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契約違反?損害賠償請求は?インターネット・SNSトラブルQ&A

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契約違反?損害賠償請求は?インターネット・SNSトラブルQ&A1

久保原弁護士による法律相談Q&A、今回はインターネット、SNSにまつわるトラブルです。近ごろ一般的になってきたインターネット・SNSを活用した入居者募集や入居者との連絡・コミュニケーションにおいて、トラブルになりうるケースは多くあります。事前に知識を得て、いざというときに備えておきましょう。

契約違反?損害賠償請求は?インターネット・SNSトラブルQ&A2

文/九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也(写真)、伊藤 和貴

〈久保原弁護士プロフィール〉2007年、京都大学大学院法学研究科修了。同年、司法試験合格。2008年、九帆堂法律事務所設立。最高裁で勝訴した更新料裁判の大家さん側弁護団の首都圏担当。更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士としてさまざまな情報を発信。


Q1:インターネットの掲示板、不動産評価サイトやSNSで私の貸室の誹謗中傷が書き込まれています。

A1:まずは削除依頼を。削除に応じない場合は裁判所を介した削除請求を検討します。

貸室の誹謗中傷、貸主や家族の悪口、貸室の修繕前画像の公開、不動産評価サイトへの無断掲載など、インターネット上の心ない行為に悩まされている貸主の方は多いのではないでしょうか。

こうした場合、掲示板やサイト、各SNSサービスに、削除請求を受け付けるためのフォームが用意されています。このフォームに必要事項を記入して、サービス管理者に対して削除依頼をします。

比較的削除に応じることの多いサービスと、なかなか応じないサービスがあります。任意の削除依頼に応じない場合、裁判手続きによって侵害行為の差止請求をすることもできます。

ただし、上記の削除依頼に比べて時間と費用がより多くかかるので、その負担を負ってでも削除が必要かどうか検討しましょう。

Q2:インターネット上に誹謗中傷の書き込みをした人に対して、損害賠償請求をすることはできますか?

A2:書き込みをした人を特定した上で、損害賠償請求ができる可能性があります

インターネット上のネガティブなコメント、特に誹謗中傷の書き込みは、氏名、住所等が分からない匿名の形で行われることが多いです。一方で、書き込みをした人に対して訴訟等の手続きをするためには最低限、訴えられる人が誰なのか示す必要があります。

したがって損害賠償を検討する場合、まずは誰に対して請求するのか、書き込みをした人物の特定が重要です。

匿名の投稿でも、発信者情報開示請求をサイト管理者やプロバイダーに対して行う方法があります。この方法で投稿者が判明した場合、名誉棄損や営業妨害を理由として損害賠償の請求が可能になります。
また、書き込んだ人物が特定できれば警察に相談し、名誉棄損罪や信用棄損罪などの刑事責任を問える場合もあります。

Q3:入居者が発信するSNSの投稿を見ていたところ、契約に違反してペットが飼われているようです。

A3:SNSの投稿も契約違反の証拠になります。削除される前に保存するなどの対応を。

SNSに投稿された写真などから、禁止されている他人との同居、ペットの飼育、部屋の改造などの事実が判明することがあります。この場合、契約違反を理由に賃貸借契約の解除や、更新拒絶を請求できる可能性があります。

ただし、SNSの投稿は、削除や非公開の設定などにして簡単に証拠隠滅を図れるので、すみやかに証拠を確保しなければなりません。SNSなどの投稿は、スクリーンショットという画面自体を保存する方法などで証拠保全ができます。

また、入居者のSNSが炎上し、部屋や建物へのいたずら、嫌がらせが多発することもあります。部屋の被害は、入居者に対して損害賠償請求ができる場合もあるので、それに備えてSNSの投稿内容等の証拠保全を行う必要があります。

Q4:所有物件の宣伝にSNSを活用しています。書き込むときに注意することは?

A4:入居者のプライバシーや著作権への配慮を徹底しましょう。

入居者の顔が映り込んだ写真を公開したり、投稿文に入居者の名前を書いたりすると、プライバシー侵害に当たるとして不測のトラブルにつながりかねません。

SNSを使い慣れた層ほど、軽い気持ちで個人情報を発信することもありますから、SNSを普段使っている若年層の手を借りる場合でも、プライバシーを侵害するおそれがないことを、常に確認するよう徹底することが重要です。

また、著作権への配慮も注意が必要です。広告物の中にアニメキャラクターを使用したり、他人が撮影した写真を使ったりすると、損害賠償請求をされる可能性もあります。
フリー画像といっても、無料というわけではなく、使い方が自由という意味で使用されていることもあるので慎重に確認すべきです。

Q5:賃料滞納や契約違反行為をする入居者に連絡がつかない場合、SNSを通じた督促等は可能ですか?

A5:権利侵害にならないよう慎重に。通常の督促方法をまずは考えましょう。

電話がつながらず、ドアのチャイムを鳴らして出ない場合でも、SNSのアカウントを知っていたら直接連絡ができることがあると思います。

しかし、連絡のやり方を間違えると、不特定多数の人にその入居者の賃料滞納や契約違反行為が分かってしまい、やはりプライバシー侵害などの問題を招きかねません。

また、SNSでの連絡手段は一般に気楽な手段として用いられるので、法的な請求には向かないかもしれません。さらに、入居者からSNSで返信があった場合、SNSで言い争うことは多くの大家さんが望むものではないかと思います。

内容証明郵便などの厳格な方法は面倒な反面、それなりに重みのある方法ともいえます。連絡内容にあった連絡手段を選択されることをおすすめします。

Q6:SNSで入居者の個人情報を公にしてしまいました。どのように対応すべき?

A6:炎上を防ぐためには初動が大事。早期に投稿削除を。

SNSで入居者の個人情報を公にするなどの行為はあってはならない事です。一度公にされれば取り返しがつかないので、SNSなどでの他人の個人情報書き込みは絶対に避けましょう。

入居者の個人情報が流出した場合は、損害を最小限に留める対処を速やかに行ってください。最悪の場合、個人情報の漏えいが原因で、インターネット上で投稿者の個人情報が収集・共有され、大量の罵詈雑言が書き込まれるなどの、いわゆる炎上状態に陥ることがあります。

早めに削除して投稿を不特定多数の人が見られない状態にすることが肝心です。

その上で入居者への謝罪、場合によっては世間に対する謝罪などの適切な対応が炎上の予防になります。炎上の予兆が見えたらすぐ専門家に相談しましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2019年3月6日時点の情報です。

イラスト/黒崎 玄

スムスム君 スムスム君

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