【確定申告前】節税のために経費を使おうとしていませんか?
- 税理士
確定申告の時期が近づいてくると、節税のために経費を増やそうと考える大家さんが多いのではないでしょうか。闇雲に経費を増やすことは避けるべきであり、そのためにも正確な経営状況の見極めが大切であると税理士業界初のCPM®を保有し活躍中の三矢先生は強調します。ポイントを伺いました。
税理士業界初のCPMとして活躍中。顧客の大半が不動産オーナーで総合的な節税対策提案を得意としている。自身も不動産オーナーとして不動産投資を実践。
CPM®とは
1933年に米国で発足したIREM(全米不動産管理協会)が認定する公認不動産経営管理士のこと。高度な管理スキルと高い倫理観を持つ者のみが取得でき、取得者が在籍している仲介会社・管理会社をパートナーに指名するオーナーも多い。
節税=「お金が減っていく」という認識を持つべき
年末が迫ってくるとそろそろ確定申告の準備を、という気持ちが強くなってきます。その際に私が毎年感じているのが、節税のために経費を増やそうと考える大家さんが実に多いということです。節税の本来の目的とはなんでしょうか。手元にお金を残すために行うのが節税です。
経費を増やすことはお金を使うということ。例えば100万円使っても100万円節税できるというわけではありません。所得の多寡にもよりますが、節税額はせいぜい30万円程度ではないでしょうか。
「節税」を意識するあまり、無理にお金を使うのではなく、入ってくるお金を増やす使い方を心掛ける方が重要です。要は、お金を使うにしても、実のある、前向きな投資でなければなりません。そのためにも、確定申告準備を早めに進めて、資産である所有物件の経営状況の把握・分析を行うことをお勧めします。確定申告に向けた戦略的な経費の使い方も見えてくるでしょう。
昨年と比較して状況は? 現状を分析しよう
経営状況の把握・分析といっても、難しく考える必要はありません。去年より儲かっているかどうかを確認することだけでもいいのです。もし儲かっていないなら、なぜ去年より良くないのか原因を明らかにすることが大切。空室が増えているからなのか? 家賃が下がっているからなのか? 原因が分からなければ、管理会社に聞いてみてもいいでしょう。
その上で、リフォーム・リノベーションや設備交換で空室対策をするといった問題を解決できる手立て・対策を考えましょう。例えば空室が埋まらない部屋があり、家賃が10万円なら年間120万円の損失です。仮に出費が100万円かかっても、それですぐに空室が埋まるなら、その方が賢明な策と言えます。