新大学生が住まい探しをスタートする時期に変化あり。親の意向はどのくらい影響する?
賃貸業界の繁忙期である1~3月よりも前に、大学生の部屋探しは始まっています。近年は推薦入試が増えていることもあり、12月から始める親も多いことがアットホーム(株)の調査からわかりました。その他、親子それぞれの住まい探しの条件についても調査。空室対策の参考になるポイントを紹介します。
住まい探しを始める時期はいつ?関わった親の割合は?
「新大学生の住まい探しに関する実態調査」は、2021年7月から現在までに大学進学時に一人暮らしを始めた学生を持つ40~69歳の親が対象。
まず、住まい探しを始めた時期については「3月」が最も多く28.1%。そこに「2月」22.3%、「12月」12.3%と続きます。年内に探す人が多いのは、推薦入試を実施する大学が増えたことが影響していると思われます。
次に、新大学生の親に「子どもの住まい探しにどの程度関わったのか」を聞いたところ、「かなり積極的に関わった」41.6%と「まあまあ積極的に関わった」27.8%を合わせて7割近くが積極的に関わっているという回答に。次いで「ある程度関わった」18.4%と「相談にのる程度」8.5%が続き、深くは関わらず契約のみという親も3.6%いました。
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最終的な決定は親ではなく子どもの意見が優先される
親に対し、子どもの住まい探しの際は主に誰が探したかを聞いたところ、「母親」が最も多く26.2%。次いで「父親」20.8%、「本人」18.9%が続きます。両親どちらかもしくは両方のみ(=親だけが探したケース)が合わせて52.8%で、子どもが関わった割合は46.8%にとどまりました。
しかし、住まい探しの最終的な決定において誰の意見が優先されたかについては「本人」が50.6%と過半数で、本人と親を合わせたケースを加えると7割を超えます。住まいについての情報を親が多く調べていたとしても、実際にそこに住む新大学生の意見が最終的に優先されるケースが多いようです。
住まい探しで利用した方法としては「Yahoo!やGoogleなどの検索サイトで検索をした(スマートフォン)」が42.1%で最多。続いて、「アットホーム、SUUMOなどの不動産ポータルサイトで検索した(スマートフォン)」37.0%、「不動産会社のホームページを調べた」33.7%という結果になっています。
複数回答ではあるものの、いずれもパソコンよりスマートフォンを使って検索サイトやポータルサイトを利用することが圧倒的に多いという結果になりました。
住まい探しにおいて重視したポイントは?親子でギャップあり
新大学生の住まい探しにおいて重視したポイントを男子大学生の親・女子大学生に分けて聞いたところ、どちらも親は「家賃」がトップで6割超え。しかし、子である新大学生で家賃を重視する人は親の半分程度にとどまっていました。
子である新大学生が住まい探しで重視したポイントは、男子・女子ともに「間取り・広さ」が最も多く、「大学まで歩いて通える」という回答が続きます。その他の項目では、男女ともに「治安が良い」「日当たり・風通りが良い」「初期費用が安い」、女子は「2階以上」が親子間の差が大きい(親は重視しているが、子はそうでもない)という結果となりました。
重視した設備については、親と子、男子大学生・女子大学生すべてが「バス・トイレ別」が半数以上でトップに。しかし、男子大学生では「収納スペース」、女子大学生では「モニタ付きインターホン」「オートロック」という回答で、親の方が子よりもポイントがかなり高くなっています。一方で、親よりも子の方が重視していた設備に「独立洗面台」がありました。
住まい探しで知りたい情報は約6割が「周辺環境情報」
住まいを探している際にどのようなことが知りたかったかを聞いたところ「周辺環境情報(スーパーマーケット、コンビニ、病院、交番など)」が59.8%で最多でした。親も土地勘がない場所に子どもが住むにあたり、暮らしやすさが気になっている様子が伺えます。
2位は「一人暮らしにかかる初期費用と毎月発生する費用」53.0%、3位は「地域の相場情報」32.4%で、お金に関する項目がランクイン。「部屋のオーナーや管理会社の情報」と答えた人も23.0%いました。
新大学生の親が不動産会社について知りたい情報は「公開物件数」が36.3%で1位に。そこに「定休日と営業時間」28.3%、「会社実績」26.2%が続きます。扱う物件数や実績についての項目が上位であることから、新大学生の親は会社規模や実績を重視しているようです。
まとめ
新大学生の住まい探しについて、半分以上は親が調べても実際の決定には子どもの意見が優先されることや、条件面ではお金やセキュリティーに関して親子間のギャップがあることがわかりました。
また、住まい探しを始めた時期は1月よりも12月という回答の方が多いことは、意外に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
受験生数の減少により、早期に学生を確保したい大学が推薦入試に力を入れる傾向は今後も強まっていくとみられます。グローバル化に向けて10月の秋入学を導入する大学も増えており、大学生の住まい探しはより早期化していきそうな見込みです。
大学生をターゲットにした物件をお持ちの大家さんは、近隣大学の入試情報を把握しつつ、早めに準備しておくことをおすすめします。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年11月12日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。