失敗なし!大規模修繕会社の選び方と見積もりのポイント

リフォーム/塗装
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公開日:2018年9月18日
更新日:2019年11月20日

見積もりからアフターまでのチェックポイント

見積もり書の記載内容で施工会社の誠実さがわかる

大規模修繕工事を依頼したい会社を2~3社に絞ったら、相見積もりを行う。各社の見積もりを精確に比較するには、設計コンサルなどの専門家によるセカンドオピニオンを依頼するのも安心だ。

建築の素人では、施工方法や細かい仕様の違いまで分からないことも多い。しかし、見積もり書のフォーマットから、その会社の誠実さを類推することはできる。

たとえば「数量や単価が出ていない“一式表記”が多いところは基本的に危ない」と土屋さんは指摘。建物修繕の見積もりは、職人の数(人工)と施工日数、施工面積と材料の単価で決まってくる。

「これらの明細が書かれているところが良心的です」(土屋さん)

もう一つのポイントは材料の名前が詳細に記載されているか。屋上防水工事ひとつをとっても、多くの塗料がある。

「より信頼できるのは、材料のメーカーと型番まで出ていること。同じ名前の塗料でも、メーカーによって性能やグレードが違います。良心的な会社は、メーカー名と型番を書き、工事に入れば、その商品が現場に運びこまれた写真や納品書を記録して、完了報告書にまとめてくれます」(土屋さん)

見積もりを作成するにあたって、その会社が現場の事前調査を実施しているかどうかも重要だ。

「現場を見ずに、きちんとした見積もり金額を出すことはありえません。事前調査の状況を踏まえて施工方式と数量、材料グレードを決め、足場計画などを含めて見積もりを行うのが普通です」(土屋さん)

相見積もりの結果、金額が安いところがベストとは限らない。耐久性の低い材料を使っていたり、数量を少な目に見積もって安く見せ、後から「追加工事」として費用を上乗せするパターンもあるという。見積もり金額が安すぎたり、見積もり書を出すのが速すぎるところは注意すべきだ。

なお、着工後に足場を組んで古い塗料を剥がしたら、下地の補修部分が予想より増えるケースも珍しくない。1割程度の予備費は見ておいたほうがいいだろう。

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きちんと契約書を取り交わし添付書類の内容をチェック

依頼先が決定したら、詳細な仕様の打ち合わせをして、予算を確定した上で工事を発注する。

「中小規模のリフォームでは『注文書/請書』という書面で済ますケースも多いのですが、大規模修繕工事では『工事請負契約書』を取り交わしたほうがいいでしょう」(土屋さん)

契約書には、工期と引き渡し日、請負代金、支払い回数・時期などが記載される。事前調査の概要、工事完成保証や瑕疵保険の有無、工事費内訳書・仕様書などの添付書類も併せて確認しよう。

「気を付けてほしいのは、メーカーの保証書の内容確認です。施工方法によっては長期保証が付く場合と付かない場合があるからです。施工会社はメーカーの指定に従っただけでも、オーナーは当然あると思っていた保証が、後でなかったと気付けば驚きます。メーカーの保証書まで確認するようにしてください」(土屋さん)

入居者への配慮を欠かさず、現場での交流も忘れずに

着工前に、工事全般の進め方や詳細な工程を記載した施工計画書を提出してもらい、今後の段取りを確認しよう。近隣住民や入居者への告知は、施工会社がポスティングなどで行うのが一般的だが、オーナーが現場監督と同行して挨拶に行ってもいい。足場をかけると、小規模のアパートでも1カ月近くかかる。特に入居者に対してはきめ細かく対応して、なるべく良好な関係を保つ努力はしたい。

また、設計施工が一体の責任施工方式の場合、工事監理は会社側で行うため、どうしても緩くなりがち。それを防ぐには、オーナー自身で現場に足を運ぶことだ。

「週に1回見に行くかどうかで大きく違います。まったく来ないとわかると、2度塗りの仕様を1度塗りで済ますなど、手抜きをする現場があるのも事実。オーナーはこまめに現場に足を運び、お茶やお菓子を出して『ケガしないでね』などとねぎらいながら、会話をすることが肝心です。職人も人間なので、気心が知れていると感じれば、きちんと作業しようと思うものです」(須藤さん)

オーナー自身は専門的なチェックはできないにしても、さりげなく現場に目を光らせているかどうかで緊張感が違うという。もし、施工精度が心配なら、専門家のインスペクション(建物検査)を受けるのも一つの方法だ。

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アフターサービスは、次の長期修繕の準備期間

工事が完了すると、施工会社の内部チェックの後、オーナーの施主検査=内覧で、契約した仕様書通りになっているかを確認する。不備があれば修正を行う。その結果にオーナーが納得できて初めて引き渡しとなる。

最後に、工事完了報告書・検査記録・下地補修工事図面など、修繕履歴の記録として、後々まで保存すべき書類を受領する。そして、保証書を受け取り、保証項目・保証範囲・保証内容・保証期間などが、契約時に見た内容と同じかどうかを改めて確認しよう。施工会社のアフターサービスの対応次第で、また大規模修繕を依頼するかどうかを検討するなど、次なる長期修繕の準備を怠らないようにしたい。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2018年9月5日時点のものです。

取材・文/木村 元紀 人物撮影/青木 茂也

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