重要事項説明に追加された「重要土地等調査法」とは?目的や賃貸経営への影響をわかりやすく解説

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公開日:2023年8月30日
更新日:2024年3月8日
重要事項説明に追加された「重要土地等調査法」とは?目的や賃貸経営への影響をわかりやすく解説1

2022年9月より、宅建業法の重要事項説明に「重要土地調査法」における特別注視区域が追加されています。重要土地調査法の注視区域及び特別注視区域の指定に関する告示が公布され、2023年8月15日より施行されることになりました。不動産取引とも関連する「重要土地等調査法」とはどのような法律なのでしょうか。また、賃貸経営に影響はあるのでしょうか?わかりやすく解説します。

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2022年9月に全面施行!「重要土地調査法」とは

重要事項説明に追加された「重要土地等調査法」とは?目的や賃貸経営への影響をわかりやすく解説2

「重要土地等調査法」とは、防衛上重要な施設の周辺の土地や離島などを定め、それらについて国が状況を把握し、利用について規制する法律で、所轄庁は内閣府となります。

「重要土地等調査法」の正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」となっています。

「重要土地調査法」の目的は?

重要土地調査法の第1条に、「重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等が重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため」とあります。重要施設とは、自衛隊の基地などの防衛施設や海上保安庁施設、原発や航空などの重要インフラ、国境やその周辺の離島などを指します。

重要事項説明に追加された「重要土地等調査法」とは?目的や賃貸経営への影響をわかりやすく解説2

重要土地調査法は日本の防衛上、重要であるこれらの施設の周囲の土地を、その機能を害する目的で利用されることを防ぐ法律です。外国資本が不適切な目的で周辺の土地を取得・利用するリスクを減らす狙いもあるとされています。

「重要土地調査法」における「注視区域」「特別注視区域」とは?

重要土地調査法における注視区域は、上記のような重要施設の敷地周辺1,000mの範囲内で指定された区域や、領海防衛上、重要な国境離島など。

特別注視区域は「機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものの周辺の区域について、告示で個別指定」とあり、注視区域のなかで選ばれます。

具体的には、司令部機能や警戒監視・情報機能を持った防衛関係施設などが当てはまります。さらに、無人の国境離島など領海に関わるものも含まれます。

現在指定されている注視区域・特別注視区域の指定状況と区域図等については、内閣府のホームページで確認できます。

「重要土地調査法」では具体的には何を定めている?

①調査

重要土地調査法では、注視区域・特別注視区域共通で現況調査や不動産登記簿、住民基本台帳で土地及び建物の所有者、賃借人、利用状況などが調査されます。

②利用規制

調査結果をふまえて、重要施設等の機能を阻害する利用があった場合は中止勧告・命令等がなされます。勧告や命令の対象となる「重要施設等の機能を阻害する利用」とは例えば、航空機の離着陸やレーダーの妨げとなるものを置いたり、妨害電波を発したりする行為などを指します。

③事前届出

重要土地調査法では、特別注視区域内の200㎡以上の土地や床面積200㎡以上の建物の売買取引について、契約締結から2週間以内に売主・買主の双方から内閣府に届け出る必要があります。届出は郵送の他、オンラインでもできます。

国による買取

調査の結果、国が適切な管理を行う必要があると認められる場合には、国による買取りがされる場合があります。

賃貸経営にはどのような影響がある?届出は必要?

重要事項説明に追加された「重要土地等調査法」とは?目的や賃貸経営への影響をわかりやすく解説2

例えば、特別注視区域内に一棟アパートを所有している場合は、調査の対象にはなりますが、賃貸借契約については届け出る必要はありません。契約時の重要事項説明も、貸借の場合は所有権に関わらないため、重要土地等調査法に関する説明は不要とされています。

また、特別注視区域内にある床面積200㎡以上のアパートを相続する場合も、所有権が移転することになったとしても売買・贈与・交換等契約ではないため、届出は不要です。

届出が必要なのは、物件を売却する場合と、収益物件を取得するときです。例えば特別注視区域内のマンション(の一室)を購入する場合は、専有部分が200㎡以上であれば届出の対象となります。また、土地が200㎡未満、建物の床面積が200㎡以上の一戸建てを購入する場合は、建物のみ届け出る必要があります。

「重要土地調査法」をもし違反した場合、罰則はある?

重要土地調査法における注視区域・特別注視区域での「重要施設等の機能を阻害する利用」に対する中止勧告や命令に従わない場合は、懲役2年以下か罰金200万円以下が科されます。

また、届出をしないで特別注視区域内の200㎡以上の土地・建物の売買契約を締結したときや、虚偽の届出を行った場合には、6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰則があります。

まとめ

特別注視地区内に不動産を所有していることはレアケースでしょうし、もしあったとしても、通常の賃貸経営を行っている分には届出等の必要はありません。そのため、「重要土地等調査法」が賃貸オーナーに及ぼす影響は少ないと思われます。

しかし、基本方針の最後に「我が国の安全保障をめぐる内外情勢が、法成立・施行時に前提としていた状況から著しく変化した場合には、同条の規定にかかわらず、5年の経過を待たず、必要な検討及び見直しを行う」とある通り、今後の国際情勢によって注視区域・特別注視区域の範囲や規制項目等が改正される可能性はあります。

重要土地等調査法については内閣府にホームページや、コールセンターが設けられているため、タイミングを見て把握しておくと良いでしょう。

※この記事内の情報は2023年8月29日時点のものです。

取材・文/丸石 綾野

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