「賃貸契約者動向(首都圏)」最新版が発表!平均家賃9万円超えで2005年以降の最高額に

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公開日:2024年10月31日
更新日:2024年10月31日
「賃貸契約者動向(首都圏)」最新版が発表!平均家賃9万円超えで2005年以降の最高額に1

(株)リクルートが毎年調査している賃貸契約者動向の最新版が発表されました。2023年度に賃貸住宅へ入居した方を対象に、部屋探しや住まいに求める項目を調査しています。新型コロナウイルス感染症の5類移行後、最初の本格的な部屋探しとなった2023年度。賃貸ニーズはどのように変わったのでしょうか。内容を抜粋してご紹介します。

部屋探しの動向に変化はあった?

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部屋探し動向①|内見数は平均2.6件でゆるやかに減少傾向

まずは賃貸物件を探すときの行動についての調査です。訪問した不動産会社の店舗数は平均1.5店舗で、2022年度の1.6店舗とほぼ変わりません。訪問した不動産会社(実店舗)の数は「1店舗」が最も高く、55.5%と過半数でした。

見学した物件数は、平均2.6件とゆるやかに減少ラインを描いており、2005年度以降で最小値となりました。「物件見学0件」という人を除くと平均2.9件で、内見をした人は1人あたりおおよそ3件ほどを見たことになります。内見をせずに部屋を決めた割合は8.6%で前年とほぼ変わりませんが、一人暮らしの社会人で約4ポイント増加しました。

部屋探し動向②|オンライン内見やIT重説の利用は低下へ

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物件の見学スタイルについては「オンライン内見のみ実施」が21.6%、「オンライン内見・対面での内見を併用」が7.3%で、合わせて3割ほどがオンライン内見を実施しています。ここ2年は増加傾向が続いていましたが、2023年度は約4ポイント減少しました。

属性で見てみると、男性20代以下、ひとり暮らしの男性社会人、ファミリー、リモートワーク実施者でオンライン内見の実施率が高くなっています。

オンライン上で重要事項説明や賃貸契約を行う「IT重説」についてはどうでしょうか。認知率、内容把握率、利用率ともに、2022年度までは上昇傾向でしたが、2023年度は低下に転じました。

IT重説の利用経験がある層は、利用経験がない層と比べて平均世帯年収や平均賃料が高く、マンション居住者の割合、リモートワーク実施率が高い傾向にあることがわかりました。

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住まいの条件はどう変わった?

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住まいの条件①|駅にこだわるが駅からの時間はあきらめる

部屋探しの際に決め手となった項目(家賃以外)は、「路線・駅やエリア」が最多で51.2%、過半数となりました。前年度より5.9ポイント増加しています。2位以下は「最寄り駅からの時間」「初期費用」「間取り」「通勤・通学時間」が30%台で続きます。

2020年度以降で増加傾向にある項目は「初期費用」で、減少傾向が見られるのは「間取り」や「設備・仕様」となっています。

入居物件決定時にあきらめた割合が最も高いのは「最寄り駅からの時間」で26.7%。2位以下は同じく20%台で「初期費用」「築年数」「面積」が続いています。

2020年度以降、「最寄り駅からの時間」をあきらめた割合は増加傾向。その一方で「設備・仕様」は減少傾向にあります。

住まいの条件②|絶対にほしい設備は「エアコン」「独立洗面台」

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続いては設備面の条件について見ていきましょう。現在の部屋に設置されている設備で最も満足度が高いものが「24時間出せるゴミ置き場」(73.5%)で、8年続けて1位になりました。属性はひとり暮らしの女性社会人と女性20代以下で特に満足度が高くなっています。

昨年度に満足度が上昇した「ディンプルキーなどのピッキング対策の鍵」や「セキュリティシステム」は、2023年度は低下し、2021年度と同程度に落ち着きました。

次に引っ越す際に絶対にほしい設備は「エアコン付き」「独立洗面台」が上位2位でどちらも過半数。女性や家賃10万円以上の層では絶対にほしい設備が多くなるものの、2019年度以降は多くの設備で、絶対にほしいという割合が減少傾向にあります。

賃貸ニーズにも変化。「ZEH賃貸住宅」なら7割が家賃アップを許容

「ZEH賃貸住宅」の認知率は16.2%、「長期優良住宅」は18.0%で、家賃や世帯年収の高い方が認知率は高い傾向にありました。

魅力を感じるコンセプト賃貸住宅は「防災賃貸住宅」が34.8%で1位、次いで「デザイナーズ賃貸住宅」(27.0%)、「ZEH賃貸住宅」(23.0%)が続きます。属性別では「防災賃貸住宅」は女性30代・40代以上、「デザイナーズ賃貸住宅」は女性20代以下・30代で魅力を感じる割合が高くなっています。

「ZEH賃貸住宅」に魅力を感じている層のうち69.1%が「ZEH賃貸住宅」であれば家賃アップを許容できるとしており、許容できるアップ率は「+5%まで」が37.5%で最多となりました。

まとめ|契約家賃平均は92,493円で2005年度以降最高額に

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2023年度の調査では、首都圏で契約した住まいの家賃は平均92,493円で、前年度から2,000円以上も上昇しました。管理費・共益費は平均5,587円で、家賃・管理費・共益費すべてが2005年度以降最高額となっています。

コロナ収束後の部屋探しでは、リモートワークも縮小する企業も増えていることから通勤・通学のための「路線・駅やエリア」にこだわる人が増える傾向に。

その一方で「最寄り駅からの時間」をあきらめる人が増えたのは、同エリア内に絞って探す中で、予算に会う物件がなかなか無く、駅からの距離を離していった結果かもしません。2019年度以降、設備に対するこだわりが弱くなっているのも、家賃上昇と関連がありそうです。

また、2023年は5月の1カ月間だけで全国各地で震度5弱以上の地震が6回も発生、6月と7月には大雨による浸水・住家半壊・全壊の被害がありました。こういったことが「防災賃貸住宅」のニーズ上昇に影響しているのではないでしょうか。

2024年度は2年連続で夏の猛暑が続いたこと、4月1日から賃貸住宅でも省エネ性能ラベルの表示がスタートしたことにより、「ZEH賃貸住宅」の認知度・ニーズが上がる可能性が考えられます。

建築費や経費が高騰している昨今、賃貸オーナーにとっても決して追い風とはいえない状況が続いています。しかし、これらの調査データからニーズやトレンドをくみ取り、賃貸経営に生かしていきたいものです。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年10月30日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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