宅への設置、2011年には既存住宅も含む全国すべての住宅で設置が義務化されました。もちろん賃貸住宅も例外ではありません。火災報知器がもし電池切れになったり寿命を迎えたりした場合、その費用や手間はオーナーが負担すべきなのか、入居者がすべきなのか?火災報知器のあれこれについてまとめてみました。
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100pの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|
火災報知器が電池切れ!どうすればいい?
多くの火災報知器(消防庁などのHPでは火災警報器と表記)は、電池切れ直前に警報音が鳴ります。夜中に鳴る場合もあるため、就寝中に聞きなれない音が家に響き、驚く方も多いようです。
警報音だけの場合もあれば、「電池切れです」などのアナウンスや、光って知らせるものなど様々なタイプがあります。警報音が鳴ったときは、火災ではないかをまず確認しましょう。
火災報知器の警報音が鳴った場合の対処法
電池切れの場合はまず警報音を止める必要があります。本体に停止ボタンやひもがついているので、それを操作して止めます。機器によっては長押しが必要なものもあります。
一旦止めてもしばらくすると鳴る仕様になっているため、早めに対処しましょう。放置していると完全に電池が切れて、本当に火災が起きたときも作動しなくなります。その前に必ず電池交換を行うようにしましょう。
火災報知器の電池交換方法と注意点
警報音が鳴って知らせてくれた場合はすぐに電池交換を行うべきですが、それ以外でも年に2回、ボタンやひもを操作して正常に動作するかを点検しましょう。
消防庁では、春と夏の火災予防運動のタイミングでの点検を推奨しています。いつでも良いのですが、忘れないように毎年決まった時期に行うのがおすすめです。火災報知器を点検して反応しない場合はすでに電池切れか、本体が故障もしくは寿命を迎えています。すぐに電池か本体の交換を行いましょう。
火災報知器に使われている電池は一般的な乾電池ではなく、多くはリチウム電池が採用されています。リチウム電池はコネクタという電子部品が出ており、乾電池よりも軽くて長寿命なのが特徴です。
交換手順は細かくは火災報知器のメーカーによって違いますが、大まかには以下の通りとなります。
-
1.火災報知器の本体を天井や壁から取り外す
押し付けながら回すことが多いですが、回す方向などは本体や取扱説明書の表示に従ってください。
-
2.電池コネクタからリチウム電池を引き抜く
-
3.新しいリチウム電池を入れてコネクタをつなぐ
-
4.再度天井(もしくは壁)に取り付け、ボタンを押して動作確認
正常に動作する場合は取り付け完了です。
火災報知器のメーカーや型番で検索すると、ほとんどのものは取扱説明書がホームページで公開されています。詳しい取り付け方法などはそちらを参考にしましょう。
火災報知器に使用されている電池はホームセンターや家電量販店の他、Amazonや楽天などのネットショップでも販売されています。コンビニエンスストアに置いている場合もあり、値段は一個1,000円前後です。
火災報知器の本体交換が必要な場合の対処法
電池切れのタイミングは、警報器本体の交換時期である可能性も大いにあります。住宅用火災報知器は、10年を目安に交換が必要とされているからです。
本体の設置年数は設置時に記入している他、製造年を確認することでおおよその設置年が分かります。もし10年が経過しているようであれば、電池と一緒に本体も交換しましょう。
賃貸物件での火災報知器の取り扱い
現在、戸建て住宅や店舗兼用住宅、共同住宅などを含むすべての住宅に、火災報知器の設置が義務付けられています。賃貸物件も同様です。賃貸物件における火災報知器の取り扱いを詳しく見ていきましょう。
住宅用火災報知器の役割
火災報知器の設置は義務化されていますが、実は、設置しなくても法律上の罰則などはありません。しかし、自らの所有する賃貸物件に火災報知器を設置しなかった場合、オーナーには次のようなリスクがあります。
ひとつは万が一、火災が発生して死者が出た場合、オーナーが責任を追及される可能性があります。住宅火災の死亡の多くは、逃げ遅れや、就寝中に発生した火災が原因となっています。そのため、火災報知器の設置により助かったかもしれない命の責任を問われることは考えられます。
さらに、火災が発生しても火災保険がおりない可能性があります。保険会社との契約内容によって異なりますが、火災保険が「適用されない項目」に火災報知器未設置の記載がある場合には、保険金は支払われません。
火災報知器の設置場所と注意点
火災報知器を設置する場所は、基本的には寝室と、寝室がある階の階段上部(1階の階段は除く)と決められています。設置が義務付けられている場所は自治体によっても異なり、東京都の場合、居間、リビング、子ども部屋、寝室などといった普段使っている居室、階段、台所などにも設置が必要としています。
ワンルームマンションや1Kの部屋に設置するときも、東京都では台所と居室の間に引き戸や扉、もしくは天井から1m以上の梁や吊戸棚がある場合は、台所と居室のそれぞれに設置が必要と定めています。自動火災報知設備やスプリンクラー設備がすでに設置されている部屋には、新たに住宅用火災報知器を設置する必要はありません。いちど自治体で定められた設置場所を確認してみましょう。
取り付け位置は、天井の場合は壁や梁から60cm以上離れた天井の中央付近に、壁に取り付ける場合は天井から15~50cm以内の位置に住宅用火災報知器の中心がくるように取り付けます。
エアコンの吹き出し口や換気口などから1.5m以上離し、ストーブなどの熱の影響を受けない位置に取り付けるようにしましょう。
火災報知器の寿命と交換時期
機種によっても異なりますが、一般的な住宅用火災報知器は10年を目安に交換します。交換時期になると、警報音や音声でお知らせします。点検や電池交換の際に本体の交換時期を確認し、あらかじめ準備しておくと良いでしょう。古いものは電池を取り外し、自治体の定める廃棄方法で処分します。
オーナーと入居者の責任分担
火災報知器の設置はオーナーがするべきなのでしょうか?それとも、入居者がするべきなのでしょうか?東京都の火災予防条例では『住宅の「関係者」は、住宅用火災報知器を設置し、維持しなくてはならない』と定められています。
「関係者」とは、住宅の「所有者」であるオーナー、「管理者」である管理会社や不動産会社、「占有者」である入居者を指すため、三者ともに住宅用火災報知器の設置・管理義務があることになります。これは東京都に限った話ではありません。
しかし、実際は管理会社もしくはオーナーが設置を負担することが多いようです。賃貸の契約更新は2年単位ですが、火災報知器は10年で取り替えるため、入居者が設置して引越しのたびに持ち去るのは現実的ではありません。部屋の設備として管理会社かオーナーが入退去のたびに点検を行い、必要であれば交換することがほとんどです。
それでは、電池についてはどうでしょうか?電池切れの警報音などが鳴った場合は、実際に住んでいる入居者の方が先に気付くため、入居者が自分で電池を替えてしまうこともあるでしょう。
エアコンの設置や修理はオーナーが負担しても、エアコンのリモコンの電池は、消耗品として入居者が取り替えるのに近い感覚です。電池切れの警報音が鳴ったら入居者が管理会社や大家さんであるオーナーに知らせてくれる場合もありますし、知らせてくれるように先に伝えておくと良いでしょう。
しかし、もし入居者が火災報知器の電池切れを放置してしまうと、火災が起こったときのリスクが大きくなります。そのため、管理会社やオーナーが主体となって定期的に点検を行い、必要があれば電池や本体の交換を行うようにあらかじめ決めておくのがベストです。交換や点検についても、契約時に書面で明記しておくと安心です。
おすすめの火災報知器と購入方法
火災報知器が寿命を迎えたときや、新たに設置が必要になったときはどこで手に入れればよいのでしょうか。また、火災報知器にはどんな種類があり、機能や価格に違いはあるのでしょうか。
おすすめのタイプとメリット
火災報知器には大きく分けて、煙に反応して鳴る「煙式(光電式)」と熱に反応する「熱式」の2種類があります。東京消防庁のホームページでは、居室や階段は煙式、台所など火災以外の煙で警報器が誤作動するおそれのある場所には煙式または熱式としています。しかし、煙式の方が熱式よりも火災を早く感知することができるため、台所などにも煙式を設置することを推奨しています。
発報方式としては、火災を感知した警報器のみが鳴る「単独式」と、1カ所で火災を感知すると、設置したすべての警報器が鳴って家じゅうに火災を知らせる「連動式」があります。連動式は、配線によるものと無線式のタイプがあります。
最近は夜間の避難を助ける照明のついたタイプや、スマートフォンに通知する商品なども出ています。また、高齢者の方や耳が不自由な方のために、光と音で知らせるものなどもあります。間取りやライフスタイルに合わせて選ぶようにしましょう。
火災報知器の購入方法と注意点
もし自分で購入する場合は電池と同じく、ホームセンターや家電量販店、ネットショップで手に入ります。電池式で一個2,000~3,000円程度のものが多く、複数の部屋に設置するために、いくつかセットになっているものもあります。
設置にはドライバーと脚立が必要です。あらかじめ本体に電池を接続しておき、取り付け前に動作確認を行います。確認できたら土台部品を天井にねじ止めし、本体を土台にはめ込むのが一般的な設置方法です。商品によっては動画などでも解説されており、特別な資格や技術がなくても取り付けられます。電池交換と同様に、設置後にも必ず動作確認を行うようにしましょう。
リースと購入の比較
電力会社やガス会社では警報器のリースも行っています。1台につき月々数百円程度で、ガスや火災に対して警報音が鳴り、契約期間中は機器の管理や交換などをお任せできます。5年契約のものが多く、消化器のリースがセットになったプランや、賃貸オーナーや管理会社向けの一括契約プランもあります。
しかし、月300円として、5年で300円×12ヶ月×5年=18,000円。一台あたり数千円で購入できることを考えると、やや割高になります。そのため自ら火災報知器を購入・設置している自主管理の賃貸オーナーも多くいます。
家を建てたときや賃貸住宅に引っ越してきたときに「義務です」と業者から設置をすすめられ、クーリングオフできずにトラブルになることもあるようです。
まとめ
「令和3年版 消防白書」によると、令和3(2021)年中の住宅火災件数は総出火件数の約3割ですが、死者数は総死者数の約7割を占めています。その原因には、ガスコンロやたばこだけでなく、電気火災や放火なども。普段から気を付けていても、火災がいつ・どこで発生するかは分かりません。
火災報知器を設置しなくても罰則はありませんが、火災報知器を設置することで、火災発生時の死者数・損害額は半減、焼失床面積は6割も減らすという効果が実際に出ています。火災報知器によって、火災による死亡リスクや、損失拡大リスクを大幅に減らすことができるのです。
2011年の完全義務化以降に設置した火災報知器も、電池や本体の交換時期を迎えているものが出てきています。大切な入居者の命と自らの財産を守るためにも、火災報知器の状況を定期的に点検・把握し、適切に設置するようにしましょう。
※この記事内の情報は2023年8月16日時点のものです。
取材・文/丸石 綾野
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100pの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|