不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説

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公開日:2026年9月1日
更新日:2026年9月2日
不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説1

相続対策というと節税に目が向きがちですが、賃貸物件を所有する大家さんにとっては「不動産をどう引き継ぐか」も大切な課題です。本記事では「相続税対策」ではなく「円満な財産の引き継ぎ」という視点から、不動産の分け方について考えてみたいと思います。

寄稿いただきました
不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説2

アンサーズ会計事務所 野上 浩二郎 氏

慶應義塾大学卒業後、大手税理士法人にて相続・事業承継・不動産に関わる税務等を中心とした業務に従事。相続・事業承継の豊富な実績を経て、2012年に税理士法人アンサーズ会計事務所を設立。資産家や中小企業オーナーの相続・承継の課題解決に尽力している。著書に「専門家のための事業承継の実務」(翔泳社)、「事業承継の失敗事例33」共著(東峰書房)等。

不動産は「公平」と「平等」が一致しない

不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説2

預貯金であれば、3000万円を3人で1000万円ずつ分けることは簡単です。

しかし、不動産はそうはいきません。相続財産が賃貸マンション一棟だけだった場合、このマンションを物理的に3つに分けて相続するというのは現実的ではありません。だからこそ、「誰が取得するのか」という問題が必ず出てきます。しかし、相続人それぞれの事情は異なります。

例えば、長男が長年アパート管理を手伝ってきたケースでは「これまで自分が管理してきたのだから、自分が引き継ぐのが自然だ」と考えるかもしれません。一方、他の兄弟は「相続は平等に分けるべき」と考えることもあります。

また、相続人の中には「賃貸経営を続けたい」という人もいれば、「管理は大変なので売却して現金で分けたい」という人もいます。どちらが正しいという話ではなく、それぞれの立場や生活環境によって考え方が異なるため、全員が納得するように調整するのは難しいものです。

「とりあえず共有」が後々大きな問題に

不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説2

話し合いがまとまらず、「ひとまず兄弟姉妹で共有名義にしておこう」というケースもあります。しかし、共有名義は一時的には公平に見えても、将来的には管理や意思決定が難しくなり、不動産の活用や売却に支障をきたすことがあります。年月が経ち、共有者が亡くなると、その持ち分はさらに次の世代へ相続されます。最初は兄弟姉妹3人だった共有者が、孫世代まで含めると10人近くになることも珍しくありません。

こうなると、権利関係が複雑になり、「売りたくても売れない」「活用したくても話がまとまらない」という事態も起こり得ます。

共有名義になると、普段の家賃管理は一人で行うことはできても、大規模修繕や建て替え、売却など重要な判断では共有者との調整が必要になります。共有者同士の関係が良いうちは問題なくても、世代が変わるにつれて連絡が取りづらくなったり、それぞれの生活環境や考え方が変わったりすることで、統一した意思決定が難しくなるケースもあります。

相続が始まってからでは選択肢は限られる

相続が発生すると、遺産分割協議を行い、相続人全員で財産の分け方を決めます。しかし、相続人の考え方が異なれば、話し合いが長引くこともあります。一方、生前であれば、誰に引き継いでもらいたいか、誰が管理できるか、売却も選択肢に入れるのか、などを時間をかけて考えることができます。

不動産相続で 後悔しないために。 節税より大切な 「不動産の分け方」を税理士が解説2

遺言書を作成したり、資産の組み換えを検討したりすることも、生前だからこそできる相続対策です。なお、どの方法が最適かは、不動産の種類や相続人の人数、他の財産の有無などによって異なります。一つの方法が常に正解というわけではなく、ご家族の状況に応じて選択することが大切です。

知っておきたい3つの遺産分割方法

実際の遺産分割では、主に次の3つの方法が用いられます。

①現物分割
不動産そのものを特定の相続人が取得する方法です。最もシンプルですが、取得する人と取得しない人との間で財産額に差が生じることがあります。

②代償分割
一人が不動産を取得し、その代わりに他の相続人へ現金(代償金)を支払う方法です。賃貸経営を続けたい場合によく利用される方法で、実務でも比較的多く見られます。

③換価分割
不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。平等に分けやすい一方で、「代々引き継いできた土地を手放したくない」というご家族も多く、感情面も含めた検討が必要になります。

最後に

誰に、何を、どう引き継ぐか。家族で話し合うことが最大の相続対策

相続対策というと、「相続税をいかに減らすか」に目が向きがちですが、それ以上に重要なのは、ご家族が納得して財産を引き継げることです。

不動産は、簡単には形を変えられません。だからこそ、「誰に、どの不動産を、どのような形で引き継ぐのか」を元気なうちから考えておくことが、結果として最も効果的な相続対策になります。
最近では、お子さんが遠方に住んでいたり、ご自身で住宅を購入していたりして「実家や賃貸物件を相続しても管理できるだろうか」と不安を感じるケースも増えています。ご自身が「残したい財産」と、お子さんが「引き継ぎたい財産」が必ずしも一致するとは限りません。
ぜひ一度、ご家族で不動産の将来について話し合う機会をつくってみてはいかがでしょうか。

 

※この記事内のデータ、数値などに関しては2026年9月1日時点の情報です。

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